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坂本龍一氏を悼む

坂本龍一氏が亡くなった。
YMOもスネークマンショーも自分の青春の一部だったと言える。その喪失感は大きい。

一方で、坂本氏は反原発の急先鋒でもあった。
「言ってみれば、たかが電気です。たかが電気のためになぜ命を危険に晒されなければいけないのでしょうか?たかが電気のために、この美しい日本、そして、国の未来である子供の命を、危険に晒すようなことをすべきではありません」同氏が、反原発集会でされたこの発言はあまりにも有名だ。

坂本氏が個人的にこのような意見を持たれることも、ご発言されることももちろん正当な事だ。ただ、この、ある意味専門家でも何でもない一個人の発言を殊更に拡散し、論理ではなく感性で人々に訴えようとする人たちには、注意した方が良い。

少し数字を挙げて考えてみよう。例えば、日本では2022年一年間で、30万件の交通事故が発生し、35万人が負傷、2600人が亡くなった。これが、どれだけ「国の未来である子供の命を、危険に晒している」か、言うまでもなかろう。こんな危険な自動車の運転(バス、タクシー、トラックも含む)は、直ちに禁止すべきだ!そう一方的に主張する人はいない。

つまり、原発と共に生きていくのか、止めてしまうのかを判断するためには、リスクの評価、それと裏腹の有用性、代替案採用の可能性、そのコスト、リスク低減の方策の検討、その現実性といった、極めて多くのファクターを冷静に、また科学的に検討して結論を出さなければいけないわけだ。
怖いから止めましょう。坂本龍一さんもそうおっしゃってますと感性だけに訴えてくる人には、必ず裏に何らかの意図がある。

ここでは、原発の是非そのものを議論はしない。そうではなくて、何らかの邪悪な意図を持って、有名人の発言を利用して、人々の冷静な科学的思考を混乱させようとしてくる勢力があるということだけを指摘しておきたい。

そういえば、今となっては誰も反対する人のいない種苗法の改正を、女優さんの無邪気なTwitter上の発言を悪用して、一旦は潰してしまった勢力があった(翌年には成立)。彼らの意図がどこにあり、目的は何であったのか、振り返って徹底検証することが必要なのではなかろうか?

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