こちらの記事は、Elasticのディベロッパーである「EK」による、こちらの記事の抜粋・翻訳です。

Decentralized（非中央集権型）分散スーパーコンピュータとは？

一般的に分散スーパーコンピュータとは、非常に優れた規模拡張性を有するコンピューティングシステムであり、単一の専用マシンに比べ、はるかに高いリソースへのアクセスが可能になります。これが何であるかをよりよく理解するために、非常に分かりやく書かれた分散コンピューティングシステムの定義をご紹介します。

一般的に分散コンピューティングは、複数のコンピュータが1つの問題（タスク）に取り組んでいる概念として理解することができます。タスクは複数のパーツに細分化され、それぞれ別のコンピュータによって解決されます。ネットワークを介して互いに通信することができるコンピュータは、各パーツの取組み結果、またはメモリ/データを相互に同期させることができるので、適切に実行されると、これらのコンピュータは外見では、単一の装置のように見えます。この方式を採用することで、1台のマシンと比較し、大規模な並列処理と、非常に高速な処理が可能になります。

ではそこに「非中央集権化(Decentralization)」が加わると、何が変わるのか。伝統的な意味での分散型コンピューティングシステムは、しばしばマスターノードと呼ばれる中央の脳に依存しており、タスクの分割、タスクの分散、および結果の収集を実行します。XELの素晴らしい点は、中央が権限を持たない非中央集権型の分散コンピューティングを導入したことです。マスターノードの代わりにブロックチェーン技術を使用してコンセンサスを構成し、作業の分散、検証、および収集に特別なコンセンサスベースのプロトコルを使用します。

ではなぜ非中央集権化しなければならないのか？すでに存在するテクノロジーを使用できないのか？BOINCのように既存のソリューションを使用しない理由は何なのか？　―　　あなたがBOINCでプロジェクトを作成する場合は、あなたの仕事に取り組む人々を「惹き付ける」必要があり、リソースを提供する人たちに興味を持ってもらえないと、一切何も起こりません。一方でXELのアプローチは、ブロックチェーン技術を活用し、Bitcoinで知られているような「マイニング」プロセスと同様の方法でタスクの作業を統合します。そしてマイニング報酬を提案することで、仮想通貨マイナーの所有する、CPUとGPUで構成される大規模な並列計算クラスタにアクセスすることが可能になります。　　

他の「スーパーコンピュータ」プロジェクトについて
ブロックチェーンをベースにした様々なスーパーコンピュータプロジェクトが出現しています。複数のアプローチが提示されており、それぞれに長所と短所があります。私の知る限り、任意のタスクやアルゴリズムを実行することが可能な他のプロジェクトは、ブロックチェーンに基づく市場原理を採用した、仮想コンピュータのレンタルビジネスの提供に過ぎません。私の個人的見解では、これはDigitalOceanの変種に過ぎず、非中央集権型分散コンピューティングではありません。
しかし、非常に具体的な使用事例になると、他のプロジェクトが実際に優れたパフォーマンスを提供しています。一つの非常に良い例はGolemのレンダリング機能です。そこではレンダリングジョブを提示して、それを複数のノードに分散して、その画像の特定の領域をレンダリングします。特定の使用事例に合わせて最適化されたアプローチは、常に汎用ソリューションよりも優れています。

別の「スーパーコンピュータ」を試しているうちに怖くなった
ちょっとした話をご紹介したいと思います。私は最近、他のスーパーコンピュータを試してみました。これは先ほどお話した仮想コンピュータをレンタルし、何でも実行できるサービスです。最初はこのアイデアが気に入りました。しかしそれも、自分がコンピュータのリソースをネットワークに提供し、他人が自分のハードウェア上で必要なものを動かすことができるなら、何でも起こりうることに気づくまででした。私のコンピュータでネットゲームのサーバーをホストするだけなら問題ありません。しかし私のIPアドレスが容易トレースできる環境の中で、違法性、悪意のあるサービスの提供や、そのようなファイルの保存、共有、送信などに利用されると大いに問題があります。私はそれを望みませんし、そのようなスーパーコンピュータのノードを実行することは本当に危険なことに思えました。

XELはその種のものを一切許していません。それは「無害な」ものをプログラムする目的にしか使用できない独自のプログラミング言語を備えているからです。この重要性は、皆様にもご理解いただけるかと思います。

続く