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若さから学ぶことは少ない

先日、ある著名な学者を招いてのクローズドの研究会に出席。

メディアも発しない、もちろん本にもなっていない世界最先端の生きた情報を入手。

クローズドの研究会なので、テーマも講師も明かすことはできないのだが、その道の権威であり有名な先生、御年70代後半。

研究会の参加者は、産官学のお歴々(自分等は若輩に属する)で、自分の経験・実績に基づく、様々な方向からの鋭い質問が講師に投げられるのだが、そのどの一つの質問に対しても、即座に、かつ説得力のある答が、最新の事例と共に返ってくる。しかもそれらの事例は生の情報ばかりだ。

世間では高齢者を邪魔者扱いする風潮が高まっており、確かにマスコミを見ているとその風潮はうなずけるし、街を歩いていても、昔に比べると品のある、若者が範にすべき「人生の大先輩」とは言い難い言動をとる高齢者が目に付く昨今である。

しかし、やはりそれぞれの道で長く研鑽を積んできた方々にはそれなりの知見・知恵があるし、その年になっても第一線で活躍し続けている方々にはとても若輩者には及びのつかない豊かな知恵や深い洞察がある。

最近の脳科学の研究によると(池谷裕二先生の著作にもしばしば引合に出されるが)、老化というものは、自らの思い込みによって加速するものであるということだ。

自分も前々から考え実践していることだが、老化というものは自己責任であると捉え、努力によって若さを維持することはできると考えている。身体的にも精神的にも、いや身体的なものと精神的なものは表裏一体である。

もう10年以上前だが、ある研究結果によると(当時の脳科学の知見は今に較べればまだまだだと思うが)、人間の脳は少なくとも70歳までは成長するとどこかで読んだことがある(出所要検証)。

記憶力にしても(ピアノ曲の暗譜もそうだが)、歳を重ねるにつれ衰えるということではなく、成長につれ、自分が保持すべき記憶とそうでない記憶の峻別が先鋭化されるということであると自分では仮説を立てている。

自分の場合、たとえばスクリャービンやメシアンといった近現代の大曲は、むしろ若い頃には理解できず、したがって暗譜も何もなかったが、今では理解も共感もできるし、それほど暗譜に苦労してはいない(もちろんベートーヴェンのような古典やショパンのようなロマン派の楽曲に較べれば難度は高いが)。むしろ暗譜力は向上していると思う。精神的に発達を続けている証左だと思う。

アンチエイジングだなんだと商業主義に踊らされてはいけないということではなく、うまく利用すればよいと思う。外見の美しさを保つのは理に適っている。ただしそれが歳を重ねることの否定になってはいけない。外見の美しさは若さに学ぶべきだが、それ以外あまり若さに学ぶことはないように思う今日この頃である。

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