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2023/09/08 番号はあるのに感情が1つだけ見つからない

サメ映画の話

 合格発表まで暇だったので、MEG: THE MONSTERというサメ映画を観た。
 サメ映画は「バレバレのCGや安っぽいセット、ガバガバなプロットを楽しむもの」と思っていたけど、ジェイソン・ステイサムの好演と、中国資本がバックについたことによる(かは知らないけど)クオリティの底上げで、結構しっかりしてたなという印象。
 ただあの大きさのメガロドンは存在しなかったという説が有力だったり、そもそも小型の鯨を襲うようなサメがそれより小さい人を襲うのか?というツッコミ(現実のサメはウミガメやアシカと間違えて人を襲うケースが多いらしい)、血の匂いがしてない状態から迷いなく突っ込んでくる挙動や、あの大きさで海水浴できる浅瀬に来る点などはサメ映画っぽさを感じられて嬉しかった。

 個人的に面白かったのが、船に乗る人のほとんどが救命胴衣を着なかったことだった。着ていたのは子供ぐらいで、途中船から投げ出されて「俺は泳げないんだ!」と叫んでいる人なんかは滑稽さがあった。めちゃくちゃ焦ってるけど自業自得じゃんって。海に落ちる人はもれなくアップアップしてた。せめて操舵手ぐらいは着ようよ。
 あとこれはサメ映画に限らないけど、緊急時に屋内にいると点灯する照明、赤すぎないか。赤い照明って暗いから手元や足元が見えづらいし、不安も煽るから良いことないと思うんだけどな。緊急時につけるなら明るいライトでしょ。パニックを演出するには正しいんだけどそれにしたって……。

大学院に合格したけど……って話

 大学院の合否が出た。無事合格。一安心。応援してくれていた方に感謝を示したい。
 とりあえず路頭に迷うことはなくなり、勉強したいことを勉強する時間的な余裕も生まれた。狂ってもがき苦しみながら、スタートラインに立つことはできた。
 ドキドキしながら番号を探し、すぐに見つけて色んな人に報告した。言葉を選ばずに済むように、ほとんどの人には「祝え!」って言いながら。

 それを終えて、息を吐きながらソファに腰を下ろす。身体が沈み込むのと同時に、肩の力が抜けていくのを感じた。
 私が心底望んでいた道は開かれた。私は階層ボスを倒して重い扉を開け、次の階層に行く階段を見つけたんだ……。

 ただ、これまでよりも私は喜びを感じなかった。そしてその事実に当惑した。番号を見つけた時に喜びの声が出なかったし、口角も上がるどころか下がった気すらする。高揚感が湧き上がってこない代わりに、深い安堵に落ちるような感覚。
 今までと何かが違う。苦労して試練を乗り越えて、次のステージに行くたびに抱いていた感情が1つ欠けた。口の端から溢れる言葉は「やっと終わった……」だけ。「やったー!」がどうしても出てこない。
 それが逆に面白くて、ちょっと理由を考えてみた。

目的地じゃないから

 これが1番もっともらしい気がする。私にとって大学院に進むことは、最初からあくまで手段であって目的じゃなかった。
 だから目的達成というわけでは無くて、むしろようやく準備が整ったというのが現在地。「明日から頑張るぞ〜」ってわけで、狂ってもがいた先でまた、狂ってもがく必要がある。終わったら絶対堕落すると分かっているから、前々から自分に言い聞かせていた。
 でも、自分で望んだこととはいえ、あまりに気が休まらなくて疲れがドッときたのかもしれない。
 まぁ頑張るけどね。というかもう仕込みは進んでるけどね。

ちゃんと戦えなかったから

 今までは試験対策をする時間がみっちりあって、そして十分に力を発揮したなという感覚があった。「これでダメなら私には無理」という気持ちで臨んでいた。
 ただ先日発表された方の院試は、前日に1時間しか寝れなかったうえ、9:00に面接があったので体調が最悪だった。
 そのうえ面接官は知った教授が2人。知らない人も含め計4人と話すハメになった。顔見知りと面接をするのが苦手な私は、それがいても希望教員1人だと思っていたので、これは予期しない逆境だった。
 また、ネットや過去の質問を参考に想定質問を20個ぐらい出したものの、ほぼ聞かれなかった。結果的にほとんどアドリブになったので、「準備した成果を発揮した」というよりは「機転を利かせた」という風になった。
 雑に言うと完全燃焼できなかったのかもしれない。

孤独が癒えていないから

 これもあり得なくはないと思う。ずーーーーっと悩んでる悩みは消えていない。
 Ayaseの幽霊東京には「失うことに慣れてく中で 忘れてしまったあの願いさえも」なんて歌詞が出てくるが、私は未だ失うことを1番恐れ、そのくせして願いは増え続ける一方。
 そろそろ失うことに慣れていかないと、何を得ても満たされない人になってしまうとは分かっているけれど、それでも喪失が1番怖い。増える願いは「これ以上何も減らないで」というものばかりだ。
 どれだけ周りに人がいても、どんなにお互いを大切にしていても、その関係性はいつか必ず失われると決まっている限り、私の喪失への恐怖と孤独感は無くならない。ここをどうにかしないと夏油みたいに、私は心の底から笑えないのかもしれない。

人生-院試編- エピローグ

 合格した瞬間に喜びは湧かなかったけど、喜ばしい出来事が無かったわけじゃない。それは最後に言っておきたい。

 まずもって私の望みは1つ叶った。当初の目的である、勉強の機会は与えられたんだ。目的地でないにせよ、本懐はきちんと遂げているし、着実に目的地に近づけてる。
 また、孤独だ孤独だと言うものの、祝ってくれる人も沢山いた。「祝え!」って言ったから当然かもしれないけど。何人かは食事に誘ってくれた。ありがたい限り。1人からは忙しいことと恋人との時間があることをカレンダーで見せられて、やんわり拒絶されたのでそこだけめちゃくちゃ悲しかった。でもそこからさっきの3つ目の理由を思いついた。これもある意味収穫として飲み込めるかな。

 そしてそして、一緒になって頑張ってくれた友達も合格していた!これは嬉しい!自分のことは棚に上げて嬉しい!この大変な3ヶ月くらいを一緒に乗り越えたとあって、かなり仲良くなれた。その人が合格したことが1番嬉しかった。
 私がTwitter(伝わる限りはこう書きます)で仄めかしたのを見て、確信を持って声をかけてくれた後は、お互い開放感からか話が弾んで、サブ垢を教えあうまでになった。一期一会ということなのだろうか。調べたら一期一会ってちょっと意味違うっぽい。捨てる神あれば拾う神ありって言いたかったんです。

 ほんと歩き疲れたけど、ようやく終えられたのでとりあえずしばらくはのんびりした生活を送りたいと思います。仕込みも忘れずにやっていきます!秋冬学期に「院試組は強いんだぞ!」っていうのを見せつけてやるために!

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