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ムヒカ大統領の演説

ウルグアイのムヒカ前大統領の、2012年国連持続可能開発会議での有名なスピーチ。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=2&v=cCEgcd7G9Bg

スペイン語(国連公用語の一つ)でのスピーチだが、英語のキャプションが付いているのでぜひご覧いただきたい。

先進国そして新興国を支配する消費至上主義こそを見直すべきという強い主張である。

持続可能な開発を論じるならこの大前提こそを見直さなければならないと主張できる先進国の首脳が果たしているだろうか。否。

ムヒカ大統領は"the poorest president"(最も貧しい大統領)などと呼ばれることがあるが、必ずしもそれは正しくない。

大統領公邸に住むこと(およびそこに使えるスタッフを使うこと)を拒み、資産は1987年製のフォルクスワーゲンビートル(20万円相当)のみ、首都モンテビデオの郊外に住み菊を栽培して販売し、大統領としての報酬の9割は寄付。この姿勢はおそらくポーズなどではなく自ら強く抱いている価値観を体現したものであろう。そのような大統領の口から発せられるものであるからこそ説得力がある。

だが実際にはこれに傾聴し、グローバルの潮流を変えるには至らなかったのであろう。

国連は国連としての仕事をしている。問題は加盟国側の努力如何であり我々の意識の変化と行動である。

自らの仕事の意義についても考えさせられた。自分の仕事の多くの部分は確かに経済と事業の成長を是としている。しかしムヒカさんの言うとおり、たとえばもしインドがドイツ並みに乗用車を保有したらどうなるか、確かにこれは地球環境に多大なる悪影響を及ぼすであろう。同じことが食に関しても言える。

未だに各国を分類するのに「開発途上」と呼ぶことがあるが、果たしてここでいう「開発」とは何なのか。何をゴールとするのか。そして「途上」とはどういうことか。どこまで「途上」なのか。

これほどに重要な問題を先進国とされる日本の国民として、既に人口減少社会になっており価値観の転換を迫られている者として、真摯に捉えなければならないと散歩しながらあらためて思った猛暑の土曜日であった。

目下SDGs(持続可能な開発目標)に取り組む企業が増えているが、そもそも「開発が持続可能なのか」を問うべきであろう。

各国の思惑などオトナの事情はあろうが、真剣に人類いや地球という生命体の将来を憂えるのであれば(憂うべきである)、あらためてムヒカ大統領の主張に傾聴すべきではないか。

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