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たぶちくんと三冊の本

「焚火は森のテレビジョン」は、僕の大好きな田渕義雄さんの言葉だ。
田渕義雄さんは、寒山の森に移住して、その生活や遊びを、本にしたり、雑誌に掲載して、田舎しかしらない僕に、豊かな森の話を届けてくれた。
薪ストーブはログハウスの憧れから、フライフィッシングは息子からの直伝、山歩きやクライミングは職場の先輩に手取り足取り教えられ、田舎的暮らしは母の生活から学んだので、直接の影響はなかった。
四十年ほど前、寒山の森を目指してキャンプから始まる物語を読み、リアルタイムでわくわくし、自分の遊びや生活に彩を添え、思想を植え付け、間接的に後を追いかけつづけていたが、気が付いたら、彼はいなくなっていた。
寒山の森の生活実践者であり、発信者であった彼は75歳だった。
彼は、寒山の森で執筆中に、とつぜんだった。それから4年になる。
ふりかえれば、米国の情報が多かった。
フリークライム、ロングトレイル、フライフィッシング、薪ストーブ、キャンプやガーディングなど。ターシャの庭造りのブームも田渕義雄さんからだ。
そのなかでも、ソローの「森の生活」を何度となく紹介していたので、文庫本を読んでみた。むずかしかった。時代背景も、宗教的なことも、米国文学なんて何も知らないので、迷路に入り込んで止まってしまう。
そうか、田渕義雄さんはこんな難しい本をすらすら読んで、理解できるのかと、うらやましかった。
本山さんのイラスト入りの新刊がでたので、再度読んでみた。
やっぱりむずかしかった。
「メインの森」という本があったので、試しに読んでみたら面白かった。
こちらは、動きがあり、米国の原生林の森を旅している気分になって、よみやすく、わかりよかった。
七十台になった今、今年はこの三冊をじっくりと読んでみよう。
若い頃とは違う世界が見えればうれしいが、やはりむずかしいのかな。
その時は、薪ストーブメーカーに残された、94編のブログを読むことにしよう。昔々の、雑誌も読んでみよう。

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