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山賊行為概論 ① -概要、メリット、疑問と仮説編-

はじめまして!
もしくは以前からお付き合いのある方はこんにちは。自販機と申します。
Twitter( @AWAXLAND_DandL ) ではよくプロ野球、埼玉西武ライオンズの話をしていますが、野球ファンにはおなじみの「山賊襲来」について、ここ2年に渡って考察した自分なりの答えを、言葉にして何記事かに分けてまとめてみようと思います。

※この記事には試合やデータを見ての独自研究が強く含まれています。引用は自由ですが鵜呑みにすると…なので何卒ご理解のほどよろしくお願いします

山賊行為とは

2018年、開幕戦いきなり2桁得点、レア応援歌「かっ飛ばせ若獅子」がシーズン初戦から演奏されるという異例の雰囲気の中、強力打線を武器にパリーグを制覇したライオンズ。1イニングであっという間に5、6点を奪い、反撃を許さない点差まで持ち込む様子を、ライオンズファンは「山賊襲来」「山賊行為」という言葉で表現しました。
(ごつい顔だよ山賊打線でおなじみの福岡時代の球団歌がルーツという話がありますが、確かどっかの巨大掲示板に書き込まれた言いがかり「ボールをしばき倒してる山賊みたいなバッティング」が先だった気がします)

この年からのライオンズは

①先発は0もしくは最少失点を続け試合を作る
②相手が反撃不可能の所まで点差を広げ
③勝戦処理、および抑えで締める

というわかりやすい勝ち筋を持ち、リーグ最多失点を記録しながらも多くの相手投手を返り討ちにしていったのです。

ルール上、野球というスポーツは「得点を多く取った方の勝利」という1つの勝利方法しか存在しません。
これは野球規則にも書かれています。

(g)〈4.11〉正式試合においては、試合終了時の両チームの総得点をもって、その試合の勝敗を決する。
(1) ビジティングチームが9回表の攻撃を終わったとき、ホームチームの得点が相手より多いときには、ホームチームの勝ちとなる。
(2) 両チームが9回の攻守を終わったとき、ビジティングチームの得点が相手より多いときにはビジティングチームの勝ちとなる。

例えて言うならば、遊●王の「エ●ゾディアパーツを5枚揃えた瞬間勝利する」というような特殊な勝利条件は野球には存在しません
点を多くとったほうの勝利、という特徴を最大限に活用した戦術が、山賊行為のキモであると私は考えています。

山賊行為のメリット

山賊行為をやるメリットは2つあります。

①大量点を取ることにより、相手に「ゲームを捨てる」という選択肢を選ばせる確率を高くする

当たり前ですが大量点を取って反撃不可能のところまで点差を広げてしまえば、相手は逆転することが難しくなります。これらを繰り返していくことにより、“野手力だけで”ペナントでの勝率を高くすることができます。

②ビハインド時では大量点を取ることで逆転の可能性が高くなり、拾える勝ち星が増える

いわゆる「逆転ダイオンズ」「逆転の獅子」とか言われるあれ。どこからでも大量点を取れることにより、リードして平井ヒース様増田出して一気に〆。そんな展開にすることができます。

カードゲームをやられている方はピンと来るかもしれませんが、ビートダウン型のデッキを野球でやるイメージです。これをどんな展開からでもやれる、というのが山賊の素晴らしさだったりします。「ペナントは野手力」とはよく言われる言葉ですが、以下から始まる山賊のカラクリは、よりこれらの長所を輝かせることができます。

(ちなみに。もちろん弱点はあります。が、以下のカラクリの話が終わってからじっくりお話ししようと思います)

ストレート系に“強すぎる”山賊打線

2018年4月も終わりに差し掛かった頃、私はこんなデータを見つけました。
ライオンズのストレート系の得点増減の指標が、他5球団、ひいてはセリーグも含めた他11球団と比べて明らかに異様な数値を記録していたのです。

(データは 1.02 Essense of Baseballより抜粋)

こちらはDELTA社が出した2018年シーズン終了時のデータになります。
wFAという指標を使って見てみると、ライオンズだけ3桁を記録しています。
また、ツーシーム系の得点増減を表すwFTでも、ライオンズは2位にほぼ2倍以上の差をつけてトップ。これらのDELTA社が出したデータでは4月度から一度も首位を譲らず、4月の時点から2位にダブルスコアの差をつけていました。

そして実際の試合映像、スポナビ一球速報の配球図でも、私はよく「ストレートを仕留めて得点してるな」と思い、同時に疑問に思っていました。

それは2019年現在でも変わりません。
上図はスポナビ一球速報を元に、プロ野球史上2位の月間172得点を記録した2019年8月、ライオンズが打って得点した打席数を、私がExcelでまとめ、球種別に円グラフで表したものです。(四球、死球による押し出し、悪送球も1打席としています)
得点できた128打席中55打席、実に約4割以上、ストレートを打って得点しています

なぜ、ライオンズはこれほどまでストレートに強いのでしょうか?なぜ、ライオンズは失点数が最多でもパリーグを制覇できたのでしょうか?

3つのカラクリ

この「なぜ」に対し、私はこう考えています。

•ライオンズのレギュラーメンバーは全員日本でも屈指の「トップの形」と「トップ作り」を持っているのではないか?

緩い球が来たなら早いカウントでも強振し、強い打球を飛ばす「好球強打」の戦術を採用しているからではないか?

・1塁、もしくは2塁を埋め、盗塁の可能性をチラつかせて、刺しやすいストレートを相手捕手に選ばせているのではないか?

これら3つを合わせたものが、「山賊行為」の正体ではないかと思います。

詳しくは次回へ

ここから先は各要素の説明に入りたいところですが、一つ一つを丁寧に取り上げるため一旦この記事はここで切り上げます。
移籍で投打のコアが抜けても、圧倒的な戦力を持つホークスを追い詰めたライオンズ。次回は「好球強打」編の予定です。

まだまだ未熟者で、知識も技術もみなさまと比べて足りないところばかりですが、多くのことを学んでいければと思います。たくさん突っ込まれてたくさん吸収したいです!これからもよろしくお願いしますm(_ _)m

それでは、また。
じはんき

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