28歳で初彼女ができた話 ④ついに…正式に友達から彼女になった瞬間

そこからの一週間は不思議な感じで、仕事中も心ここにあらずという気持ちだった。
お互いに好きという感情はすでにぶつかった。しかし好きという言葉は出ていない。とにかく臆病者で一歩踏み出すことを恐れる僕は、どこか恐怖心があり自分から好きと言い出すことはできなかったのだ。

一週間後、いつものように遊びに行った。ミハルの提案でこの日は映画を見た。ゲラゲラ笑えるようなコメディ作品だった。

帰り道はこの日もミハルが送ってくれた。
実家なので家の目の前だとまずいので、送り先は近くのコンビニだ。
着いた後もなかなか別れられず、他愛もない会話が続く。そして沈黙のあと、ミハルが切り出した。
「あの…私たちって…その…付き合ってるってことだよね?」

「お、おう」
頼りない返事しかできなかったが、内心嬉しかった。仕事の関係が、友達を超え、正式に恋愛関係になった瞬間。苦節28年、はじめての彼女ができた瞬間。
後ろめたさがあった先週のそれとは違う、長い長いキスを心おきなく交わした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?