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三陸鉄道の全線営業再開②

前回の続き。

三陸鉄道の開通

1984年に三陸鉄道が開通し誕生したのが、北リアス線(久慈〜宮古)と、南リアス線(釜石〜盛)です。(間の宮古〜釜石は国鉄山田線です)

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(交通公社の時刻表1985年4月より)

滑り出しは好調。10年連続で黒字経営を続けました。
交通公社の時刻表1988年7月より、当時のダイヤ。
JR山田線も直通しての盛〜久慈の列車や、大船渡線へ直通する列車も運行していました。

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しかし、1994年に赤字となり、以降赤字経営が続いていました。

2011年3月11日、東日本大震災

三陸鉄道も大きな被害を受けました。津波により駅舎や路盤が流出。車両も3両が使用不能となりました。その時の状況は、運転していた列車で乗務されていた運転士さんの寄稿からも読み取れます。

大きな被害を受けたにもかかわらず、わずか5日後の3月16日には陸中野田〜久慈で運転再開。3月のうちに、小本〜宮古の運転も再開。復興支援列車が運転され、3月31日まで運賃無料となりました。

(当時の記事。東洋経済オンラインより)

被害については日本地震工学会の論文「東北地方太平洋沖地震における三陸鉄道の被災と復旧 」にも記載があります。

復旧へ

三陸鉄道は震災から5日後に運転再開したものの、その後の復旧が困難であることは以下の記載からもわかります。

三陸鉄道 営業報告等 第30期 事業報告 「3 対処すべき課題復興に向けて 」より引用

今回の震災により、当社のみならず三陸沿岸地域は、甚大な被害を受けました。 震災直後から、多くの方が家や車を失い、買い物や病院にも行けない状況を目の当たりに した私たちの結論は、「とにかく復旧できるところから列車を動かそう」でした。
震災から5日後の3月16日に久慈~陸中野田間で、3月20日には宮古~田老間(3月 29日から小本まで延伸)で運転を再開しました。被災したお客様からの「ありがとう」の 言葉が耳に残りました。不眠不休で復旧作業に当たった社員にも笑顔がありました。
しかし、自力で復旧できるのはここまでです。現在の運転再開区間は全線の 1/3、輸送力 は震災前の 1/10 にすぎません。残りの区間の復旧は、国などの支援がないとできません。 全面復旧には、莫大な経費と長い時間が必要です。
私たちは、三陸鉄道の復旧が三陸沿岸地域の明日への希望であることを信じています。そ のため気力を振り絞り、社員一丸となって再建に向け取り組んでまいります。 

三陸鉄道単独での復旧は困難でしたが、国・県及び市町村の支援が集まり、復旧が進められることになりました。

2012年4月には田野畑〜陸中野田が運転再開。

この年の事業報告には以下のように書かれています。

三陸鉄道 営業報告等 第31期 事業報告 「3 対処すべき課題復興に向けて 」より引用

平成23年3月11日に発生した東日本大震災により、当社のみならず三陸沿岸地域は甚 大な被害を受けました。このような状況下で、平成26年4月の全線運転再開を目指して 復旧3カ年計画を策定し、国等の支援を得て、平成23年11月3日より災害復旧工事に着 手開始しました。
第1次復旧は順調に工事が進み、予定どおり平成 24年4月に、陸中野田・田野畑駅間 で運転を再開しました。さらに2次,3次の復旧工事についても予定どおり着手しました。
私たちは、三陸鉄道の復旧が三陸沿岸地域の明日への希望につながることと信じ、気 力を振り絞り、社員一丸となって再建に向け取り組んでまいります。
三陸鉄道は「地域の生活路線として、住民の足を確保する」・「観光路線として全国各地 からおいでいただき、地域の産業振興・活性化に寄与する」を2本柱に、平成26年度以 降の全線復旧後の「上下分離」方式の考え方に基づき収支均衡を実現するために、新しい 将来を切り開く三陸鉄道の経営戦略を構築し、会社の維持存続を目指します。

南リアス線も同様に復旧が進められ、2013年4月に盛〜吉浜が運転再開、
2014年4月5日に吉浜〜釜石が運転再開となり、南リアス線が一足先に全線運転再開。
その翌日、2014年4月6日には北リアス線小本〜田野畑が運転再開し、全線で運転再開となりました。

運転再開へむけた工事について、関係者の声が東急建設公式チャンネルにありました。人の思いが復旧を動かすのが感じられました。

JR山田線(宮古〜釜石)の経営移管

三陸鉄道は2014年4月に全線で運転再開。しかし、JR山田線の宮古〜釜石は依然不通でした。(JR時刻表 2015年3月より)

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この区間、大船渡線・気仙沼線と同様にBRTでの復旧案もありましたが、JR 山田線(宮古・釜石間)の JR 東日本からの支援を前提にした、山田線の三陸鉄道による南北リアス線との一体運営に係る基本合意書及び覚書が結ばれ、宮古〜釜石の区間も三陸鉄道が運営することとなりました。

復旧は進み、2019年3月23日に宮古〜釜石が運転再開。
北リアス線・南リアス線と分かれていた区間と合わせて、リアス線となりました。三陸海岸の路線が、再度つながったのです。

路線図。(JTB時刻表 2019年3月より)

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ダイヤ。
三陸鉄道リアス線が盛〜久慈、山田線が盛岡〜宮古のみになりました。(JTB時刻表 2019年3月より)

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三陸鉄道は魅力的な路線です。
Youtubeのチャンネルでも紹介VTR作ってたり、いろんな企画(震災学習列車とか)もしています。

私が乗ったのは2015年4月でした。
乗ったのは北リアス線の久慈→小本、南リアス線の釜石→盛。
宮古〜釜石が不通だったので小本から竜泉洞・岩泉経由で茂市までバスにのり、山田線で盛岡まで抜けました。

まだ乗れていない区間もあるので、今年のうちに乗りに行こうかと思っています。

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