トトロといえば靴下
まだ肌寒かった季節のこと。
良く歩いた一日が暮れ、家に帰って靴下を脱ぐ瞬間の心地よさを満喫した。開放感を感じながら麦茶を一息に飲み、朝の時間に読みかけていた新聞の続きを開いた。
安らいだのもつかの間、妻からヘンなものが部屋に落ちているとの指摘。
呼ばれた方に顔を向けると、新聞の向こうに小さな黒い固まりが落ちていた。それだけではない。脱衣所から居間に掛けて、同じような黒いものがポツポツと落ちている。
これが「まっくろくろすけ」か! 大人になって見られるとは!
違った。
足のあちこちに同じ色の黒いモジャモジャがタップリついていた。「まっくろくろすけ」は私の足から発生していた。
さっき脱いだ靴下だ。おろしたての黒い靴下、柔らかめの生地が心地よいと思っていたが、思わぬ落とし穴があった。
点々と落ちている「まっくろくろすけ」を拾い、発生源を洗った。我が足の罪を認め、まさに、足を洗った。
それから、よほど寒い時期でなければ、靴下を脱いだあとに足を洗うようにしている。
隣室のテレビで「となりのトトロ」が流れている。
ちゃんと観たことはないが、私の中では「トトロ」と聞けば「靴下」という連想が、出来上がっている。