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衆院和歌山1区補選は日本維新の会の版図を決める重要な選挙区

和歌山1区は旧新進党系


2月23日の記事で、4月の衆院和歌山1区補選に日本維新の会所属の林ゆみ和歌山市議の出馬が濃厚と報じました。

本日、毎日新聞が維新、衆院和歌山1区補選に市議の林佑美氏を擁立へと報じました。事前に林市議は市議選で公認との情報が広まっていましたが、林市議で決まりそうです。昨年の市議補選でトップ当選を果たした林市議は勢いがあるし「女性候補」という点も高ポイント。

それから確かに自民党の組織力は強大です。その上で同区の歴史的背景を説明しておかなければなりません。

かねてから二階王国と呼ばれる和歌山県。1区についてはこんな特殊な事情があります。和歌山は自民党、保守が強いのは事実。ただし1区は保守でも旧新進党系列であること。

小選挙区になった1996年に新進党の中西啓介元防衛庁長官、次いで二階俊博元幹事長の秘書だった谷本龍哉氏、そして現知事で旧民主党系の岸本周平氏が1区を守ってきました。中西氏も新進党、谷本氏は新進党時代の二階氏秘書、岸本氏は中西元防衛長官の支持者を継ぐ形で当選しています。

つまり小選挙区に変更して以来、自民党一筋という議員はいません。

補選候補の選定をめぐっては門博文元衆議院議員と鶴保庸介参院議員で紛糾し、先ごろようやく門氏に決まりました。本来の1区の特徴を考えると、実は鶴保氏の方が相応しいのです。なぜなら鶴保氏も新進党出身。

鶴保氏は岸本知事と懇意で、衆院時代の岸本知事の秘書2名が鶴保事務所に移籍しています。

岸本知事を支えるのは中西啓介氏から引き継いだ「岸本党」と呼ばれる強固な保守派支持層グループ。鶴保氏が出馬となれば当然、岸本党が全面的に応援することになります。

そのため維新は「鶴保氏ならば候補を出さない」という方針でした。ですが、門氏ならば与しやすしという判断で林市議が立候補すると思われます。もし林市議が当選した場合、相当なインパクトでしょう。

というのは現在、奈良県知事選で日本維新の会が支持する山下真候補が先行しています。奈良県知事が維新系、そして隣の和歌山1区が維新の議席になると大阪を中心に維新勢力が広域的に広まります。これは自民党も危機感を強めているのではないでしょうか。

ところが今月24日に都内で開催された萩生田光一自民党政調会長のパーティーに松井一郎大阪市長が出席しました。関西各地で自民党は維新に押されているのに、現場の党員たりから「ふざけるな」という声が漏れてきました。

林市議が当選しても新2区ではどうなるか?

ご存じの通り衆議院議席の10増10減から和歌山選挙区は3区から2区になります。補選は旧選挙区(和歌山市)で行われますが、次の総選挙から紀の川市、岩出市を加えた新1区に改定されます。

仮に林市議が今回の補選で当選したとしても、新1区の場合、ハードルが上がります。

というのは岩出市は鶴保参院議員の地元。そして岩出市・紀の川市は旧2区であり石田真敏元総務相の選挙区です。

今回の補選候補をめぐっては二階元幹事長が鶴保氏を支持し、世耕弘成・石田真敏両氏が門氏を支持しました。

鶴保氏にすれば地元であり、石田氏へのリベンジの意味も出てきます。都市圏に強いのが維新ですから和歌山市限定ならば有利かもしれません。しかし広域的になると組織力がある自民党が優勢ではないかと。

一時期、維新は当て馬候補を出して林市議を温存。その上で新1区を想定して強力な候補を選ぶ作戦も側聞しました。しかし林市議が公認ということは勝算アリとみたのでしょう。

林市議は勝機アリ!

現地の感触だと五分五分か、門氏やや優勢と伝わります。しかし私は林市議の勝機アリと見ています。何しろ門氏は一度も小選挙区で当選していません。しかもスキャンダル多数。中川郁子衆院議員との路チューも広く知られています。

こうした素行に公明党の婦人部がかなり抵抗を感じているとか。

加えて岸本知事は従来、維新と関係は良好であり、「岸本党」が林市議を推すということは十分考えられます。

林市議が当選した場合、「激震」といってもいいでしょう。関西政界で維新勢力が拡大するのはいうまでもありません。

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