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いのちをすくう「供血猫」「供血犬」についてのレポート

「ねこ自身」という雑誌から、手術等を行う病気の猫ちゃんの為にドナーとして存在する「供血猫」についてレポートしたいと思います。

アメリカでは既に100年も前から存在する「供血猫」「供血犬」。輸血用の血液を提供する猫ちゃんやワンちゃんの事です。病気で今は亡くなってしまった、供血猫の"ばた子ちゃん"の日常を綴った「空から見ててね、いのちをすくう"供血猫"ばた子の物語」という本が今、反響を呼んでいるそうです。

日本には動物の為の輸血の設備が無く、動物の血液を運輸する事も法律で禁じられている為、動物病院の中で輸血用の血液を確保するしかない...。そんな急な輸血が必要な場合に備えて、動物病院では供血猫、供血犬が飼われています。

ばた子ちゃんの本が2016年3月に発売されると、「供血猫の存在を知らなかった」「うちの子もお手伝い出来るかしら?」等、多くの協力者が声を上げてくれ、その後ネットニュース等でも取り上げられて供血猫の存在が少しずつ知られるきっかけとなりました。

そもそも日本での輸血治療はダクタリ動物病院の加藤院長(84歳)が、1973年にアメリカで使われていた動物医療のバイブル本を翻訳・出版した事から始まり、この本の中に「輸血」という項目があり、「供血猫」「供血犬」という言葉も出て来ます。ダクタリ動物病院では供血猫10匹、供血犬4匹を院長が飼っていましたが、まだまだ血液は足りず…。

遂に2011年「血液バンク」として血液を保存する冷蔵庫・冷凍庫や、遠心分離機等の機材を導入した事で定期献血に寄る献血ドナー募集が可能となりました。そして協力者も増え、2012年には献血ドナーの血液のみで輸血治療が出来るようになりました。

献血ドナーの条件は「1歳以上」「交配予定の無いオスか、妊娠・出産経験の無い避妊手術を終えているメス」「体重4kg以上」「ワクチン接種、ノミ・マダニ予防済」「完全室内飼育」「猫エイズ及び猫白血病ウイルス陰性」。これらをクリアした上で健康診断、各種の検査を行い、問題なければ登録となります。献血は年に2回から。継続についての意思確認は毎年確認されます。

猫の血液型はA型・B型・AB型の3種類で、日本では95%がA型、4~5%がB型、AB型は1%に満たないと言われています。B型の猫ちゃんは希少な為、保存期限のある献血バンクからではなく必要な際に供血猫の飼い主に連絡して来てもらって協力してもらう事が多いそうです。更にレアなAB型については、まだ輸血の依頼は来てないようです。

血を抜く際には先ず心電図を装着。首元の毛を剃り、頸静脈に針を刺す。「10mlです...20mlです」と、動物技術師が血液量を確認しながら、5分程掛けて輸血用の血液60mlと適合検査用の血液3mlの採血を終え、すかさず抜いた血液量より多めの輸液を点滴セット。血液の大半は水分なので一時的に血圧が下がってしまう為、輸液に寄って水分を補う事で血圧をしっかり保たせます。点滴を開始して2~3分すると麻酔が切れたようで頭がビクッとするが、まだ鎮静剤でボーッとしています。その間に動物技術師が爪切りや耳掃除等のケアをしていき、全てを終えた後はゆっくり夕方までケージで休ませます。採血した血液は名前と期限を記入し、摂氏4℃に設定された専用冷蔵庫に保存されます。保存期限は21日間。期限を過ぎれば破棄されます。血液バンクに寄るメリットは供血猫・供血犬から提供してもらっていた頃に比べ、既にあるストックから緊急時でも速やかに輸血出来るようになった事です。

うちの真ん中の猫ちゃんも尿路結石で入院した事がありますが、違う病気でもし緊急手術にでもなっていれば輸血が必要だったのかなと思うと、こういった血液バンクのある病院だと本当に安心だなと思いました。その歴史や工程も知れましたし、今日は本当にお勉強になりました。この雑誌の記事に感謝です。ありがとうございました。

#供血猫 #供血犬 #献血 #輸血 #血液バンク

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