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植物と

ヴォーゲルは人間の中で子供がいちばん「偏見がない」ことを知っていたので、子供たちに植物と相互に影響し合う方法を教えはじめた。子供たちにまず葉にさわり、葉の温度・かたさ・手ざわりを詳しく話してくれるよう頼む。つぎに、葉を曲げさせてその弾力に気づかせ、葉の上側と下側をそっとさすって愛撫させる。そして生徒たちが自分で感じる感覚を喜んでヴォーゲルに述べれば、彼は子供たちに葉から手を離して、葉から出ている力もしくはエネルギーのようなものを感じるようにしてごらん、と頼む。すると、子供たちの多くは即座に、何かさざ波の立つような、あるいはひりひりうずくような感じがする、と述べるのだった。『植物の神秘生活』より

およそ3年間を共にし、努めて話しかけ、与える水分も気にかけていたのに死んでしまったゴムの木には、名前がありました。「植物の神秘生活」を読んで以来、彼らを部屋の単なる装飾ではなく、1つの生き物として認識するようになっていました。死が、根にまで及ぶと哀しみが溢れました。それ以来植物は持たないようにしていたのです。

先日彼女の部屋に遊びに行くと、突然目の前にnicolai bergmannと書かれた黒い紙袋が置かれました。中には縦横12センチの小箱。開けてみると黄色、オレンジ、紫、緑の小さな花が所狭しと敷き詰められていました。…可愛い!と思わず声をだしてしまって、芳香を放つそれらにすっかり魅入られます。小箱を大切に持ち帰り、日中はデスクの上、夜は冷蔵庫で。4、5日しか持たないと言われていたのですが、2週間経った今もその美しさは健在です。


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