「仕方がな」く安倍政権を支持する前に

【2019新年メッセージ】安倍支持者に欠けている自分で考える意志 絶望を認めることから出発を

1669号 1月13日 阪南大学准教授 下地真樹

 とても酷い世の中が続いています。それもどんどん悪くなっていきます。しかも、これを多くの人が容認しています。「ヒロポン打って元気百倍」みたいな経済政策がもたらす成果、将来来るであろう代償にはあまりにも見合わない小さな成果を評価するが故に、公文書改竄にデータ捏造、閣僚の不正てんこ盛り、掛け値無しに戦後最も不誠実な政権を免罪するというのです。政権も酷いですが、これを許している社会もどうしようもない。一言で言えば、僕は絶望しています。

 ここに関わる一人ひとりの人間が自由であり、かつ、自由であるべきことを前提とする社会(いわゆる民主主義を標榜する社会)に私たちは暮らしています。

 一人ひとりの自由を認めるとはどういうことか。よく知られているように、自由な人間たちは、時に、考えうるかぎり最悪の政府を選んでしまうことがあります。ナチスの例を出すまでもなく、もはや戦前の日本すら出す必要もありません。いま私たちの目の前にある安倍政権がまさしくそういうものとしてあります。

 自由であっても、一人ひとりが騙されてしまうならば、元も子もありません。しかし、私見では、いまのこの国の現状は独裁者に「騙された」結果ではない。そんな無垢な市民などいない。というのも、忖度まみれのマスメディアを通じてすら、あれほどの悪事の証拠が明らかになっているのですから。むしろ、「あなたは何も考えなくてよい、私が全部やるから」と(暗に)言ってくれている独裁者を拍手喝采で迎えている。そう理解しなければ、説明がつかないことが多すぎます。

 なぜそんな酷いことになるのでしょうか。一言で言えば、人間にとって自由は重荷だからです。この世の中で起きている出来事を知ること、「そんなのおかしい」と言っている誰かの声に耳を傾けること、それはとてつもなく重く面倒くさいことでしかないのです。単に「安倍政権、全然支持しますよ!」とでも言っておく方が簡単です。「どうしてそう思うの?」と重ねて聞いてくる人はいないし、いても「これは私の意見ですから」とでも言っておけばよいのですから。

 要するに、ここで欠けているのは考える意志それ自体ではないでしょうか。積み木を積むように一つひとつの情報をつなぎ合わせて考えるならば、たとえば、2018年暮れに強行された辺野古への土砂投入など、まちがっているとしか言いようがない。にもかかわらず、「仕方がない」と容認する。そして、「仕方がない」とする人が多数派であると述べる世論調査の結果を聞いて安心する。一人ひとり掴まえて首を絞めてやりたいくらいです。

自らはこう生きたいと積み木を積むように考える

 ただ、絶望には少なくとも一つだけいいことがあります。それは紛い物の希望をハッキリと拒絶できるということです。本気で信じられるならいいのです。しかし、どこかダメな感じがしているのに、とにかくないと困るのでしがみついているような希望なら、既にそこに嘘が忍び込んでいます。希望を疑わしめるような一切から目を背けていくでしょう。

 勘のいい人はお気づきかもしれませんが、これは安倍政権を支えている「考えたくない」人々に似ています。つまりは、考えることに絶望しているがゆえに、紛い物の希望にしがみつく。それが安倍政権であれ立憲なんとかであれ、同じことです。信じていないことを信じていないと、絶望を絶望と認めなければ、そこから先に一歩も進めなくなってしまうのではないでしょうか。

 大事なことは、一つです。積み木を積むように丁寧に考えていくこと。ここに紛い物の希望が忍び込んで来ないために大切なことは、やはり、一つひとつ積み木を積むように考えていくことです。立ち戻るべきはこの一点ではないでしょうか。

 本気で信じられるものがある人はいいのです。行けるところまで行ってください。そうではなく、もし、僕と同じように(あるいは僕より深く)絶望している人がいるなら、それでも、希望によってではなく、「自らはこうありたい」という意志によって生きていこうよと、呼びかけたいのです。

#安倍政権 #独裁 #絶望 #思考停止

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