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勘違いしがちな帳簿の付け方~帳簿の基本は【発生主義】~

好きなことで働いていくために個人事業主になったものの、本業以上に時間を費やしやすいのが帳簿の整理ではないでしょうか。今は便利な会計ソフト等がありますので、数字が苦手な方でも簡単に帳簿を付けられるようになりましたね。

12月~2月頃まで「確定申告に間に合わないから帳簿と向き合う」という言葉をよく聞きますが、残念ながら帳簿は確定申告のためにつけるものではありません。事業計画を立てるために必要なものです。

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かかりすぎている経費は何か、この経費を抑えるにはどうすればいいのか…など、今後の事業の計画に立てる際に決算書を使用するのです。ただレシートを貰い、ただ入力し、ただ確定申告をすればいいというものではありませんので、頭の片隅に入れておきましょう。


私も起業をし、帳簿を毎月つけ続けているわけですが、出身高校は商業科、経理関係の仕事に12年近く携わっていたので、大体のことは分かっているつもりでいました。
しかし、仕事で使用していた簿記が商業簿記ではなく共済簿記と呼ばれるもので仕訳の手法が若干異なっており、作業を進めるうちに仕訳方法の違いに気づくことが多かったです。何よりも、【売上】の記帳方法を間違えていたことに年の途中で気づき、最初まで遡って帳簿を修正したことは今でも忘れません。


間違えていたのは、【発生主義】で記帳したのか【現金主義】で記帳したのかという点ですが、何も知らずに帳簿をつけると【現金主義】になりがちです。そこで、今回は間違えがちな帳簿の記帳方法である【発生主義】【現金主義】についてお話をしたいと思います。

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帳簿の記載方法は発生主義です。これは、お金を受け取った(支払った)ときではなく、その事実が確定した時点で帳簿に記載する方法のことを言います。

例えば、2019年12月15日に売り上げた代金を、2020年1月10日に受け取る場合、2019年12月15日の段階で収入の事実が確定しているので、2019年の収入として帳簿に記載する…ということです。


逆に、お金を受け取った(支払った)ときに帳簿を記載する方法は、現金主義と言います。

例えばクレジットカードで支払いをした場合、
発生主義 ⇒ クレジットカードの使用日、クレジットカードの引落日の
       2回記帳
現金主義 ⇒ クレジットカードの引落日のみの記帳。


もし、現金主義で記帳をしたいと思っても、次の条件に当てはまらないと現金主義で帳簿を記入することが出来ませんので注意をしてください。

○青色申告をしている
○小規模事業者である(前々年の合計所得が300万円以下)
○事前に届け出をしていること
 この適用を受けようとする年の3月15日までに届け出が必要。
(1月16日以降に開業した方は、開業から2ヶ月以内の届け出が必要)

そして、この現金主義のメリットは帳簿付けが楽になることですが、デメリットは青色申告の特例が受けられなくなります。(控除額が最大65万円→10万円)この点を留意した上で記帳方法を決めた方が宜しいかと思います。


帳簿の書き方

例えば、セミナーやレッスンの申し込みを受け事前に入金された場合、

現金(普通預金) / 売上

と仕訳をしてしまいがちですが、この仕訳をするためには現金主義の届け出が必要となります。
※イベント出店等で、当日に売り上げて当日にお金を頂く場合はこの仕訳で問題ありません。


この場合、セミナーやレッスンの申し込みを受けた時点で売り上げの事実が確定するので、次のような仕訳になります。

申込を受けた日 ⇒ 売掛金 / 売上
代金を受け取った日 ⇒ 現金(普通預金) / 売掛金

※売掛金は、売り上げの事実が発生した時点で代金を回収せず、後日回収するのときに使う科目です。


この様に1つの取引で2回の仕訳が必要となるケースとしては、クレジットカードを使用したときや原材料等をツケで売買したときなどがあります。
どうしても現金主義手法での仕訳をしたくなってしまいますが、税務署への届け出をしていない人は出来ない仕訳なので注意しましょうね。


帳簿をつけるときはあくまでも、その事実が発生したときです。

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