朝、目が覚めて、彼がわたしの首をコリコリと触り

「これが甲状軟骨でこっちが輪状軟骨。……。あれ？甲状腺がない？あっこれか。わかりにくいな。」

手は顔の下に伸びて、わたしのリンパ節を確認しはじめた。

昼、友だちと学食でごはんを食べていると、彼女はあたりを見渡してこう言った。

「100年後には、ここにいる人全員死んでるんやで。」

うん、そうやね。みんないなくなるんやね。

夜、空手の部活。

友だちに指摘されたところを意識して組手をしたら、びっくりするほど上手くなった。

組手の試合は最初の10秒でペースが決まってしまうらしい。

体のそこから理解した。

表紙の絵はわたしが描いた胸膝位。

100年後にはみんな死んでると言った友だちに気持ち悪いと言われた。