見出し画像

金星に夢を見ていた

アモラ・クァン・インさんの著書『プレアデス 人類と惑星の物語』(太陽出版)を再読しています。実に7年ぶり。

当時の私は今以上にスピリチュアルに傾倒していて、知識も少なくて、まだ10代で。

ひらめきに従って再び開いたこの本は、あの頃とは違う感想を私に抱かせています。


理想の異世界

初めてこの本を読んだ頃、私は特に金星と、古代地球への憧れが強くありました。

女性性の優位そうな建築や芸術・音楽の話から、見たこともない風景や、それをつくり上げた精神性の高い人々を思い描いていたのです。

そこはきっと今よりも波動が高くて、みんなが繋がり合っていて、平和で……生きているのが楽しい理想郷なのではないかと。

プレアデスも、シリウスも、テロスも。目には見えない世界は全部、文明ごとの個性を持つにしても同じような理想郷だと思っていました。だからこそ瞑想や夢の中で輝かしい世界を訪れてみたいと願い、せっせと目を閉じて呼吸を整えていたわけなのですが。


そこに住んでいたのも人間だった

一方で7年後の今。再読した私は全く違う感想を抱いています。

今読めば分かるのです。金星の人々も、火星の人々も、マルデックの人々も。
どんな見た目をしていようが、どこの星に住んでいようが、彼らもまた私たちと変わらない「人間」だったのだと。

それは『プレアデス 人類と惑星の物語』の随所に記されている、人々の心の動きから読み取れます。

若干スピリチュアルから距離を置いていたこの4~5年間、私は精神世界よりも心理学や精神医学の知識を探求していました。

人の心の動きや、脳の構造と精神について。虐待、トラウマ、そこから生まれうる感情の動きや物事への反応のしかた。

『プレアデス 人類と惑星の物語』にも同じことが書かれていました。

自分の非を認めたくないから自己正当化する人。
無償の愛を信じられないから試し行動に走る人。
変わりたい、違う生き方を知りたいと強く願って神殿に通う人。
教えと助言を受け入れられなくて古いやり方にしがみつく人。
変化を恐れて自分たちだけのコミュニティを守ろうとする人。そのために保守的でよそよそしい態度になってしまう人。

昔の私には漠然と「みんな頑張ってたんだな」としか映らなかった遥か昔の夢の世界は、現在も研究され続けている心と脳の動きによってより理解しやすいものになっていました。

金星でも発達心理学に似た、人間を研究するための学問が発達したという記述も見られます。

それに気づいた時、良い意味で私の夢ははじけました。

金星も火星もマルデックも。そして古代の地球も。きっと私たちが夢見てきたような桃源郷や、完璧な理想郷ではなかったのでしょう。

そこには今と変わらない反応を示す人間たちが生きていて、今と同じようにいろいろな物事の影響を受けながら、よりよい生き方を模索していた。
模索の中で世界が崩壊しかけたり、文明がいくつか滅んだり、滅ぼされたりして、今に繋がっているだけなのです。

何も特別なことなんてなかった。


昔の私は、無性に金星に住みたいと思っていました。
つまりは戦争や税金や現代の無茶苦茶から離れて、穏やかで理想的な世界を体験してみたかったのでしょう。
至高の金星人たちと関わりを持って、その影響を受けてみたかった。過去の方が素晴らしかったのだと思っていた。

けれども今は、「今も昔も変わらないのではないか」と思います。

今も昔も人は「より良い暮らし」「より精神性の高い生き方」を、意識的にしろ無意識的にしろ求めていて、似たような出来事を繰り返しながらちょっとずつ違う反応を示せるようになってきている。

金星に帰るのではなく、今の地球人としての私たちが、当時の金星人たちがうらやむような世界に生きられるならいいなと願います。



余談

余談ですが、別の惑星を取り上げた物語として、レイ・ブラッドベリの『火星年代記』が大好きです。

これは火星人のアセンション話ではなく、人間が火星に入植していく過程を追った、数世代にもわたる物語。

火星には火星人が住んでいますが、人間の入植の傍らで殺されたり、小さな交信があったり、アセンションしたりしています。

特に入植者たちが、肉体を手放した火星人たちに宗教を広めようとする話は滑稽。ちょっと風刺も効いている気がします。

『プレアデス 人類と惑星の物語』と併せて読むと、在りし日の残像とファンタジーが混ざり合ってまたおもしろいかもしれません。




Jessie Somerled

読んでくださりありがとうございます。良い記事だな、役に立ったなと思ったら、ぜひサポートしていただけると喜びます。 いただいたサポートは書き続けていくための軍資金等として大切に使わせていただきます。