劇団を会社にする理由~きっかけ編~

【時間堂 会社になる02】

いまさらですが、タイトルをつけました。プロデューサーの大森晴香です。日記というには程遠い頻度でお送りしています。プライベート日記は1か月つけてやめました。
余談ですが、私、こういった語り口調の文章を書くのが苦手です。苦手、というか、正確に言うとまとまらなくてとてもすごく時間がかかる。そして長くなる。業務日報とか、助成金申請書とか、論理的な文章を書く方がどちらかというと速くて慣れています。
だから何が言いたいかというと、今後も更新頻度は週1回くらいだよ、という言い訳。そして、私の文章はドラマチックとかエンターテイメントとかとはやや縁遠いと思うよ、という言い訳でもある。そして今日も写真は無。…の、載せ方がわからないんじゃなくて、載せたい写真がないんだもの…ごにょごにょ。

いきなり話が逸れちゃった。

本題。

今日は「そもそもなんで法人化?」という話を書きます。

一言で言うと、「演劇を仕事にしたいから」。もうちょっと突っ込んでいうと、「やってることのスケールが大きくなってきたから」「共有財産が増えてきたから」

もともと時間堂は「任意団体」、平たく言うと趣味サークルと言っても差し支えない緩やかな集団でした。やっていることの規模が比較的小さいうちは、小回りも利くしお金もかからないし、決して悪いものではありません。自分たちのできる範囲でやりたいことをやる。その「できる範囲」には、経済的な範囲も含みます。

しかし、事業規模が拡大してくるとそうも言っていられなくなります。「いつか演劇が仕事になったらいいね」、と本気で考えているなら、劇団にとって「法人化」は避けて通れない議案だと思います。好きな演劇を趣味として続けられるだけでいいの、という場合は無理して法人化することないとも思います。

かくいう時間堂も、私が入った当初(2012年2月)から、「演劇で食えるようになったらいいなぁ(ほわわわ~ん)」「いつか自分たちのスタジオが持てたらいいよねぇ(うっとり)」という夢そのものは見続けてきました。でも、実現に向けて本腰を上げなかったのは、差し迫った議案である、という認識が薄かったからです。

私が一番最初に法人化をはっきり意識したのは「助成金申請」のときでした。

遡ること2年前の2012年、私たちは「助成金ゼロ。各地の劇場さんや演劇人の皆さんにおんぶにだっこで乗り切ろう★」みたいな、大変無謀な初めてのツアーを敢行しました。そして、プライスレスな出会い、経験とひきかえに、次の公演の準備資金を使い果たすレベルの赤字という苦難に直面しました。

演劇公演というのは、入場料が主な収入源です。つまり、チケットが売れるまではまとまったお金が入りにくい。でも、劇場を押さえるにも稽古場を使うにも宣伝するにも美術・衣裳・小道具などなどを用意するにも、お金は必要です。そしてそれらの支払いはわりとチケット収入よりも前になりがち。

公演が終わった時点で貯金ゼロ、というのは次の公演ができないぞ、という危機を示します。このときはみんなで立て替えあったりワークショップ収入を充てたりしてどうにか乗り切ったのですが、制作責任者として本当に申し訳なく、不甲斐なさを痛感しました。

演出と俳優は自分たちの持ち場でしっかりと成果を出しているのに、私は責任を果たせなかった。そんな思いがぐるぐると頭を駆け回る日々でした。

そのあたりから、ようやく私は「資金調達」ということを意識するようになりました。お客さんをたくさん呼んで、チケット収入だけで興行を成立させ、劇団経営を安定させる、というのはとても素敵です。でも実際はそれだけでは「とんとん」が関の山で、劇団の外への支払いを済ませた上で劇団員に満足な演出料・出演料・制作料を払えるほどの儲け、なんてなかなか出ません。それで「お金を外からもらうには」と考えたときに初めに着手したのが助成金申請でした。

そう簡単には採択していただけないけれど、何度も書いているうちにぽつりぽつりといただけるものも出てきました。助成金は返さなくていいお金です。その分、時間と労力と神経を使って書くものではあるけど、幸い、ロジカルな文章を書くのは嫌いじゃないし、「この企画で何をやりたいのか」「この企画は何が胆なのか」「助成金団体が重視している事柄について、どのように貢献できるのか」みたいなこととじっくり向き合えるので、結構好きな仕事ではあります。

これなら私のスキルでも資金調達に貢献できるぞ(それも比較的楽しい感じで)。

ところがある日。

とある助成金の募集要項に、「今年までは任意団体でもいいけど来年からは法人格がないと出さないよ」みたいな(もっと固い表現だったけど)文言を発見。

まずい。お金をもらうにもホージンにならなくちゃいけない時代が来た。

でもホージンてなに?
ひとくちにホージンていってもいろいろあるらしいし。
ホージンになるとどんないいことがあるの???

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今日はここまで。
次回、「芸術団体にとっての法人化の意味、メリット」あたりに続きたいと思います。

ふひー。ある程度想像してはいたけど、これ、書くのたいへーん。
でも、これは将来の自分のためにも、小劇場界の将来のためにも、起業を夢見るひとびとのためにも、きっと財産、糧、参考になってくれる(はず)。
ご声援よろしくお願いします。

時間堂P 大森晴香

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