【敗因分析】モーニングの第三回THE GATEにマンガ原作を応募したら落選しました。

モーニングの第三回THE GATEで落選した理由

5月末に講談社の漫画雑誌モーニングが主催するマンガ新人賞第三回THE GATEにマンガ原作(文章形式)を応募しました。7月7日発売のモーニングで一次選考の発表があり、神紅堂書店の投稿作品は見事に落選しました。

試合に破れたら敗因分析をしなければ、次がありません。

ちゃんとやれよ、日本サッカー協会。

落選した理由①作品が面白くなかった。魅力がなかった。

これは単純に投稿作品が読んで面白くなかった。魅力がなかったということでしょう。

当然、マンガおよび漫画原作のコンテストですから、まず選ばれるべき基準は「マンガ作品として面白いかどうか」だと思います。

落選したということは、作品が面白くなかったということの証明です。

それでも「一次選考を通過した24作品より、落選した俺の作品の方が面白い!」

と言い張るのは、

「去年のプレミアリーグは、弱小のはずのレスターが優勝したけど、だけどやっぱり俺たちマンチェスターユナイテッドの方が強い!」と女々しい駄々をこねるのと同じです。

勝ったものが勝者。

これが世の理です。

落選した理由②キャラクター重視であるマンガへの対応不足

ここにかつてモーニングの編集長だった島田氏のつぶやきが掲載されています。

その中から抜粋したのがこれ。

漫画はやっぱりキャラだな。キャラがあっての企画の気がする。

そう、マンガというメディアは、とにかく「キャラクター」というものを重要視します。

まずストーリーうんぬんより、キャラクターが魅力的であるか、読者の興味を引く対象であるかが重要になります。

それは、THE GATEの募集要項の中でも繰り返されています。

魅力的なキャラクターと斬新な企画があれば、1話で読者の心を鷲づかみにできるはず。(マンガ原作募集につけられたコピーより)

つまり、マンガ雑誌は、「魅力的なキャラクター」が登場するお話を求めているのですが、小生は物語を「ストーリーから考える」タイプのため、登場人物はそのストーリーに当てはめて必要な人員を配置するスタイルです。

そのため、どうしても登場人物のキャラクター性というものは、薄れがちです。

その点に作品をマンガ原作とした際の「弱さ」があると考えられます。

落選した理由③物語に対する「おもしろさ」の価値観のズレ

モーニングのホームページには、WEBコミックが読めるページがあり、そこではなんとモーニングの月例賞などを受賞した作品を無料で読むことが出来ます。

これは漫画家を目指す人にとっては非常にありがたいシステムでしょう。

だって、ここに掲載されている作品と同等、もしくはそれ以上のレベルの作品を描けば、賞を受賞できるということですから。

しかし困ったことに、小生はここに掲載されている受賞作をちいともおもしろいと思えないのです。もちろん、中には「なるほど!」と思える作品もありますが、大半の作品は「はて?」と首をかしげてしまいます。

まず、「意外と絵がお上手でなくても受賞できるのね?」ということに驚きますが、それ以上にストーリーがおもしろいと思えないのです。

これは人それぞれ感じ方や好みがあるので千差万別だと思いますので、一概に「これはおもしろくない!」と断言できるものではありませんが、「なるほど、おもしろい」と素直に感じられなかったのも事実です。

しかし、モーニング編集部はそれらの作品を「おもしろいと思った」から受賞作に選んだのでしょう。

ここに「おもしろさという価値観のズレ」が生じていると思われます。

つまり、小生がおもしろいと思う物語作品と、彼らがおもしろいと思う物語作品は、「異なる」のです。

であるから、「これはおもしろいぞ!」と思いながら小生がつむいだ物語が、彼らに受け入れられる訳がありません。(もちろん、誰が読んでも正真正銘おもしろくないという可能性もある)

落選した理由④レギュレーションの問題

THE GATEは、マンガ作品と原作(ネームと文章)を同時に募集するという珍しい新人賞ですが、過去にマンガ原作の投稿作品が受賞した例はありません。

こちらはTHE GATE公式Twitterのつぶやきから

応募作全262作品の内訳を明かします。漫画原稿が60本。ネーム原作が34本。絵画が1枚。そして文章原作167本です。これが実態。漫画家志望のみなさま、こんなに美味しい賞は他にないですよ。60本の中から10本はDモーニングに掲載され、3本は週刊モーニングに載るんですよ!すごい!— モーニング新人賞THE GATE (@MORNING_THEGATE) 2016年6月21日

今回も応募作品全262作品に対して、マンガが60本、絵画1枚(絵画って?)、原作が201本(ネーム34本+文章167本)という内訳。

圧倒的に原作応募が多いにも関わらず、一次選考を通過した24作品のうち原作は1本のみでした。(確か、前回は2本)

理由として考えられるのは、「原作応募の作品レベルが低かったから」というものです。

文章原作など、慣れた人であれば1週間もあれば一つ完成させられるでしょうし、もともと小説などのストックがあれば、それを多少改変してすぐに応募できます。

絵を描かなければならないマンガに比べて、作業がお手軽な「文章原作」の数が多く、そして数に比例してクオリティが低い作品も多くなるのは当然といえば当然です。

ただ、そこにはマンガと原作の応募レギュレーションの違いという問題もあります。

マンガ作品は読み切り、マンガ原作は連載の第一話

マンガ作品の応募は基本的にページ数制限なしですが、内容的には「読み切り」でしょう。

つまり、その作品だけで物語が起承転結して終わるという内容です。

対して、マンガ原作は「連載ものの第一話」という、実に難しい内容です。

前述した通り、募集する側は

魅力的なキャラクターと斬新な企画があれば、1話で読者の心を鷲づかみにできるはず。(マンガ原作募集につけられたコピーより)

などと断言しますが、連載マンガの第一話がそんな簡単なものではないことは、ご自身たちが一番良くわかっていることでしょう。

そもそも、たいていのマンガ作品の第一話なんて、そうそう面白い訳がないと思うのです。

試しに今、大ヒットマンガの「東京グール 第一巻」を引っ張りだして、第一話を読んでみましたが、新しい物語の導入として標準的で、「うわー、これめっちゃおもしれー」とは感じませんでした。

サッカーワールド・カップで優勝を目指す国は、初戦に合わせてコンディションを合わせたりしません。決勝トーナメントが始まる厳しい闘いに照準を合わせて、次第にチームを盛り上げていくのです。

連載マンガも同じで、当然、最初の「つかみ」は大事ですが、ある程度の物語数とスパンを考慮して、戦略的に読者を引き込み、その面白さを増強していくものではないでしょうか。

現在、日本で最も面白いマンガの一つである「キングダム」も、最初は人気がなくて、打ち切りの危機まであったと、作者の方がNHKの番組で言っていました。(ちなみに主人公の目を黒く大きくしたら、人気が出たそうです)

つまり、「最初の第一話から抜群におもしろいマンガ」など、そうそう作れるものではないのです。百戦錬磨のプロならともなく、新人賞に応募しているひよっこ達にそれを作れというのは酷というもの。その証拠が、201本の応募があって、一次選考通過は1本というほぼ全滅という結果に現れています。

(もちろん、「その難しいミッションがこなせてこそ、受賞が出来て、プロマンガ原作者への道が切り開かれるのだ!」と言われれば、ぐうの音も出ませんが。)

連載もののマンガ原作で評価するのであれば、少なくとも複数回のストーリーをしっかり一話ずつ作成させて、物語の流れや展開、伏線やその回収なども含めて、その作品の「将来性」を評価するべきではないでしょうか?

そうすれば、文章原作執筆のハードルも高くなり、応募作数は減って、クオリティは上がるという良い効果を生む可能性は高まると思います。

そもそも、欲しいのはマンガ原作者ではなく、マンガ家である

しかし、例えおもしろいマンガ原作が集まらなくても、一次選考通過者がいなくても、募集する側はまったく困らないのだと考えます。

なぜなら、編集部が欲しいのは「マンガ原作者ではなく、マンガ家」だからでしょう。

そもそも、「読み切りのマンガ」と「連載ものマンガの第一話原作」というまったく異なる代物を同じフィールドで競わせて、評価すること自体がおかしいのです。

これには「サッカー日本代表とフットサル日本代表が、それぞれの競技のルールを使って一つのフィールドで勝負をしている」ような違和感を感じます。

本当に、優れたマンガ原作者を求めているなら、THE GATEは、「マンガ部門」と「原作部門」に分かれて、それぞれ受賞作品を出すようにするでしょうし、本来はそうするべきです。

それをしないのは結局、「最終的に欲しいのは、おもしろいマンガをかけるマンガ家である」ということなのだと、推測するに至るのです。

歯を食いしばれ!夢を諦めるな!

というように、マンガ原作志望者には厳しい現状となっているTHE GATEは只今、第四回が募集中。

マンガ作品に対して、原作は圧倒的不利な情勢ですが、その状況に奮起して、ぜひとも受賞してくれるマンガ原作者が現ることを祈っています。

小生はもう応募はしません。

落選は自らの実力不足であり、作品が面白くなかった証拠。

一次選考の自作の評価、結果に対しては、文句の一つもありません。

敗者は潔く去るのみです。

今後は、ただ気分の赴くままに短編小説を書きなぐり、作品がたまったらAmazonのKDP(Kindleダイレクトパブリッシング)で勝手に電子書籍出版。

生きている間は見向きもされないが、死後評価され、センター試験が新しくなった「セントラル試験(仮)」にて、現代文の問題に採用される予定です。

南無南無。

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