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チーム人件費にまつわる話

大宮花伝を読んでいたところ、新体制発表記者会見の記事に気になる記述がありました。

有料記事なのでそのまま転載することはできないのですが、囲み取材での話ということで内容をオープンにするのは問題なさそうなので私の方でまとめると、社長の言葉として

  • 事業費全体におけるチーム人件費の割合が他のクラブと比べて低い

  • 強いチームは事業費の大小に関わらず、だいたい半分ぐらいをチーム人件費にかけている

  • 大宮は23シーズン開始時点でチーム人件費の割合が3割に達していなかったので、そこを4割・5割に増やしていきたい

とあったそうです。

大宮のチーム人件費率はどれくらい?

Jリーグが公開しているクラブ別経営情報は22年度までしかないのですが、それを見ると大宮のチーム人件費率は確かに3割を切っています。
(以下、金額の単位はすべて百万円)

22年度のチーム人件費率が高い順

下3つはどんぐりの背比べですが、大宮は22%で見事に最下位でした。
23年度もおそらくこれと同水準だったと思われます。

大宮の過去の分も調べてみたのですが、

  • 21年度 売上高3,115、チーム人件費1,084、チーム人件費率35%

  • 20年度 売上高3,034、チーム人件費1,000前後、チーム人件費率33%前後
    (※20年度は人件費の定義が異なるため、正確な算出はできず)

だったので、元々は30%台あったものを22年度でぐっと下げたようです。

チーム人件費率と成績は比例するのか?

社長の言葉の中に「強いチームは事業費の大小に関わらず、だいたい半分ぐらいをチーム人件費にかけている」とありましたが、それが実際にそうなっているのかを確認してみました。

22年度のチーム人件費率と成績の相関

上のグラフは縦軸がチーム人件費率の順位(下から1位で上が22位)、横軸が成績の順位(左から1位で右が22位)で、「チーム人件費率が高いほど成績も良い」のであれば左下から右上にかけて斜めに点が並ぶ形になるのですが、そうはなっていません。
ちなみに、成績1位の新潟はチーム人件費率では17位でした。

一方で、人件費率ではなく人件費(金額)で見ると様子が変わります。

22年度のチーム人件費と成績の相関

こちらの方が相関があるように見えます(左下から右上にかけて斜めに点が並んでいる)。
つまり、チーム人件費率の高低よりも、チーム人件費額の大小の方が成績に与える影響は大きそうということです。

ただ、売上高を来年から急に伸ばすことはおそらく難しいので、結局は
人件費を増やす=限られた予算の中で人件費率を高める
ということになり、社長の発言の意図もそこにあったと思われます。

チーム人件費よりも大事なもの

22年度のJ2のチーム人件費率の平均は39%でした。
大宮の人件費率がそれぐらいだったと仮定すると、

  • 売上高2,638 ✕ 人件費率39% = 人件費1,028

となり、22クラブ中6番目に高い数値になります。
実際の人件費は538だったので倍近くに増えています。
人件費が上から6番目であれば成績もそれくらいは狙えそうな感じではありますが、必ずしもそうならないのが難しいところです。
21年の大宮は人件費が1,084で上から5番目だったが成績は16位だった、というのがそれをよく物語っています。
結局のところ、人件費にどれだけかけようが、チームが一体となって戦えなければ何の意味もないのです。

そういった点では、近年の大宮のダメなところとしてよく指摘される

  1. クラブが明確な目標やビジョンを掲げない

  2. 監督によって戦い方がコロコロ変わる

  3. 選手にゆるさ・ぬるさがある

このあたりを変えることが何より大事です。
目標については先日の新体制発表記者会見で明確なものが掲げられましたが、他はどうなるか。
今後も見守っていく必要がありそうです。

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