切り捨てに抵抗する被災者たち

阪神大震災24年 神戸市役所前集会 借り上げ住宅から住民を追い出すな
1671号, 2019年2月3日

 阪神大震災24年目となる1月17日、兵庫県各地で多くの追悼式が行われた。神戸市役所前では、被災者支援を求める「1・17追悼・連帯・抗議のつどい」が開かれた。震災後、神戸市をはじめ行政は、避難所や仮設住宅から被災者の追い出しを続けており、市役所前にテントやプレハブを建てて抗議・撤回をさせてきた。

 東日本大震災と原発事故以来、昨年の大型台風まで、日本ではインフラ建設を優先した被害者切り捨ての「復興」が強まっている。

 被災者が高齢化したことで、追悼集会の終了も見られるなかで、「つどい」も代表者の河村宗治郎氏が昨年亡くなったが、今年も開催された。関西住民だけでなく東京、名古屋、九州からの支援者が舞台の音響設定や署名集めで地道に下支えをした。 東京の穴水正彦さんは、トラックに音響機材を詰め込み神戸まで運転してきた。「震災直後に若者だった人々が、この闘いに連帯して毎年参加し続けている。行政頼みではなく、自力で運営し、要求する。だから『ボランティア』ではなく『助っ人』と名乗っている。自分の音響機材の運搬は社会運動の中で得た技術。だから運動に還元する」と語った。

 その「要求」のメインは、「借り上げ復興住宅からの被災者追い出し反対」だ。そもそも震災後の復興住宅が不足していたので、行政が公団や民間家主から賃借りしたのが「借り上げ住宅」で、復興住宅と同様に扱われるべきだ。

 だが復興住宅では居住が認められたにもかかわらず、借り上げ住宅については、終の棲家に出会えた被災高齢者に対し、神戸市や西宮市が2016年に突然追い出しを通知した。「入居20年が期限」と語るが、法的根拠はない。宝塚市や伊丹市は追い出しを通知していないが、西宮市は「全員退去」を通知。神戸市は「85歳以上、要介護3以上、重度障がい者」以外の全員に退去を通知した。神戸市当局は「すでに住宅を出た人との公平性が保てない」と言うが、他の市との公平性は全く保たれていない。

 住民は、追い出し圧力で心身の調子を崩している。神戸地裁に訴えたが、昨年10月17日に追い出しを認める判決が下された(住民が被災者であることを全く無視していた)。

原発事故避難者への切り捨ても強まる自らの経験から答える

 「つどい」の共同代表で復興住宅に住む山村ちづえさんは、「他の公営住宅に申し込んだが、外れ続けている。神戸市は私たちの話を全く聞かないし、市の非道さは今や全国でも有名だ。井戸・兵庫県知事に対し、解決に動くべきだと手紙を送ったが返事がない。できることは何でもやろう」と訴えた。

 神戸の部落解放同盟の坂本さんも「行政の不作為を被災者に押しつけるな!」と怒り、弁護団は「裁判勝利に向けてできることは何でもやろう」と呼びかけた。野外集会は多くの目に触れる。若い支援者が問題をわかりやすく漫画にしたパネルを展示し、多くの人が見入っていた。

 3・11福島原発事故から兵庫県に母子避難をしてきたNoriko SilentR00tsさんも、バンド演奏を行った。『どこへ』と題して、「嘘だらけの情報の中、どこへ逃げればいいのか、どこへ」と、避難者の苦労と苦悩の歌を切々と初披露した。

 Norikoさんは「阪神大震災当時は関東で自然食品店をしており、震災支援をした。けれど現在は自分も被災当事者となり、『ああ、被災者はこんなに辛かったのか』とわかり、当時は全然寄り添えてなかったなと思った。でも、今こうして神戸で皆さんとともに居て、一緒に居られると感じている」と語った。二つの大災害がつながった瞬間だろう。

 さらにNorikoさんは「放射能からの避難はあまりに問題が大きく、目に見えないものを語るのは難しいので、思いを歌に込めた」とも語った。

 3・11原発事故からの避難者支援住宅も、福島県が今年3月で完全に打ち切り、各地で追い出しが始まっている。山形では裁判が闘われ、東京では打ち切り後も住民が居座っている。独裁的な安倍政権が続き、地方行政も裁判所も市民の声を聞かない傾向が強まっている。今後も自然災害や原発災害が起きた時に、住宅追いだしをさせないためにも、政治のあり方を根本から変える必要がある。

 主催者は閉会で来年も行うことを誓い合った。復興住宅からの追い出し裁判には多くの原告と期日があり、2月6日13時半・2月7日13時半から神戸地裁101号法廷、2月20日10時から神戸地裁尼崎支部、3月13日10時から大阪高裁202号法廷で行われる。参加が呼びかけれている。(編集部・園)

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