見出し画像

初夢だもの  よみがえるのかニコンFM2は

小さのから、大きいのまで数えると、十台以上あるデジタルカメラ。
一番古い物は二十年以上、最新版ですら十年は経過している。

300万画素が500万画素に、そして600だ1000だ、1400万画素でも十分だと思っていたら、令和の時代は5000万画素ときたもんだ。
なにいってやがんでえ、ええ、どこまでいきゃあ気が済むってもんだい。
べらんめえ、ふざけんじゃないよお、おまいさん。
黙って聞いてりゃ、いい気になりやがって、どこのこんこんちきだ、そんなわけのわからねえもん作りやがんのは、雁首揃えて出てきやがれってもんだ。こちとら隠居の身の上で、これ以上写真機なぞ買いやがったら、かかあに家をおん出されちまう。もう写真機は買わねえよ。いやいらねえよ。
だって、おいらは悔しくてよ。弐紺の旦那が、新しい何に手えだしやがったって聞いたときゃあ、金の玉が、ちじみあがったぞ。弐紺の旦那だけは、三代続いた大事な御家紋を捨てるわけねえて思ってたらよ、まさか新しい何に手えだすなんて、おいら信じられねえや。

正月に、志ん生のデジタルリマスターっていうのを、見てしまったら、どうにもこうにも、江戸にタイムスリップしてしまう癖が出て困る。
頭の血の巡りもだいぶ古ぼけてきたから、なにをいっているのやら、なにを書いているのかもわかんねえ。

話はかわり、ニコンのFM2が二台ある。厳密にいえば、NEWとNEWじゃないやつだが、素人が写真を撮る分にゃあ、どっちでもどっこいどっこいだ。
一台は、とうとうシャッターが切れなくなってしまった。
しょうがないから、新しいFM2を買ったが、買っていくらも経たないうちに、アナログカメラのほとんどは製造中止になった。
じきに、フィルムも止めたときたから、そりゃ腹も立つし、ナニもタツ。
あの頃は、まだまだ若かった。
いまの若けえもんは、小西六とか三菱の月光とか、知らねえだろう。
令和6年という表記も気に入らねえ。令和ときたら六だろう?。
初夢は、このFM2をぶらさげて、江戸の街をブラブラ、いわゆる銀ブラするっていう設定で、幕が開けた。

革のストラップがお似合いだ
デジカメの若造とは年季が違わあな


二十年もフィルムが入っていない空のカメラぐらい、気の毒なものはない。
写真屋行って、フィルム買おうとしたら、一本二千円だって。
新年だからハンドタオルが付いてくるって、立川志の輔じゃないんだから、ハンドタオルはいらねえよ。
いや、やっぱりもらっておこう。かかあが喜ぶ。
データーをスマホに飛ばしますかって、ガラケーはどうすんだい。
さらにCDも付けますかって。写真撮って、何を聴くんだい。ナニ違う。
いったいぜんたい、フィルム一本買って、写真撮って、現像して、36枚を手札判に引き伸ばせば、まとめていくら払えばいいんだよお。
昭和の頃は、クリーニング屋へフィルム持って行きゃあ、一枚十円で現像料サービス、なんてえのがあったぞ。

正月から色々と考えたら、「ア~、頭痛くなってきた」。
ちょいと横になるから、「おいまくら、さくらとってくれ」って、どこかの寅さんまで出てきたよ。
なにが寅だよ。
おまいさんは、ほんとにばかだねえ、今年は「タツ」年だよ。
おあとがよろしいようで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?