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グローバル化は死語

明日、ある企業の経営陣を集めた勉強会の講師を務めるのですが、勉強会のアジェンダは「グローバル化」です。

すでにその企業の売上の3割ほどは日本以外の国なので、人材・組織体制とのミスマッチが顕在化してきているという課題認識をお持ちの会社です。

この会社に限らず、日本企業は規模を問わず、未だ「グローバル化」を標榜する向きが多いように見受けます。

経営の定性目標として掲げることは正しい。なぜなら、海外売上高比率を問わず、起業は「グローバル化」すべきであるし、それら企業は実際のところ未だ「グローバル化」できていないからです。

問題は、グローバル化の本質を捉えて標榜しているか否かです。海外に営業販売拠点を設立するとか現地企業とJVを組んだり、或いは海外企業を買収するといった形式ではありません。或いは、外国人を登用したり、日本人社員が英語でビジネスコミュニケーションができるようになる、ということでもありません。

グローバル化とは、「グローバルな世界観を持つこと」であり、その上で自らの立ち位置を相対化することです。

既に多くの賢明な経営者の方々が気づいておられるとおり、欧米大企業は経営戦略のベンチマークには必ずしもなりません。日本は日本らしさを追求すればいいのです。無理して世界に合わせることはありません。ただし、既にいわゆるエクセレント・カンパニーと呼ばれているグローバル企業であるNestleやGEに日本企業が学ぶべきことはあります。それはグローバルな組織というものの考え方と経営のメカニズムです。

 

日本企業には迷っている時間はないのです。自らの強みを「世界観」に基づき正しく認識し磨くことが求められています。

英語の勉強をする時間があるなら温故知新だと思います。歴史に学ぶことは多くあります。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というビスマルクの言葉は重いです。

日本の産業競争力も然りです。あえて競争を避けることも戦略ですし、日本人が求めるもので得られていない妥協は多くあります。課題先進国としての強みを活かさない手はありません。

結果としてガラパゴスになったとしても、それが正しい世界観と自社の組織能力を看破した上での結論であれば良いと思います。企業の規模にもよりますが、日本市場は一企業にとっては、そして市場セグメントの定義によっては十分に大きい成長機会となり得ます。

なぜ今あえて、グローバル化は死後という主張をするのでしょうか。それはいわゆるデジタルエコノミーが、決して喧伝されている表面的なものではなく、企業のオペレーティングメカニズム(経営のメカニズム)を問うものだからです。デジタルトランスフォーメーションは企業の本質に対する根本的な問いを発するところから始まります。顧客に提供する価値は何か、自社の付加価値はどこで生み出されるのか。デジタルで新たに解決可能になった課題は何か。昨日の不可能は明日の可能とはならないか。

認識すべき最大の脅威を認識することが求められます。顕在・潜在の競合の脅威ではなく、消費者の意識と行動の変化です。産業財企業であっても、最終顧客である一般消費者の変化に刮目することが求められます。

コンサルとしての仕事でも社外の研究会でも日本企業の真のグローバル化のために自分にできることを一つ一つ確実にかつ迅速に進めていきます。

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