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藤澤仁の近況報告 いつもお世話になっている皆様へ

あいさつ

自分はめんどくさがり屋な性分なもので、SNSも月に1回くらい、なんの脈絡もなく野球か競馬の話を呟く程度なんですが、自著の出版に伴って、この2週間ほどはたくさんポストしました。

それがどういう心境だったのかというと、なにぶん小説の世界では藤澤のことなど誰も知らないわけで、これはさすがに『自ら知ってもらう努力をせんことにはどうにもならん』という想いの顕れでした。
ご不快に思われた方には、すいません。
もうしばらく続けるかと思うので、なにとぞご寛恕のほど。

とか言いながら、せっかくなのでここでも宣伝させてもらいます。
自著はこんなやつです。

夏の呼吸 (文芸書)
https://www.amazon.co.jp/dp/4198648689/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_QhjeDbAQDHQ09

とはいえあまり多弁になりすぎないようにと、呟く内容を吟味しているうちに、日頃何も言わない反動もあってか、皆さんに伝えたいことが案外自分の中にたまっていると気づきました。
これをSNSで全部伝え切るのは無理だと悟ったので、トーク会で知恵をいただいたこともあり、noteを使ってみることにしました。

まあ、長文書きは自分の持ちネタみたいなもんです。
久々の『開発・運営だより』か『予言タイムス』みたいなものと思って、しばし藤澤の長話にお付き合いいただければと思います。

お礼

今回、自著『夏の呼吸』の出版に際し、推薦文を書いてくださった、小高和剛さん、イシイジロウさん、堀井雄二さん。
尊敬する皆様からお言葉をいただきたい一心でお願いをさせていただきましたが、素敵な推薦文を寄せていただき、本当に感動いたしました。
この場を借りて、お礼を申し上げます。ありがとうございました。

また、6/22(土)の紀伊国屋書店新宿本店でのトーク&サイン会にご来場くださった皆様、ありがとうございました。
遠路はるばるお越しくださった方、心のこもった贈り物やお手紙、お花をくださった方、笑顔で励ましの言葉をくださった方、皆さんのお気持ちの一つ一つから、言葉にできない底知れぬパワーをいただきました。

皆さんに会えるイベントは、やっぱり楽しい。
そう実感すると同時に、東京だけではなく、次は全国の皆さんにお会いできる機会を作りたいと切に思った次第です。

近況その1

情報がSNSで断片的に出てしまったせいで、一部歪曲したままネット記事化してしまっているように見えるので、現在の藤澤のステータスについて、自分の言葉で正確にお伝えしたいと思います。

これから、藤澤のSNSのプロフィールは、下のようにしようと思っています。

株式会社ミクシィ 次世代エンターテインメント室 室長
株式会社ストーリーノート 代表
元スクウェア・エニックス ドラゴンクエスト・シリーズディレクター/予言者育成学園FTA/プロ野球が好きだ!2017
小説『夏の呼吸』(アークライトノベルス)好評発売中!

現在藤澤は、株式会社ミクシィの次世代エンターテインメント室室長と、株式会社ストーリーノートの代表という二つの肩書を持っています。
これはどちらが主でどちらが副ということもなく、概ね同じ比重でやってます。

近況その2 ミクシィのこと

株式会社ミクシィでは、『次世代エンターテインメント室』の室長という役割をいただいています。

「次世代エンターテインメントってなんや」と思われると思いますが、ミクシィが現在力を入れているスポーツ関連事業に、自分がこれまでやってきたゲーム作りノウハウを合わせて、まだ見ぬ新しいエンタメを創出しようというチャレンジ部門です。

スクエニ時代に『プロ野球が好きだ!2017』を企画監修したくらいなので察していただけると思いますが、自分は山際淳司さんに憧れてスポーツジャーナリストになりたいと本気で思っていた時代があるほど、スポーツの世界に強い憧憬を抱いてきました。
なので、自分が憧れる世界に、自分の特技を買われて参加させてもらえる幸運など、間違いなく人生でこの一度きりだろうと思い、ミクシィにお世話になることを決めました。

新しい世界ではまだまだ知識不足で勉強の日々ではありますが、毎日ワクワクしながら仕事に取り組んでいます。
皆さんに成果を報告できる日は、まだ少し先だろうと思いますが、こちらの活動についても、皆様のご理解と応援をいただければと思っています。

近況その3 ストーリーノートのこと

もう一つは、株式会社ストーリーノートという、物語づくり専門の会社を設立しました。

小説やゲームシナリオはもちろん、将来的にはプラットフォームを問わずに物語づくりを請け負える会社に育てていきたいと思っています。
シナリオ作りの仲間は、予言者育成学園の時からアシスタントをしてくれていたスタッフが今も一緒に働いています。

すでに相当な大型RPGのシナリオの発注もいただいていて(ドラクエじゃないよ)、スタッフと共にその制作に取り組んでいます。
他にも、先が楽しみなプロジェクトが、いくつか準備中です。

また、この会社では「思いがけない場で物語を展開する」という目標を立て、これを実現するために様々な計画を立てています。
例えば脱出ゲームのような、そもそも物語を表現する場ではない所で物語を展開し、多くの人に楽しんでもらう。そんなことを目指しています。
こちらは、『マンホールカード』のプロデューサーを務めていた山田秀人(@FrancescoYamasa)さんに合流してもらい、共同で取り組んでいます。

どちらも今のところ順調で、どんなことをやっているのか早く皆さんに伝えたいなと思いながら、毎日過ごしております。

近況その4 フロム・ソフトウェアのこと

ネット記事で「藤澤がフロムを退職した」という見出しが出回っていますが、それもまあ間違いとは言わんのですが、言い方……というか、藤澤個人とフロムの名誉のために、ちょっと補足をさせてください。

(そもそも自分の口からフロムで働いていると言ったことは一度もないはずなんですが……、)とはいえ、一時期フロムでご一緒させてもらっていたことは事実です。

これは、社長の宮崎英高さんとゲームデザイン論を交わしているうちに「こんなことが実現できたら面白いんじゃないか」という実験的な発想が生まれ、その実現性を探る手伝いをしていた、というかたちでした。
詳細は企業秘密ですが、当初掲げた目標を達成し、予定通りにフロムの仕事は終了しました。
トラブルで辞めたとかではなく、業務完遂によって仕事を終えたということは、ここに明言しておきたいと思います。

各所で言っていることですが、藤澤にとって『デモンズソウル』は人生最大のやきもちを焼かせてくれたゲームであり、それを作った宮崎さんと一緒に仕事をさせてもらえる機会を得られたことは、まったく望外の喜びでした。
フロム社内はとても雰囲気がよく、離れるのが名残惜しいほどだったので、もしかしたら、また再合流させてもらう機会があるかもしれません。

近況その5 まとめ

と、自分の話をするのが苦手なもので、日頃の報告を怠ってきたことが祟って、やけに長い近況報告になってしまいました。

最近よく考えるんですが、人生の中で、どういう仕事に関わるか、何を成し遂げるかというのは、生きる意味とイコールと言っても過言ではないほど、大切なことです。
自分は、自分の人生の残り時間では、自分の心がやりたいと感じていることを優先的にやると決めています。
「どのグループに属するか」ではなく、「そこで何ができるのか」を優先して、自分の居場所を決めたいと思っています。

藤澤も、来年50歳になります。
やりたいことがあるのなら、躊躇している時間はもうありません。
なので、自分の気持ちに正直で、率直な選択をする生き方をしていきたいと思っています。

もしかすると、そういう生き方が、仕事をコロコロ変えるだらしない生き方に周りの方からは見えてしまうかもしれませんが、暖かい目で見守っていただければと思います。
たとえどこにいても、変わりません。自分は自分です。

小説『夏の呼吸』出版に際して

詳しいことは、いずれトーク&サイン会のレポート記事が出ると聞いてるので、ここでは自分の話したいことだけ。

今回、初めての著書を出させていただくことになって、関係各位にはお礼の言葉が見つかりません。
書いてから28年後に初書籍化される小説なんて、これワンチャンギネス狙えんじゃないの?みたいなレベルの稀な話を実現していただき、本当に心から感謝しております。

というわけで、最近多くの方から「出版おめでとう!」とお祝いのお言葉をいただきます。
もちろん嬉しいのですが、同時に「ん?」みたいな違和感が走るのを感じます。
この感覚はなんなんだろうと最初はわからなかったのですが、要するにこれは、自分の本が出るという感覚がまったくない、ということなんだろうと行き当たりました。

自分の本が出るというよりは、二十歳の頃の自分が別人格としてすぐ隣に座っていて、その若者が本を出すのを祝っている、言わば親戚の叔父さんのような心境なのです。
実際、もしも叶うことなら、遮二無二がんばっていたけれど一つの栄誉も与えられることがなかった二十歳の頃の自分に、この「おめでとう」の言葉を届けてやりたいと本当に思うのです。

『夏の呼吸』を広めるために

なので、最初は他人事のように受け止めていた今回の出版ですが、親戚の叔父さん的スタンスが、反対にいい方に作用し始めました。
「この本を多くの人に届けるために、叔父さんが一肌脱いでやるからな」みたいな、向きのよくわからない老婆心全開モードになっています。

とはいえ、小説の世界では藤澤仁など誰も知らないわけで、まったく0からのスタートです。
多くの人に知ってもらうために何をすればいいのか自分なりに考えて、トーク&サイン会で『チーム夏の呼吸』を結成させてもらったり、重版スターター(公約)を掲げたりしました。

『チーム夏の呼吸』というのは、トーク&サイン会にお越しくださった皆さんに(ほぼ無理矢理)結成してもらった本書の宣伝部隊です。
皆さんの営業活動に期待しつつ、親戚の叔父さんも更に攻勢をかけたいと作戦を練っています。
次は、東京以外の全国から、援軍を募りたいと思っています。

電子書籍版のこと

作戦内容の発表の前に、電子書籍版がほしいという声をたくさんいただいているので、その質問に答えておきます。

結論から言うと、藤澤は無力な著者でしかないので、それを決める権限を持っていません。
なので、これは藤澤は個人的にはこう考えている、という話として聞いてください。

電子書籍、便利ですよね。
ほしい時すぐに手に入るし、本を持ち歩かなくて済むし、片手でも暗い場所でも読めるし……。
読者にとってはメリットばかりの一方で、藤澤のようなド新人作家にとってはマイナス面もあります。
それは、皆さんに本を届ける過程で関わるはずだった多くの人を、ヒョイとすっ飛ばしてしまう点です。
新人作家には、まずそういった方々、とりわけ書店の皆様に力量を認めてもらって、応援いただく味方になってもらう機会が必要なのです。

そのため、本書は、まずは書店で、紙の本を売ってもらうことから始めたいと思っています。
電子書籍版も、きっといずれやってもらえるのだろうと思いますが、それはもう少し後からでもいいのかなと。(個人の見解です)

電子書籍版をご希望の方には申し訳ありませんが、上記のような事情をご理解の上、リリースはもう少しお待ちいただければと存じます。

『チーム夏の呼吸』作戦 その2

トーク&サイン会に、お一人書店の方がいらっしゃっていたので、「よかったらお店に呼んでください」とお願いさせてもらいました。
この手の話はまあいろんな稟議があると思うので、そうそう言葉通りに進むわけではありません。
ですが、とにかくこのことがきっかけになって、一つ思いつきました。

藤澤のことを知る方の中で、書店の方、あるいは書店にツテをお持ちの方がいらっしゃったら、簡単なサイン本の販売イベントのようなことをやらせてもらえないでしょうか。

スケジュールやコストの都合もあるので、いつでもどこでも行けるというわけにはいきませんが、複数の提案をいただけたら、それらをうまく組み合わせて実現案を探らせてほしいと思います。

協力してやろうと思われる方は、ぜひ下記までご連絡ください。
jin_fujisawa@storynote.jp

先述の通り、東京以外のエリアで皆さんお会いできる機会を作りたいと思っていますので、場所は限定しません。
ご連絡いただける際は、実施可能な日時を、なるべく広範囲でお伝えいただけると助かります。

また、同様のイベントが可能であれば、書店に限らずとも結構です。
スペースをお貸しいただける方などがいらっしゃったら、そちらもご連絡いただけると幸いです。

皆さんのご協力を、お待ちしています。

今後のこと

と、書いておきたいことは、一通り書いたと思います。

こんな感じで仕事は色々抱えていますが、それでもドラクエ時代に比べればずいぶん自由が利くようになりました。
今はそれぞれの仕事に注力しつつ、一つずつ丁寧に成果を実らせていければと思っています。

とはいえ、このまま親戚の叔父さんで終わってしまったのでは、それはそれで何か別の種類の悔いが残るような気もします。
なので、なんとか次は、今の自分の力で、新作の小説を書きたいと思っています。
そして、それをまた一冊の本として皆さんに届ける機会を持てたら、きっとそれは自分の人生にとって大切なイベントになるだろうと思います。

自分は、おかげさまで重要な仕事をたくさんいただいていますので、正直に言えば、今から専業の作家になりたいとは思っていません。
ただ、生涯に一本、誰かの人生に役立てられる、苦しんでいる人の助けとなる物語を書ければ、それが本望と思っています。
書きたいテーマは、もう決まっています。

テーマについては、トーク会ではやや突っ込んで話したのですが、ここで文章化してしまうのはやめておこうと思います。
文章として残すのは、あくまでも物語として。

さて、長くなりました。
そろそろ、この記事を終えたいと思います。

今回の本の出版というイベントを通して、自分は本当に周りの皆さんに支えられて生きているんだと痛感しました。
それは、ドラクエの時代や予言者育成学園の時代とはまた異なる、新鮮な感覚でもありました。
特定のゲームタイトルを通じてではなく、ダイレクトに藤澤仁という個人に対してエールを送られているんだという感覚が、かつてないほど強かったためだと思います。
いつも支えていただき、ありがとうございます。
何も言えません。ただただ、心より感謝しております。

恩返しは言葉だけでなく、作った作品を通じてお応えできるよう、今後もますます精進してまいります。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
今後も変わらぬご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

2019/6/24 未明
藤澤 仁

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