2018/11/25 文学フリマ東京の話

同人誌『ほがらかCITY』を出しました。お陰様で売り上げ好調のようで有難いです。今刷ってある分がなくなり次第通販終了なので、興味のある方はお早めに城戸君(@sh_s_sh_ma )にメール、ないしはtwitterDMで発注をしていただけたら幸いです。時間がかかるかもしれませんが懸命に梱包・発送をしています。私は「とっとと売れますように」と念じるだけでいいので楽でしょうがありません。

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2018年11月25日、文学フリマ東京に初参加した。かねてより関心があったのだが、かと言って誰の力も借りずに単身での参加ともなると、長机に山積みになった在庫の前でお茶を飲みながら涙を流すのが関の山だろうから中々踏ん切りがつかずにいた。例年、私は文学フリマ開催日に「文フリの会場で、自分が釣り上げたでかい魚を料理してふるまいます」とツイートするあてつけを繰り返していた。

遡ること半年前、友人のタクス・全日本夫妻と京都でご飯を食べたその帰り、全日本さんから「文フリ出ればいいじゃん、城戸さんとかsudoさんを誘って」と京都市営地下鉄東西線内で持ちかけられた。確かにその2人ならば、嫌な顔はしないだろうし、数字を持っているから便乗して売名できるかもしれないと期待が高まり、あくる日早速城戸君にLINEを送ると「ちょうどsudoさんとvirus菌を誘って出ようとしてたところだから是非」と、人の好さに付け込んで了承を得た。全日本さんに提案してもらえてなかったら、またぞろでかい魚のムニエルをふるまう羽目になるところだったのでラッキーだった。そんな訳で私は、どうにか文フリに潜り込むきっかけ作りに成功した。

なにぶん素人4人の集まりで、編集や印刷所への依頼などいちいちつまづきが多く、周囲の同人誌作成の経験がある人間に尋ねればよさそうなものを、「今更頭下げてくるなんて、なめられるかもしれない」と躊躇をし、加えて城戸君とvirus菌君は6つも年下であり、無理を言ってメンバーに混ぜてもらった立場上実務的に貢献しなければならないと気負いがあった。しかし、集まった原稿も一冊の形にまとまりきらぬまま結局〆切間際にsudoさんに丸投げして青空を見上げてやはり「売れますように」と両指を絡めて念じる事しかできなかった。

前日新幹線で東京に前乗りし、virus菌君は用事で来られなかったのだがsudoさんと城戸君と、刷り上がった「現品」を高円寺の沖縄料理屋で確認した。背表紙がきちんとあり、本としての体を成していた。あとはこれを売りさばけば済む話だ。どうにかなるんじゃないのか。そう思うとつい気が大きくなってしまい泡盛をたくさん飲んで踊ってしまった。その晩はsudoさんの家に泊めてもらった。

案の定、出店者入場の午前10時にはどうあがいても流通センター駅にはつかないだろう時刻に目覚め、城戸君と合流、道中でせっせと要らぬ買い物をしつつ500円玉のお釣りを作りながら、どうにか会場入り。周りのサークルがきちんと机にクロスを敷いたり凝ったポップで飾っている中、むき出しの長机に解いてもいない冊子の塊を載せて「設営完了しました」と城戸君のアカウントで報告した。ここまで無骨というかなめた態度を取るならば、いっそのこと次回は「お金をもらえると喜びます」というのぼりでも立ててしまおうかと思う。

virus菌君ともやっと合流、ともかく、一般入場が始まった。前列2人、後列2人の男が全員のお客さんの顔面を見逃してなるものかと血眼になり、購入者1人1人に過剰な謝礼を浴びせる様は威圧的でありブースに足を運びづらくなる要因になってしまったかもしれないが、そうは言ってもこっちの感謝の勃起が治らない為仕方がない。私はトイレにすら一回も立たず、閉場までの8時間居座った。なんだかこんなことをわざわざ言うのは忍びないけれども、一見してまともそうな人が主にお求めいただいており、中身を読んでどう感じていただくかは定かではないが、こんなまともそう、朝晩決まった時間に眠って起きていそうな方々同士の網で繋がって広まっていったらますますチャンスは広がるし、儲かるし、ありがたい話はないとほくそ笑んだ。

様々な懐かしい面々や、ネットで名前だけ存じていた方とも実際にお話ができ、時間がない最中それぞれと少々のやり取りが交わせて大変嬉しかった。撤収ののち、4人で浜松町で飲んだ。ビジネス街でもあり、中々祝日に開いている店がなく、雑居ビルのエレベーターを上がった先の居酒屋の電気が完全に消えており、闇は不便だからやめようと移った階の店の値段がべらぼうに高く、ビール一杯だけ飲んで去った。河岸を変えて行き着いた、バイトが賄いを頬張りまくっている中華屋で食べた牡蠣のオイスターソース炒めが美味しかった。「結構ドリームチームですよね。」と一番感情めいたイメージのないvirus菌君がそんな発言をしていた。いいねえ、と餃子をもう一皿注文した。

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振り返るとそんな塩梅でした。特に、私の文章に寄せられた感想で最も多かったのが「誤字脱字が多く、気持ち悪い」との内容でした。お金を取っているにも関わらずそのような稚拙な出来栄えで非常に申し訳ございません。何かがここから始まるかもしれない、との投資、加えまして城戸、sudo、virus菌の文章がそれを補って余りある面白さですので、お買い上げいただければ幸いです。今後ともよろしくお願いします。

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