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真ん中が無い「しばき合い」の政治になるのか?

状況を整理する個人的なメモとして。
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衆院東京15区、島根1区、長崎3区の3補欠選挙が4/28日投開票された。政権与党(自民+公明)が唯一候補を出した島根1区は、立憲民主党が勝利。自民+公明は東京15区、長崎3区は不戦敗で、3戦全敗。立憲は東京15区、長崎3区も当選し3戦全勝した。
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立憲民主党の完封勝利でしたね。

■支持率が低迷する岸田自民党の「選挙力」はいかに?
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軍隊にたとえると、派閥解体で戦力を指揮する軍団長、師団長、旅団長クラスがほぼ動けず(失脚、実力不足、機能不全など)、まともに選挙を戦うことすらできませんでした。東京の自民党地方議員曰く「選挙なのにやることが無いなんて初めて」。

政権転落した時や野党時代よりひどく、自民党はかつてないほど弱体化・崩壊している様子。

自民党が政権転落した時の総理2人も、総理になれなかった自民党総裁2人も、全員「旧・宏池会」(こうちかい)出身です。

→宮澤総理、麻生総理、河野総裁、谷垣総裁。

宏池会は自民党の派閥で、1957年6月に池田勇人大蔵大臣(のちの総理)を中心に結成。保守本流(吉田茂が率いた自由党系)で、経済重視・武装軽視の政策で知られます。

同じ「旧・宏池会」出身の岸田総理・総裁は、政争に大負けした諸先輩と同じ道を歩むのでしょうか?

■政権不支持層はどこに向かう?

今回は自民党よりも”左”に票が集まりましたね。

※日本政治の右左の分類:
”右”方向は国家の軍事力強化
”左”方向は国家の軍事力弱体化
(真ん中は現状維持・右と左のバランスを取る)

島根・長崎は立憲民主党(with 国民民主党、共産党)

東京は立憲民主党(with 共産党、れいわ新選組)

東京15区で、2位の須藤元気さんが下馬評以上に票を獲得したのは、ちょっとだけサプライズでした。れいわ新選組の山本太郎さんが応援したのに加え、意外なことに自民党支持層がもっとも支持したのも、考え方がまるで合わなさそうな須藤さんでした。

自民党支持層の2割が須藤さん、2割弱が金沢さんを支持。飯山さん、秋元さん、乙武さんは各1割台半ばの支持と見事に割れました。

東京15区の得票結果(敬称略)
▽酒井菜摘(立民・新)当選 4万9476票
▽須藤元気(無所属・新)2万9669票
▽金澤結衣(維新・新)2万8461票
▽飯山陽(諸派・新)2万4264票
▽乙武洋匡(無所属・新)1万9655票
▽吉川里奈(参政・新)8639票
▽秋元司(無所属・元)8061票
▽福永活也(諸派・新)1410票
▽根本良輔(諸派・新)1110票

小池東京都知事が全面支援し、公明党支持層も半分ほど票を入れた乙武さんは惨敗。東京都の与党敗北ですが、5位はひどすぎます。自民・公明にも支援をはたらきかけた小池知事のメンツは丸潰れで、全く当てにならなかった東京自民党の萩生田光一さんらの評価もガタ落ちでしょう。

政権不支持層のもうひとつの選択肢として、自民党より”右”の選択肢があります。1年ー2年前は、日本維新の会に勢いがあり、立憲民主党を脅かすほどでした。が、維新の勢いは完全失速し、上記結果では諸派とされる新党「日本保守党」が公認した飯山陽さんにかなりの支持が集まりました。

日本維新の会は、野党第一党の立憲民主党をターゲットに激しく攻撃していましたが、逆に新興勢力の突き上げで足元がぐらつきましたね。

自民党より”左”の選択肢は多少まとまりがあります。立憲民主党と共産党、社民党は選挙協力をし、れいわ新選組も議員個人が立憲民主党候補者の応援をする等、多少の協力関係があります。国民民主党は共産党を敵視していますが、共産党がそう関係しない島根・長崎の立憲民主党候補者には国民民主党も協力しました。

一方、自民党より”右”の選択肢はどこの間もバチバチなような? 日本維新の会、日本保守党、参政党などの間で、協力関係は全く無いように見えます。日本維新の会と連携するために国民民主党から抜けて昨年できた「教育無償化を実現する会」は労働組合票を持たず、影響力はほぼ無いでしょう。

政治思想的に右でも左でもなく真ん中にいる自民党や公明党、国民民主党は、”右”から崩れ、”左”から崩れとしているうちに、真ん中の山全体まで崩れそうな危機にあります。

よく「自民党にお灸をすえる」と言いますが、これだけ自民党内部が解体されると、もうお灸が火事になって消火する人たちもいないでしょう。

崖っぷちの自民党は、総選挙のためなら、”左”を強化するために石破茂さんを党総裁に選ぶしか無さそうです。なにせ最大のライバル立憲民主党支持層の総理にしたい政治家1位。石破さんはなぜか共産党支持層でも総理にしたい政治家1位です。憲法や防衛政策の主張は、安倍晋三さんよりも国家主義(右寄り)の石破さんなのに、”左”の野党ウケがいいのは不思議ですね。

※今回の3補選でもし自民党よりも”右”が手強ければ、石破さんではなく、
”右”の野党ウケのいい方が有力な党総裁候補になり(維新ウケと、日本保守党ウケは異なる)、島根で自民党が勝利したり乙武さんなど真ん中に票が集まっていたら、公明党ウケのいい方が有力な党総裁候補になったでしょう。単純にマーケティングの発想です。

逆に立憲民主党は、自民党支持層ウケのいい野田佳彦さんが代表ならば勝ちやすそうですね。ただ野田さんは、ご自身よりずっと若い泉健太代表を引きずり下ろす人物では無さそう。泉さんの姿勢は左でも右でもない真ん中で、自民・公明支持層ウケは悪くなさそうですし、若さもあってか、維新の会支持層ウケもそう悪くなさそうなので、泉代表のままでもいいのでは?

自民党の選挙のことだけ考えるなら、現状もう石破総裁しか手は無いですが、石破さんに「あなたしかいない」と自民党議員は頭を下げられるのか? 岸田さんは総理・総裁を自ら辞めるのか? ハードルは高そうです。

”左”も”右”も徐々に崩れて、真ん中の山まで崩れると、まとめる調整役が不在になり、”左””右”入り乱れてバチバチしばき合いの政治になります。

口論しながらテーブルの下で手を握り合い駆け引きする腹黒政治より、テーブルをひっくり返し、椅子や皿やコップを投げ合う泥仕合がこれからの日本政治なのかもしれません。

今の政治家は、まるでコロッセウムの剣闘士奴隷的な扱いで(観客は国民)、報われないお仕事だなと思います。ただ、ローマ帝国の奴隷と異なり職業選択の自由がある中で選んだのですから、同情するのは礼を失するでしょう。スパルタクスのごとき戦うリーダーがあらわれるかもしれません。

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