元・親友の話をしよう

今回は私の大学時代の親友の話をする。
彼女に出会ったのは入学式。
派手で目立つ美人。
大学には、こんなに綺麗な人がいるのか!とびっくりしたのを覚えている。

彼女は真面目で努力家で、そしてとても「正し」かった。
私はといえば、彼女に比べると不真面目で「正し」くなかったように思う。

朝が苦手な私は寝坊の常習犯で、彼女に助けてもらったことは数知れない。
その上、当時の私は酒が弱いくせに潰れるまで飲むし、男にもだらしないというしょうもない奴だった。
改めて文字にしてみると本当に酷くて笑えてくる。

彼女は私を「もう、しょうがないなぁ」と仲良くしてくれていたが、一方でどこか複雑な思いを抱いていたところもあったと思う。

ここまで読んで、タイトルを考えると私が見放されたと思うだろうが、そうではない。
そうではないから難しく、答えが出ない。

完璧のように思われる彼女にも当然欠点があり、
気が強い・自分が正しいと思うあまり他人に厳しい、という部分だった。
それ故に彼女から離れて行く友人もいた。
しかし、これらは私にとっては大した問題ではなかった。

私にとっての問題は、彼女が見ず知らずの人をバカにすることだった。
臭い・不細工・気持ち悪いなど、そういう人を見つけては嘲笑するのだ。
「ねぇ見てよあの人、顔やばくない?」
「なにあの動き。気持ち悪い!」
「今日電車で隣の人がめっちゃ臭かったんだけど!本当に最悪!」

こんなことで?と不思議に思う人もいるかも知れないけれど、私にとってはこれが苦痛で仕方なかった。

生まれ持った顔はどうしようもないじゃないか。整形しようにも、お金に困っていたら難しいし病気などの理由でできないかもしれない。そもそも顔が整ってなくて人に迷惑が掛かるか?

変な動きはなにかしらその人が障がいを持っているからかもしれない。

臭いのは確かに迷惑だけど、精神疾患だったりワキガだったり、本人も困っているのかもしれない…

細かく言いたいことはいっぱいあるが、
彼女の「持たざる者や弱者、醜い者への差別する姿勢」「そしてその理由を知ろうともしない姿勢」「想像力の乏しさ」に、私はげんなりしてしまったのだった。

しかしながら自分は彼女にかなりお世話になったし、迷惑もかけたし、助けてもらったから、それをはっきり指摘して絶交するなんていう選択もできない。

ただ、心の中で「元親友」という風に定義しなおして少し心の距離を置き、今後はあまり頻繁に会うことはない、という、それだけだ。

それだけだけれども、こうして文章にするまでにとても時間が掛かったし、整理して文章にしてしまうと、なんだかひとつの区切りになってしまうようで、もの悲しい。

またしばらく時間を開けて会う機会があるとしたら、
それまでに彼女も私も変わっていて、
心が通じ合う日がもしかしたら来るのかもしれないし、それは単なる妄想で終わるかもしれない。



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