B-TAOサイズ

008 新サイズカードの誕生

50年ほど前に初めてB6カードを手にしたときと、その時の私には、多少の違いがありました。少しだけ人生の経験を積んだからでしょうか。このカードを使いにくく感じるのは私だけではないはずだ。先ずはこのカードを徹底的に研究して、より使いやすいものにしてみよう、そして、良いものが出来たら他の人にも提供して行こう、そう思いました。

カードサイズはB6サイズの長辺を14mm伸ばして196mm。短辺はそのままの128mm。短辺側に標準ピッチのバインダー穴(13穴)を開けます。こうするとB6サイズの長辺寸法に食い込まずに綴じることが出来ます。感覚は人さまざまでしょうが、私としては心地よいサイズの紙が出来ました。

元々このカードは梅棹先生という学術研究者が、ご自分の研究活動のために開発されたもので、私のような商人は、使い手としていささか方向違いのような気がしていましたが、カードに綴じる機能が加わると、逆にこれは色々な用途に使えるな、と発想が広がり、この先やることがとても楽しみになってきました。

先ずは、カードのサイズです。B6サイズが本当に適当なのか。梅棹先生は、本の中で、B5サイズのノートを半分に切って作った、と仰られ、深いこだわりではなく手近なもので済ませたような雰囲気で書かれています。しかしこれではあまり納得がいきません。そこで、もう一回り小さなA6(ハガキ)サイズ、もう一回り大きなA5サイズのカードを作ってみたのですが、やはり今一つしっくり来ません。

しかし逆に、ある意味私として、納得する理由もありました。それは、私は若いころ、日本の商社と外国(欧米)の企業との交渉の場に同席する機会が何度もあったのですが、その時、外国企業の幹部クラスは決まって立派な革のホールダーにA4サイズより少し横幅のある黄色いリーガルパッドを挟んだものを持って現れたのに、日本の商社マンはというと、これまた決まって見た目とてもみすぼらしい、B5サイズのキャンパスノートを広げて交渉にあたるのです。いまはもう、そうではないかもしれませんし、別にツールの違いが交渉に影響を与えるわけでもないのですが、当時は日本の営業マンの多くの方々が、B6のキャンパスノートの愛用者だったのです。これはB5サイズのノートを別名大学ノートと呼ぶように、小さいころからずっと学校で使い親しんできたものを、社会に出てもそのまま使い続けている、ということがその理由の一つかもしれません。が、私はそのサイズが日本語を手書きするのに、感覚的に書きやすいサイズだから、ではないかと思っています。ノートにはA4サイズのものもありますが、実際手に取ってみると開いたときに1ページが広すぎる感じであり、持ち運びにも意外にかさばって、B5サイズのノートの方がずっと使いやすいというのが実感です。

感覚というのは人それぞれですから、どれが良いとは一概に言い切れません。文房具はある意味し好品の要素が強いものですから、B-TAOはそのバリエーションの一つとして、もし好みに合えば使ってください、というポジションだと思います。

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