【未完成稿】【ファクトチェック】「ファクトチェック:自民党政治と安倍政権の実績を批判する画像には、多数の誤り」は検証方法に多数の誤り

はじめに

今回は、こちらの記事のファクトチェックを行いました。(以下「本件記事」)

https://factcheckcenter.jp/n/n4963e84cf243

サイレント修正する可能性が否定しきれないので一応魚拓です。
ファクトチェック:自民党政治と安倍政権の実績を批判する画像には、多数の誤り|日本ファクトチェックセンター(JFC) (archive.ph)

結論は、「自民党政治と安倍政権の実績」はデタラメの可能性が高く、「本件記事」の検証の多くは杜撰という、当然の内容です。多くの方にとって、「知ってた。」の一言で終わりでしょう。つまり、この記事を読んでも、読者にとって、特に得られるものはありません。
また、筆者の心が完全に折れ、本検証は不完全なものになっています。大変申し訳ありません。その点はあらかじめご了承ください。完成版は、「日本ファクトチェックセンター」が修正記事という形で提示してくれるでしょう。それを首を長くして待っていてください。


検証対象

「自民党政治と安倍政権の実績」の23項目のうち、10項目です。「本件検証」では、12項目を検証しています。残りの11項目については、「定義が曖昧であったり、公開資料では判然としなかったりした項目は検証から除いた。」とされています。本来であれば、筆者が残りの11項目についても責任を持って検証するべきでありますが、「やろうと思えば検証できたはずだ」という検証可能性を提示するだけに留めさせていただきます。申し訳ありません。

検証手法

「当該記事」でファクトチェックされた項目について、筆者が再調査し、「当該記事」の判定とその検証方法について検証しました。本記事は検証の検証なので、「当該記事」の検証とその検証過程が、「適切」「引用資料のみ不適切」「検証不足」「誤り」で判断しています。また、「本件記事」で検証しなかった11項目については、「このような方法で検証できるはず」という、口は出すが、手は出さない「監修」のような方法での提示のみとさせていただきます。この点に関しては本当に申し訳ありません。ひとえに筆者の能力とやる気と時間の不足だけです。

二次資料の引用について

日本ファクトチェックセンターは、「公正なファクトチェックを実践するためにファクトチェックガイドラインを定めています」として「ファクトチェックガイドライン」を定めています。
一部に疑問を感じますが、全体としてはこの条項を遵守すれば公正なファクトチェックが可能だと筆者は考え、指針の公表と合わせて支持します。

その素晴らしいガイドラインには以下の条項があります。

第22条(情報収集)
ファクトチェックの実施に当たり、 対象言説に含まれる事実について、検証に必要な範囲で可能な限り一次情報を入手し、一次情報提供者と連絡を取るよう努める。多角的な検証を行うため、可能な限り複数の異なる情報源から情報を入手する。

ファクトチェックガイドラインより引用(太字は筆者が付けました。また、読みやすさを重視し、「対象言説」前にあった不自然な空白を筆者が削除しました。)

「当該記事」においては、白書などの二次資料の引用が大変目立ちます。22条を遵守し、可能な限り一次資料を入手してください。実際、二次資料を引用したために、信じがたいミスを犯しています。一次資料を当たることを意識していれば必ず防ぐことができたミスです。
日本ファクトチェックセンターは、古田大輔編集長含め全員がこの条項の意義をよくよく再検討してください。「当該記事」の「監修」に古田編集長の名前が記されています。「当該記事」を一目見れば分かる二次資料の引用の多用を編集長ご自身が容認し、ガイドライン22条を踏みにじった、としか解釈できません。古田編集長は、何故、執筆者が提出した原稿を「公開できる水準にない」と加筆・修正を指示しなかったのでしょうか?もう一度、「ファクトチェック」のあり方を編集チーム全体で学びなおしてください。

各項目の検証(1)

1.「GDP下落率…歴代総理大臣ワースト1位」 =「検証不足」


「当該記事」では「不正確」と評価しています。
検証方法としては、「国民経済計算」を利用しており、妥当といえます。
内容も名目GDPと実質GDPを検証し、「不正確」と評価しています。
円建てで見た場合は、「当該記事」の検証は妥当と判断できます。
しかし、GDPをドル建てでみた場合、安倍政権時に最大の下落率を示しています。
ドル建てでの検証をしない点は検証として片手落ちと言わざるを得ません。
以上から、本項目は、「検証不足」と評価しました。

2.「自殺者数…歴代総理大臣ワースト1位」=「引用資料のみ不適切」=ガイドライン22条違反の疑い


「当該記事」では「誤り」と評価しています。
検証方法としては「令和3年度版 厚生労働白書」から引用しています。
警察庁「自殺統計」という一次資料が利用できる中で二次資料に頼るのは不適切です。

数値そのものは問題ないです。
以上から、本項目は、「引用資料のみ不適切」と評価しました。

3.「失業率増加…歴代総理大臣ワースト1位」=「適切」


「当該記事」では「誤り」と評価しています。
検証方法としては、「労働力調査」から引用していて、適切な引用です。
検証過程も適切です。

数値も問題ないです。
以上から、本項目は「適切」と判断しました。

4.「倒産件数…歴代総理大臣ワースト1位」= 「引用資料のみ不適切で問題あり」=ガイドライン22条違反の疑い


「当該記事」はでは「誤り」と評価しています。
検証方法は、「2016年版中小企業白書」であり、不適切です。
数値自体は正しいですが、「2016年版中小企業白書」の引用元である、東京商工リサーチ「全国企業倒産状況」が「禁・転載・複写」と記載されており、「当該記事」の孫引きでの引用そのものが「禁・複製・転載」に該当しないのか疑問があります。筆者は「禁・転載・複写」を遵守し、公開しません。

5.「自己破産者数…歴代総理大臣ワースト1位」=「引用資料のみ不適切」=ガイドライン22条違反の疑い


「当該記事」では、「誤り」と評価しています。
検証方法としては、「新里構成員提出資料」から引用しています。これは、「多重債務問題及び消費者向け金融等に関する懇談会(第12回)」(多重債務問題及び消費者向け金融等に関する懇談会(第12回) (kantei.go.jp))こちらから引用してきたと考えられます。これは二次資料なので、引用としては不適切です。
適切な引用は、「司法統計」です。

6.「税収減…歴代総理大臣ワースト1位」= 「引用資料のみ不適切」=ガイドライン22条違反の疑い

「当該記事」では、「誤り」と評価しています。
検証方法は、「税収に関する資料」です。
不適切と言い切れないかもしれませんが、厳密には「各年度版決算」が一次資料でありここからの引用が望ましいです。

7.「地価下落率…歴代総理大臣ワースト1位」=「適切」

「当該記事」では、「誤り」と評価しています。
検証方法としては、国土交通省「地価公示」から引用していて、適切な引用です。
検証過程も適切です。

8.「民間の平均給与額…7年連続ダウン」= 「適切」

「当該記事」では、誤りと評価しています。
検証方法としては、国税庁「民間給与実態統計調査」から引用していて、適切な引用です。
検証過程も適切です。

 9.「出生率…日本史上最低」= 「引用資料不適切及び検証不足」=ガイドライン22条違反の疑い

「当該記事」では、「誤り」と評価しています。
検証方法としては、「『令和4年版少子化社会対策白書』の報告書」から引用しています。二次資料であり、不適切です。
適切な引用資料は、厚生労働省「人口動態調査」です。


数値そのものは適正です。
しかし、出生率のみを検討して、出生数を検討しないことは明らかに片手落ちです。


特にここ2-3年で出生率はそこまで低下していませんが、出生数は激減しています。出生率は誤りだが、出生数は戦後最低ということで、「不正確」判定または、「出生率は誤りだが、出生数では正しい」のように必ず触れるべきでしょう。 

10.「犯罪検挙率…戦後最低」= 「適切」

「当該記事」では、「誤り」と評価しています。
検証方法としては、「令和3年度版 犯罪白書」から引用しています。
「犯罪白書」は二次資料であり、一次資料である、警察庁「犯罪統計」から数値を引用しなければなりません。しかし、犯罪統計は筆者が調査した限り、数値が平成14年以前には遡れないため、二次資料である「犯罪白書」を使用せざるを得ないと判断しました。
数値そのものは正しかったです。

11.「所得格差…戦後最悪」= 「不適切であり、検証不足」=ガイドライン22条、23条1項違反の疑い

「当該記事」では、「誤り」と評価しています。
検証方法としては、内閣府「日本経済2021-2022」という白書等の一部から引用されています。
所得格差のファクトチェックについては、以下が参考になります。

所得格差をどのように把握するかは、1990年代終わりから2000年代前半にかけて経済学で大きな議論を読んだ内容になります。どの統計からどの手法で検証するかによって評価が変動し得るからです。つまり、本項目は、

「所得格差(労働所得のジニ係数)は、2002年から2007年にかけて緩やかに上昇し、2007年から2017年にかけて緩やかに低下している。「戦後最悪」とは言えない。」

「当該記事」より引用

このように短く端的に検証するのではなく、先の引用先のように多くのデータを用いて多面的に検証しなければならない項目です。

第23条(検証)
収集した情報に基づく検証においては、下記の点に留意して行う。
(1)公正な検証となるよう可能な限り異なる立場の情報源を活用し、多角的に行う
(2)情報源の対象言説に関する利害関係に留意する
(3)対象言説を肯定する情報及び否定する情報の双方を入手した場合、その信頼性に留意した上で、読者の理解を助けると判断できる場合は、検証の結果にかかわらず、その双方を提示する

ファクトチェックガイドライン23条より引用

ガイドライン23条1項「公正な検証となるよう可能な限り異なる立場の情報源を活用し、多角的に行う」 を遵守してください。

なお、執筆者・監修者が所得格差の事実の把握がこのように多角的な検討が必要であると事前に知らなかったとしても、「可能な限りの一次資料の利用」を心掛けていれば十分に気付けたはずのことです。「本件記事」のリンク先の図の備考に以下の記述があります。

「2. (1)~(3)におけるジニ係数の計算方法は太田(2005)による。」

それがこちらになります。
ESRI Discussion Paper Series No.140 フリーターの増加と労働所得格差の拡大|内閣府 経済社会総合研究所 (ndl.go.jp)
この研究の「はじめに」を読めば、おおまかな研究史を把握することができます。

12.「高校生就職内定率…戦後最悪」= 「誤り」

「当該記事」では、「誤り」と評価しています。
検証方法としては、厚生労働省大分労働局(2020)「報道関係者各位 新規高等学校・大学卒業予定者の就職内定状況等について(令和2年10月末)」から引用されています。「当該記事」のハイパーリンクには、厚生労働省「新規学校卒業者の就職内定率の推移」と書かれていますが、間違いです。リンク先の図1のタイトルには、(※1)と注釈がついており、

「【高校卒】に関しましては、大分労働局管内の全ての高等学校等から毎月月末の報告により把握している内定状況等を取りまとめたものです。」

とあります。この図は大分県内の高校生就職内定率の数値で間違いありません。「当該記事」本文においても、「2009年以降、高校生就職内定率が最も低いのは、2010年(3月卒)民主党鳩山・菅政権で96.6%。『戦後最悪』とは言えない。」と記述されており、2010年の大分県内の高校生就職内定率が99.6%であることから、間違いなく、大分県内の数値を用いて全国の高校生就職内定率をファクトチェックしてしまったのでしょう。
適切な引用するべき資料は、厚生労働省「高校・中学新卒者の就職内定状況等」です。こちらの資料で2010年を確認すると、93.9%なので、やはり検証としては明確に間違っています。
筆者が調べられた範囲では、一番低いのは、2002年の89.7%ですので、ファクトチェックの「誤り」という結論そのものは間違っていません。しかし、このような検証過程では「誤り」と評価せざるを得ないでしょう。

考察 「本件記事」の検証方法の検証

「本件記事」の検証過程には、「JFCは、公式資料から12項目を検証をした。」(太字は筆者がつけました)とあります。ここから、筆者は、当該記事筆者は、Googleで「検索したいワード site:go.jp」と検索したと考えました。試しに、「高校生就職内定率 site:go.jp」と検索したところ、

https://www.google.co.jp/search?q=%E9%AB%98%E6%A0%A1%E7%94%9F%E5%B0%B1%E8%81%B7%E5%86%85%E5%AE%9A%E7%8E%87+site%3Ago.jp+&source=hp&ei=sxpFY4PYBsW32roP5aGP-Ac&iflsig=AJiK0e8AAAAAY0Uow0N469J5dAUmyocPHZJvHAUq7-Qn&ved=0ahUKEwjD_Z2V09f6AhXFm1YBHeXQA38Q4dUDCAk&uact=5&oq=%E9%AB%98%E6%A0%A1%E7%94%9F%E5%B0%B1%E8%81%B7%E5%86%85%E5%AE%9A%E7%8E%87+site%3Ago.jp+&gs_lp=Egdnd3Mtd2l6uAED-AEC-AEBwgIFEAAYgATCAgYQABgeGA_CAggQABgFGB4YD0ilNlAAWIUtcAB4AMgBAJABAJgBWaAB9QGqAQEz&sclient=gws-wiz


下から2番目に「当該記事」で引用されている資料を発見しました。
このように意外な方法で検証したならば、その検証プロセスについても明記が必要であったと筆者は考えます。

繰り返しになりますが、自分たちで定めたルールくらい自分たちで守りましょう。

各項目の検証(2) 「当該記事」で検証していない項目

「当該記事」では、「定義が曖昧であったり、公開資料では判然としなかったりした項目は検証から除いた。」として検証されなかった項目を検証します。 

1.「生活保護申請者数」=「定義は明確であるが、近年の分しかない」
調査の結果|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
ここ2‐3年ほどは申請者数の統計がありますが、それ以前は見つかりませんでした。申請者数については、資料の限界から殆ど見つからなかったとしても、被保護世帯数は容易に見つかります。こちらを提示するべきでしょう。

2.「赤字国債増加率」=「定義は明確であり、資料も判然としている。」
いわゆる、赤字国債とは、「特例国債」のことをいいます。
赤字国債がメディア用語であり、行政用語の「特例国債」が分からなかったのかもしれません。
hakkou01.pdf (mof.go.jp)
直ぐに見つかるのはこちらです。これの特例債です。
但し、これは二次資料であるため、一次資料の各年度版決算を見ます。
予算書・決算書 ホームページ (mof.go.jp)

試しに、平成30年度の決算の数値を見たところ、特例公債金は、26,298,199,847,006円でした。二次資料の平成30年度を見ると、262,982とあるため、決算の数値を丸めたものであると確認できました。

3.「国債格下げ」=「定義は明確であるが、筆者の力では資料は判然としなかった。」
大手国債格付けは4社あり、現在の格付けは容易に判断できます。
しかし、格付けの推移については、筆者の調査能力では発見できなかった。いくつかの個人ブログにはありますが、それらが正確であるという根拠を得ることができませんでした。
検証方法そのものは浮かんでいます。
新聞・雑誌記事 検索データベースサービス│日経テレコン (nikkei.co.jp)
日経テレコンを利用し、日本経済新聞から「日本国債 格付け」などと検索することで、一つ一つの推移を拾っていくという方法です。ただし、筆者が日経テレコンに接続できる環境にないため、実際に検証できるかは不透明ですし、そもそも日本経済新聞が全てを報道しているという保証もないため怪しいです。
また、「日本ファクトチェックセンター」の豊富な資金力を生かして、各格付け会社からデータを買い上げるという方法も考えられます。
 
4.「不良債権増」=「定義は明確であるが、筆者の力では資料は判然としなかった。」

5.「国民資産損失」=「定義は明確であり、資料も判然としている。」
国民資産は、「国民経済全体の資産」のことである。
出典はここ平成29年度国民経済計算年次推計 国民経済計算の見方・使い方 (cao.go.jp)
具体的数値は
2020年度国民経済計算(2015年基準・2008SNA) : 経済社会総合研究所 - 内閣府 (cao.go.jp)
ここのストック編-Ⅰ統合勘定-1.統合勘定
そのエクセルファイルの期末資産の数値
筆者も自信がないため、国民資産でググると、
「国民資産」4・7%増の1京1892兆円…過去最高を更新 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)
これが上から二番目にある。
エクセルの期末資産2020年数値(11,891,902.8)と記事見出しがおおよそ合致するため問題ないと確認できる。

6.「医療費自己負担率」=「筆者の力不足で判断不能」
定義は明確であり、資料も判然としている。
現行制度は厚生労働省に資料がある。
 
7.「年金給付下げ率」

 
8.「年金保険料未納額」=「定義は明確であり、資料も判然としている。」
国民年金の加入・納付状況|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
ここか
過去のアニュアルレポート|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
ここらへんかと思う。
 
9.「年金住宅金融焦げ付き額」
定義は明確であるが、資料は確認できなかった。
ただし、本制度自体が廃止済みでありBuzzFeedによると、「2007年が起源」というように歴史を味わえる項目といえる。
 
10.「犯罪増加率」=「定義は明確であり、資料も判然としている」
犯罪の認知件数の前年度比を検証しました。犯罪の認知件数は、法務省「犯罪白書」に明示されており、特に複雑な作業は要りません。なぜ検証していないのか不明です。
 
11.「貧困率」=「定義は明確であり、資料も判然としている」
貧困率は、相対的貧困率を意味していると考えられる。ワーストもOECD加盟国の中でのワーストを意味していると考えられる。
BuzzFeedの記事では検証されており、「当該記事」がなぜ検証していないのか理解ができない。



おわりに

初めてのファクトチェックのファクトチェックであるにも関わらず、筆者は、ファクトチェックの不毛さに辟易としました。やってもやっても終わらない検証地獄に既に身も心も限界です。断じて無報酬でやるものではありません。

以下は、筆者が本件記事を検証しながら、「日本ファクトチェックセンター」のここがやばくね?と気づいた点について箇条書きしました。「日本ファクトチェックセンター」さんの今後の活動の一助になったらと思い書きました。

①ファクトチェックガイドライン第27条の無視の横行



第27条「ファクトチェックの結果に関する記事は、事実に基づく客観的な真偽の検証のみを提示することとし、その他の意見、評論等を記事に混在させないよう努める。」

とあります。しかし、各記事では、「おわりに」と称して、「事実に基づく客観的な真偽の検証」以外の記述が見られます。例えば、「本件記事」においても、

「国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)が掲げる『非党派性と公正性』を尊重しており、どの党派に関するものであれ、ファクトに関して疑わしいものがあれば、検証していきます。」

とあります。確かに、最初からの炎上状態を鑑みれば、このフレーズの必要性は分からなくもないですが、だからと言って記事に混在させる姿勢は如何でしょうか?twitterなど別の媒体において告知すればいい程度の内容であって、ファクトチェック記事本体に「混在」させるほど重要でしょうか?少なくとも筆者にはその必要性は認められません。

②ファクトチェックガイドライン16条 の機能不全


「当センターは、ファクトチェックに対する訂正および苦情処理の方針を定め、公開する。」

筆者が探した限りにおいて、「訂正および苦情処理の方針」が見当たりません。どちらに公開されているのでしょうか?

③不適切な「モットー」


JFCファクトチェック指針には、以下のような記述があります。

「JFCは『スマートな簡潔さ』を重視します。『少ない言葉で多くを語る』をモットーに、『検証対象』『検証過程』『判定』を端的に伝え、ユーザーが短時間で事実を理解することに寄与します。」

「本件記事」のような杜撰な検証が行われる原因はこのモットーにあると思いました。「本件記事」⑪所得格差がその例です。あのわずかな文字数で所得格差について事実認定をしたのは、このモットーの体現でしょう。多くの言葉を用いて、事実の多様な側面に注目し、検証をお願いします。
念のため、「ファクトチェックの国際原則」を確認しましたが、モットーに類似した内容は存在しません。「スマートな簡潔さ」はアメリカのネットニュースの標語のようです。ニュースのように明日忘れても問題ない内容と、丁寧で丹念な調査を要するファクトチェックでは方針が異なることは当然です。本モットーの削除は必須と筆者は考えます。

④先行調査の引用に関するルールを定めた条項がファクトチェックガイドラインに存在しない


この問題は、「本件記事」ではなく、こちらの記事に関するものから気づきました。

https://factcheckcenter.jp/n/ndd3eaaf3bbfc

筆者は問題点を以下のページを見て知りました。

https://togetter.com/li/1952311

「日本ファクトチェックセンター」が検証した記事が、10日以上前にAFP通信のファクトチェックグループによって検証されており、「日本ファクトチェックセンター」の検証手法がこれと酷似している点が問題視されています。
ファクトチェックガイドライン及び、ファクトチェックの国際原則を読んだところ、「盗作」「盗用」等を咎める条文が存在しません。しかし、既にこのような問題が浮上してしまい、調査する大学生の能力の限界から考えても、いずれかの後追いになってしまう可能性は今後も非常に高いです。その場合に先行調査への言及を通じた適切な引用をしなければならないことを条項で明記する必要はあるでしょう。

本当に以上になります。誰か殊勝な心掛けを有した奇特な方が「日本ファクトチェックセンター」のファクトチェックを引き継いでください。筆者は今回の検証で絶望的な徒労感に打ちひしがれ、二度とやらないと胸に固く誓いました。

訂正履歴
2022/10/11 公開
2022/10/12 誤字の修正・いくつかの項目を加筆(800字程度)

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