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心得02 リーダーシップとは、自らも燃えて部下の心に火をつけること

 前述したジョン・P・コッター博士のリーダーシップ論では、簡潔に言うと「ビジョンを掲げ、いかに人々の心に火をつけるか」がリーダーシップであると述べられていますが、これまでも古今東西、世界中の研究者や企業のトップが、様々なリーダー論、リーダーシップ論を述べています。
 たとえば、松下幸之助は著書『指導者の条件』(PHP研究所)の中で、日本史上の名君や古代中国の思想家、近代の世界の政治・経済のトップリーダーの言行などを紹介しながら指導者(リーダー)の在り方、要諦を102項目(実質101項目)にまとめています。
 また、前述した日本におけるリーダーシップに関する研究で著名な経営学者である神戸大学大学院の金井壽宏先生の著書『リーダーシップ入門』(日経文庫)で、リーダーシップについて簡潔に述べられている箇所があるのでご紹介します。

「ここでは『絵を描いてめざす方向を示し、その方向に潜在的なフォロワーが喜んでついてきて絵を実現し始める』ときには、そこにリーダーシップという社会現象が生まれつつある、とごく簡潔に捉えることにしよう」

 リーダーシップとは、他者との間に発生する「機能」です。つまり、自分という範囲を超えて他者に影響を与えるのがリーダーシップ。自分の役割やタスクを越えて、他者に影響を与える機能とも言えます。
 今の時代は、人々の価値観の多様化やITの普及により個業化が進む一方で、その弊害も叫ばれています。また、多くの管理職は部下の指導や育成だけでなく、プレーヤーとしての業務も担当しなければいけないハードな状況に身を置いています。
 自分の業務をこなすにもエネルギーが必要ですが、部下や他者に関わるのは自分以上に相手を理解するのが難しく、伝えたいこともなかなか伝わらないもので、さらにエネルギーやスキルが必要になります。
 このように、他者に影響を与える、特に人々の心に火をつけるには、まず自分のモチベーションが高くないと熱も伝播しませんし、そうでなければ他人のことに関わるエネルギーも湧いてこないでしょう。つまり「自燃性」が必要だということです。
 まずは肝心の自分自身の中に、より広い範囲、部下や他者も含まれてくるより大きな枠組みで責任を取っていくためのエネルギーと燃える心がなくてはならないのです。

POINT
リーダーシップとは、部下やメンバーを強引に従わせることではない。リーダー自身がビジョンを描き、熱い思い(自燃性)を持ち、メンバーをはじめとする他者を感化し、喜んでついていきたくなる状態を作ることである。

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