超・具体的な小劇場の課題と対策

【毎週火曜更新・時間堂、年商1億プロジェクト23】時間堂プロデューサー大森晴香です、ごきげんよう。お蔭さまでまいかプロデュース、大盛況のうちに幕を閉じました。毎回キャンセル待ちの番号を出す、というのは文字通り嬉しい悲鳴でしたねぇ。

※3/2水1015にひとつ追記しました

時間堂以外の団体に関わる数をかなり減らしている昨今の私ではありますが、このタイミングで、外部団体で気づいた課題の「傾向と対策」を考えてみようと思います。あ、まいかプロデュースのことだけじゃないよ、演劇界全体的な話だよ。

公演直前あるいは初日明けないと予約が伸びない!

チケット予約の波は、多くの団体で発売直後に一回来て、そのあとはちょびちょびしか増えず、公演直前になってからぐいーんと来たりする。最近は評判を見極めてから来るお客さんもいるから、初日明けてから突然売れたりして票券担当がパンクしたりする。なにより、このままスカスカだったら…という恐怖を抱えたまま初日を迎えるので、主催者はお腹が痛いし、クリエーターたちも創作に集中したい時期に携帯を気にし続けるという、あんまり素敵じゃない精神状態になる。
公演1週間前くらいの段階でフルキャパの7割くらい売れてるのがベストなんじゃないかと思っていて、そのためには公演初日に照準を合わせるんじゃなくて、前の週に合わせた計画を立てたらいいんじゃないかと思う。フルキャパ8割で予算達成する前提の場合、ね。
発売即完売!とかかっこいいんだけど、それはキャパが合ってない疑惑だと私には思えるのです。そんなにたくさん観たいかたがいるなら、もっと広いところにするか公演回数を増やすかしたらよかろうもん。

お客さんが時間通りに揃わない!

これ、お客さんが悪いじゃんって思いたいのですけど、実はそれだけじゃないんだなぁ。遅れて来ても大丈夫って思わせない演出を、制作がしたらよいと思う。
前日のご案内メールに「遅れると席がご用意できないことがある」旨を明記する、というのを私はよくやっているんだけど、どうやら遅れるタイプの方々ほど定型文ぽいメールをスルーしがち、のようでして。
工夫してるところの例をひもとくと、開場時間にお楽しみパフォーマンスがあったり、お食事ができたり、早くいくとお得だなぁってのがいくつか思い当たる。あとは、「構造上、開演に遅れたら中に入れません」とまで言われると、さすがに回避モチベーションで絶対に間に合わなくてはって気持ちになりますな。
それと。これはそもそも論なんだけど、時間守らなくてもどうせ開演は押すものでしょって思っている演劇人の感覚がよろしくないと思っています。そしてこれは私の主観ですけど、遅れても平然としてるお客さんが多い団体は、大概その団体自体が時間にルーズです。稽古も打ち合わせも、劇場からの退館時間もずるずる。それじゃお客さんにだけ「時間になったらはじめるよ」とは言えないですよね。
電車が遅れたり自分が寝坊したり、それをゼロにするのは人間だから無理かもしれませんけど、遅れるときは連絡する、というのはそんなに難しいことではないと思います。まずは自分から。

劇場内の空調が難しい!

これ、ほんとによくあります。席によってエアコンの効き方が全然違う会場。劇場って住居よりも天井が高くて幅も奥行きも広いわけで、それを均一な温度にするのは至難の技、ていうかたぶん無理。
これはもう、「そういうものだ」と考えて動くしかないと思います。開演前にお客さんに衣服で調節していただくようアナウンスするとか。会場内にエアコンスイッチがあるなら、近くにスタッフを座らせて調節しながら観劇するとか。
制作がゲネプロ(本番通りにやる最終リハーサル)を観ることが助けになると思います。「準備が間に合わないから」「ロビーの留守番がいないから」といってゲネプロを見ない制作がいるけれど、見切れ(見づらい席)の確認も必要だから観るべき。やむを得ない場合は代理で観てもらうひとを見つけておくべき。

お金がないから制作は雇わない?!

私が関わってるところはそんなことないのですけど、いろんな団体に出入りしてると制作不在なプロダクションの噂が耳にはいることは珍しくないです。照明や音響はプロに頼まないとできないけど、制作は学生でもできるし、最悪いなくてもできるよねー、という発想。のけぞります。
制作って、ひとつひとつの仕事はそんなに超絶技巧があるわけではありません。あのひとにしか出せない色が、音がある、みたいなことは、まぁないでしょうね。そこではないんですよ、制作が必要な理由は。
前にも書きましたけど、制作の守備範囲はものすっごく広いのです。アーティスト集団の中で、最も「社会の常識」みたいなものも求められる。それを俳優が兼任したり、未経験者に任せたり、というのは無理があります。
どうしてもお金がないならアドバイザーだけ雇うのが妥協案です。でも、私が思うに、プロに頼んだ方が時間も労力も浮くので、そのぶん作品のクオリティが上がったり広報活動に割く余裕が生まれたりするんじゃないかなぁ。

主催者がお客さんを呼ばない!

そんなことあるの?って思いますよね???あるんですよ、実は。
外部からやってきたスタッフや俳優が宣伝しないことはあるかもしれないなぁと理解できます。でもねぇ、主催団体の人間は、観てほしいと思うものをつくってるはずなのに。
よくあるのが、主宰や制作が呼んでないパターン。そのわりに出演者には「チケット売れ」(注:お客さん呼んで、ではないところも大いにまずい)ってプレッシャーをかけたりする。
時間堂のここ数年の東京公演は、私がお客さんの約1割を呼んでいます。それは責任感の話ではなくて、単純に観てほしいひとがそれだけいるということです。
それをやりたい気持ちがないなら、所属しなくていいんじゃないかなって思います。雇われスタッフで、与えられた仕事を粛々とこなすだけで。それでも生計は立ちますし、立派な仕事だと思います。中の人なら、という話です。

欠員が出た!

こればっかりは予測不可能で、いまだ解決案が見つかってないのですけど。インフルエンザでロビースタッフが来られなくなった日がありまして。これって誰も悪くない上に、防ぎようがない。だからと言って、多目にひとを呼んでおくのも、仕事がないのにキープすることになっちゃう。
今回はたまたまロビースタッフだったし、少ない人数でもなんとか乗り切れる布陣だったので事なきを得ましたが。一回はピンチヒッターが来てくれましたし。
もしこれが俳優だったら?
あるいはロビースタッフにしても複数が倒れたら?
スタンドイン(代役)を用意できるような公演はまれです。引き続き、私なりの正解を探していこうと思います。

当日精算のお客さんが来ない!

いやもうこれはほんとにやめてほしい。予約してる分、ほかの誰かに回せたかもしれない席を、お金も払わずキープするってことですよ、これ。
これはもうほんとに身元のわかるひと以外は全員事前決済にするくらいしか、手だてがないように思います。さすがによく知る仲のひとはドタキャンしないでしょうし、した場合はそのひとの評判に具体的な傷がつくだけです。
もしかしたら、キャンセルや変更をOKにした方が、ちゃんと連絡をしていただけたりするのだろうか。キャンセルはしないでほしいけど、だからと言って、無言で来ないってのは最も困るわけですよ。
京都で架空予約事件があってからずっと考えています。夏の劇場公演では、今までと違うやりかたを試してみるつもりです。
ほんとは、こんな心配しないで、予約してくださったかたを信じたいんだけどね…時間堂のお客さんはほぼみんな来てくれるんだけどね…でも100%ではないのだよね…。

指定席チケットを持ってるお客さんが来ない!

チケットを事前にお買い上げの方が、チケット持ってるのにいらっしゃらないのも実は困っている。どういうことかというと、ひとりで10枚とか大人買いしてくださるかたが、実はご来場はひとりで残り9席はいわゆる「ご祝儀」だった、というケース。
お金はいただいてるから、お金の話じゃないんだ。お金くれるのは嬉しい。でも、その方が買ってくださったお席がまるまる空席になるのが悲しい。
そこに誰も座らないことがわかっていたら、満席でお断りしたお客さんにも観ていただけたかもしれない。来るかもしれないから、と受付がずーっと待つことも、もし大幅に遅れてらしたらどうご誘導するかに頭をひねることもないだろう。
自由席のときだって、通常は席の数より多くチケットは売れないので、「完売なのに客席がらがら」ってことが起こり得る。
リアルにお金を包む「ご祝儀」はお金が生々しすぎて気が引けるのかもしれないけど、だったら「この席は誰も来ません」ってことだけでもどうにかして教えていただく方法はないだろうか。レパートリーシアターのカルチベートチケットみたいに、そのぶんのお席に「観たいけどお金がNAI!」てお客さんをご招待するとか、なにかしら幸せが増幅する解決策があるはず。

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このねたいくらでも書けそう。あまりにも夜更けすぎるので今晩はこのへんで。

※最後のひとつは3/2水1015に書きました。

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火曜更新・時間堂、年商1億プロジェクト

やや誇張、意外と本気の新米シャチョー奮闘記です たぶん、毎週火曜くらいに更新されます 合同会社時間堂 代表 大森晴香
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