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スギの山からの転換:しいたけの原木にする目的でくぬぎの実を蒔いてみた


はじめに

 5年ほどまえのこと。それ以前から原木しいたけを販売所に出していた。この店では原木栽培の商品を出すのはわたしを入れてほんの数人。すでにほとんど室内での固形培地による菌床栽培になり、いずれは淘汰されてしまうかも。しいたけを生育するためのほだ木の補充が必要になる。

このあたりではくぬぎやくりの直径15センチほどのものがよいとされている。くぬぎが最適とのこと。

気の長いことだが、くぬぎを栽培してほだ木にしようともくろんだ。

きょうはそんな話。

(タイトル写真(右の木)は本文のクヌギの実の親木)

長年かかるが

 そのまえの年の12月にふと思い立って、散歩しながら雑木林でくぬぎの実をひろい、3号ポットに畑土と腐葉土を1対1に混ぜて蒔いてみた。くぬぎの実25個ほど。庭のぎんもくせいの木の下にそのままおいておいた。すると1か月ほどすると芽が出てきた。

くぬぎ実の発芽

くぬぎ栽培の理由

 雑木のくぬぎを植えようと考えたのにはわけがある。それはてもちのスギ山。花粉症の元凶をみずからがつくりだしてしまうのはたいへんもうしわけない。植えたのは祖父だが2度と植えるつもりはない。しかし山をそのままにするわけにはいかない。

これを植えた祖父の代は昭和の高度成長期。建築需要がさかんでまだ国内産の材木の需要があった。そののちやすい海外産におされていく。いまさまざま見直されて国産材はどうにか値をつけて目を向けられているがときすでにおそし。伐採のタイミングを逸してしまった。台風で荒れ果て建築材はおろかこまかなチップにするしかないらしい。しめてプラスマイナスゼロ。これまでこのスギ林にかけた3代の労苦を考えると赤字。

あたらしい山へ

 そこでこどもたちと考えたのが雑木林にすること。このあたりでは放っておくと数百年のちには極期をむかえ照葉樹林になる。下流にヒトが住んでいないならばそれがほんとうはいちばんいい。それまでのつなぎとして、くぬぎやくりなどの実用的な雑木林にしようという計画。

すでにわたしは年齢からそれを利用できるだろうかと一瞬おもったが、どうやらヒトなみに生きれば可能。すでに伐採時期を迎えたスギを伐採、そののちに苗で植えていこうと提案。管轄の営林署などもさまざま協力してもらえるとのこと。

おわりに

 さて、くぬぎの実。25個のうちすでに15個が発芽。いまで発芽したのは6割になる。自然のものにしてはこんなに発芽するとは思ってもみなかった。ふるいものもまざっているかもしれないひろった実にしてはなかなかの発芽率。こうした木の実は一度乾燥してしまうと発芽しにくくなる種類もあるとされることからダメもとでやったのだが、しっかり発芽してすこしおどろいた。

実生で育てるのでほだ木にできるまではまだまだ時間がかかる。気長に育てたいと思う。

(そののち25個すべてが発芽。ふたたびおどろいた。)

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