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「ジョリッツ暴発」セルフライナーノーツ

去年ファーストが出たときも書きましたが、今回も先日発売されたジョリッツの2ndアルバムのセルフライナーノーツを書きます。
まずはバンドの説明から。

サエキけんぞう、泉水敏郎、吉田仁郎、亀、オカジママリコからなるバンド、ジョリッツは2015年末にハルメンズXのプロジェクト内バンドとして結成。その後ハルメンズXプロジェクトが終了以降もジョリッツの活動は独立して継続。
2017年10月、1stアルバム「ジョリッツ登場」発売。
2018年9月にベースのオカジママリコが産育休のため一時活休、サポートベースに小川一(オガワハジメ)を迎えて活動中。
2018年11月には2ndアルバム「ジョリッツ暴発」をリリース。

ファーストのときと同じく、じろうがバンマス、サウンドプロデューサー的な視点で全曲解説するよー。
(コンセプト的な解説とか詞とか世界観に関してとかはサエキさんや亀ちゃんに聞いたほうがいいです)

全体的に。
前作と一番の違いは作曲のプロセスかなと思います。前作はハルメンズXという完全にサエキさん完全主導のプロジェクトの中で作られた曲もあったり、その延長上の制作形態でした。なので、大まかな初期段階の作曲がサエキさん抜きに進められることが殆どありませんでした。
前作で唯一じろうが仮歌まで仕上げてそれにサエキさんがあとから歌詞をつけるというスタイルで作った曲がジャム草原。あと、今回のアルバムに入っているジョリッツウォンチューも同時期に同様のスタイルで作られた曲です。その2曲がかなり満足の行く形になったので、その作業工程を踏襲して今回のアルバム曲の多くは作られました。
それに加えて、バンドとしての結束も固まりバンドサウンド、バンドアレンジという意味でのジョリッツという側面が大きくなってきました。なのでスタジオでアレンジをいろいろ詰めたりという時間も前作より増えましたね。
そういうバンド的な雰囲気の中でできたアルバムだからか、前作よりバンドでせーの!で録った音をそのまま使っている曲が多いです。ギターソロとか前作だと大体あとから入れたりしていたのですが、今回はせーの!のときの仮のやつをそのまま使ってたり。

レコーディングはほぼほぼ前作と同じくで、サエキさんのボーカル以外のベーシックトラックを全員同時に四谷アウトブレイクにて録音。それ以外のボーカルコーラス録り、オーバーダブ、差し替え等はすべて日吉のじろうゆスタジオです。
一曲「視線はドローン」だけボーカル、シンセ、アコギなどのオーバーダブを麻布十番のLUXURIANT STUDIOでやっています。

録りのエンジニアはアウトブレイクの録りだけ佐藤店長。後はミックスも含めて全部じろうっす。
マスタリングも前作と同じく中村宗一郎せんせー。

では一曲目からくわしく。

1. 恋愛はヌイグルミ
じろうは去年の秋ぐらいから今年の春ぐらいまで異常にTALKING HEADSを聴きまくっていて、サエキさんともTALKING HEADSの話を良くしていたんですよね。そんな中でできた曲がこれと「視線はドローン」でした。じろうが全楽器演奏して仮歌を歌ってるデモバージョンだともっとモロにそれっぽいのですが、ジョリッツで演奏するとやっぱりちゃんとジョリッツっぽくなりますね。
あといつも思うんですがサエキさんの歌詞が入るとぜんぜん違う曲になりますね。歌詞のコンセプトに演奏もかなり引っ張られますしね。

2. 横丁ジョーズ
これは泉水さんの曲で、(おそらく)90年代に上野耕路さんの作った打ち込みのデモを泉水さんが持ってきてくださったんです。それがかなり独特の色彩感のデモだったので、当初は「このメンバー編成のジョリッツで演奏できるのかな?できたとしても面白くなるのかな?」という不安がありました。
でもやってみるとなんとかなるもので、泉水さんが率先してアイデアを出してくださりそれについていく形で今のジョリッツに似合うアレンジに落ち着いたんじゃないかな~と。
間奏のところでAZUMA HITOMIさんがクリック系の音色でオルガンを弾いてくださってるのですが、あれは最初の上野耕路さんのデモに入ってたソロをそのままAZUMAさんになぞって頂いたものです。あの音色とあの旋律を再現したいとサエキさんが熱望されていてAZUMAさんにお願いすることに鳴ったんです。
AZUMAさんとのやり取りはTwitterのDMでオケとコード譜を送ってやりとりしました。わおー。2010年代って感じですね。

3. ダムンな関係
この曲は今回のアルバムにしては珍しくサエキさんと一緒にアイデア出しをした曲です。
まずサエキさんと「なんかジョリッツってミドルテンポの曲多くないですか?」っていう話をした気がします。そこから「泉水さんのマシンガンみたいな8ビートの勢いを活かした単純明快な曲を作りたいですね」「バカバカしければバカバカしいほうがいいよね」とか話をしてる間に、片方のギターがずっと効果音みたいなのを狂ったみたいに引き続けてる曲にしようときましました。楽器を特に使わずにブレインストーミングだけで大体の曲の構想ができた状態でその日は解散。その後、サエキさんが冒頭の掛け声と一番の歌詞みたいなのをボイスメモで送ってきてくださったので、それを踏まえてじろうがデモを作りました。完成したバージョンでも、冒頭に入ってる掛け声はこのときにサエキさんがボイスメモで送ってきたものをそのまま使っています。
この曲、密かに亀ちゃんパート以上にじろうの弾いてるギターもすごく淡々と同じことをやり続けてるのですが、自分はそういうギターを弾いたこともなかったしそういうアレンジでこういう疾走感の曲が作れるということも知りませんでした。自分的にすごく新鮮だし演奏していても楽しい曲です。これからもライブで伸びしろのある曲ではないかと~。

4. アイスのナイフで刺されてる
亀ちゃんの曲。原曲は某アイドルさん達が歌っていたのですが、かなりアレンジを加えてジョリッツの曲に。
もともと亀ちゃんが持ってきたときのデモだと8ビートの曲だったのですが、かなり強引に16ビートに変更。このあたりですごく難航しまして、この曲ほんとにできるのかな~みたいな時期もあったんですが、今になってみるとライブでもアルバムでもしっかりハイライトになるような曲にちゃんと育っています。ほんとに良かった!
アレンジはリハスタで試行錯誤を続けたり、亀ちゃんをじろうゆスタジオに呼び出して二人で詰めたりしつつ、じわじわこの形になっていった感じです。今までのジョリッツの曲の中で一番大事に時間をかけて作り上げた曲ではないかと思います。
個人的にこの曲のギターが一番弾いてて緊張します。

5. 視線はドローン
じろうが前作リリース後、最初に作った曲です。実はサエキさんと去年の11月ぐらいに別件のレコーディングをしていて、麻布十番のLUXURIANT STUDIOでそちらのボーカル録音をするついでにジョリッツの新曲もなにか録音できないかなという経緯でじろうがストックしていた曲を出した形です。なのでこの曲だけボーカルや上モノのレコーディングの時期が違うのでした。
そのスタジオにてじろうサエキ亀ちゃんの三人の音は大体そこで録音。ドラムやベースが録音できないスタジオだったのでドラムとベースはあとからテンポ合わせて重ねることにしました。(意外とうまく行った)
この曲が今回のアルバムの中では一番気に入っています。ベースとギターがちゃんとそれぞれ印象的なリフを弾いてて、ボーカルとコーラスの掛け合いみたいなのもあって、コード進行もちょっと変わってるけどキャッチー。3年やってきて自分のなかのジョリッツってこういう音だよー。みたいなものが集約されてる感じ。
デモ作ってるときはまさかドローンの歌になるとは思っていませんでしたがさすがのサエキさんでした。

6. ジョリッツ暴発
前作でも「ジョリッツ登場」というライブの登場SEになっている曲が入ってるのですが、今回もそれを踏襲して同じ曲をアレンジして入れれたら面白いですねとサエキさんと以前からお話していました。
「知らない曲だ」と思わせといて実は「この曲かよ!」とか、「あ~なるほどね」と思わせといて歌が入ってくるとか。そういうのやりたかったんです。
ほぼほぼ、じろうが勝手に作ったので歌もじろうです。珍しい。
終始ドカドカ言いまくってるドラムは「アイスのナイフ~」の泉水さんのドラムのアウトテイクを早回しして鳴らしています。かっこいい。

7. チューブナツガイ
今回一番最後に作った曲、サエキさんがこういうスマートな感じのやつを一曲入れようとおっしゃったので急遽作りました。
ジョリッツにしてはあまりに珍しい曲調なので、どうせなら全然やったことないことやってみようと。で、でたらめのラップをデモに入れたんですが、その案が通ってしまいマスタリングまでギリギリなのにラップをやってくれる方を探すことに。(ラップを担当してくださったマチーデフさん、セリフを一言入れてくださった奥村そらさんには感謝です。)
楽器はほとんどじろうです。ドラムの音は、場所によっては泉水さんのドラムのループを切り貼りしたりしています。
個人的にこれライブでやってみたいな~~~。と思ってるんですが。。。

8. 花はすごいよ
去年の6月にフォークジョリッツという形態でアコースティックのライブを一度だけやったのですが、そのときに作った曲です。同じタイミングでジョリッツウォンチューとかジャム草原とかもできました。
当時のジョリッツと雰囲気がかけ離れていたりフォークジョリッツのために作った曲というイメージが強すぎて、一旦寝かしていたんです。
これは結構サエキさんの頭の中に曲ができてたみたいで、サエキさんの歌ってる歌にみんなでコードを付けていった記憶があります。マリコちゃん亀ちゃんじろうでサエキさんの事務所に行ったりして。三拍子になるとことかもそうやって作ったんじゃないかな~。バンドっぽい作り方ができるようなったな~~って喜んでた記憶があります。

9. センチメンタル・メドゥーサ
これも亀ちゃんの曲です。こちらは「アイス~」と比べると最初に持ち込まれたデモの段階でかなりわかりやすく仕上がっていてスムーズでした。というか、ぐしゃ人間っぽい。笑。亀ちゃんがこういう曲をジョリッツに持ってきてくれたのが嬉しかったです。
ほぼほぼバンドでせーの!で録った音のままなのですが、ちょっとシンセ足したりしました。

10. ジョリッツ・ウォンチュー
これはもう、ここ1年ぐらいはライブで定番になってる曲ですよね。これとか「STAP TOGETHER」みたいなお客さんみんなとわいわいできる曲がちゃんと定期的に新しくできるのがジョリッツのいちばんの強みかも。
これも「視線はドローン」と同じくリフがあってコーラスとメインの掛け合いがあってと言うじろうの好きなパターンです。こういう満足いく構造の曲が作れるようになったの嬉しいなー。
サビで亀ちゃんのギターに被ってるキンキン鳴ってる音はじろうのおうちのトイピアノです!あ!そういえばもともとは「ダメダメ・ウォンチュー」というタイトルで歌詞も違ってたんですよね。何故か替え歌の方が一般化した。

11. ナルシスティック
説明不要の泉水さんの名曲。8・1/2ハルメンズの曲として有名。
そういう曲だからこそ、ジョリッツというバンドでこの曲をやっていたことを残したくて、ほとんど余計な音を入れずにバンドで一発やっただけの素材でMIXしました。あとで足したのはじろうのコーラスだけかな。
こないだ新宿ロフトでライブした時にも思ったのですが、泉水さんと一緒にロフトでライブができるというのは感慨深いことです。この曲演奏してる時に特にそう思いました。
そして改めて聞いてみると、ほんとにこの歌詞は良いですよね。「踊りながらギネスを飲めばお前にもわかるさ」ってとこ、ほんとに最高ですよね。じろうはここ三年ぐらいでようやくわかるようになりました。20歳ぐらいから聞いてる歌なのに笑

というような11曲!皆様よろしくお願いします。



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