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【2020年度第45問】行政書士試験の記述対策はどうすればいいの?

行政書士試験を受験される方へ

記述式試験が苦手ではありませんか?
今回も記述式の過去問を見ていきましょう。
毎回書いている決まり文句です。
<ここで書いているのはあくまで「考え方」であって「正しい知識の習得」ではありません。ですから、試験のあった年の条文に基づいています。法改正後の条文だと回答できなくなる可能性がありますので、どうかご了承ください。>
<過去問の問題文は著作権が絡んでくる可能性がありますので書いていません。行政書士の試験センターから見れると思いますので、そちらからダウンロードしてください。>
さて、2020年度の問題45です。なんとなくでも解答を作れるイメージがわいてくれると嬉しいです。よろしくお願いします。

| 行政書士試験の民法検討(問題45)


1 問題の整理

記述式の2問め、民法からの出題です。問題文の整理をします。今回は問題文を簡単にまとめてみました。

(1)第三者Cが売主Aに嘘の事実を伝える。
(2)売主Aが買主Bと廉価で売買契約締結
(3)売買から1年後にAがCの欺罔を知る。
(4)Aは売買契約を取り消したい。

以上を前提に考えていきます。さて、何から始めましょうか。
問題文には売主A、買主B、第三者Cと3人出てきますので、まずは図を書いて頭の中を整理しましょう。


2 考える順序

Aは騙されて売買契約を締結しています。騙されているのですから「詐欺取消」を考えます。ここは大丈夫ですね。
詐欺取消以外には売買契約の錯誤取消(改正民法95条)の主張も考えられます。しかし、嘘の事実が告げられたことによる勘違いですので、単なる勘違い・思い違いを考慮する錯誤よりも騙されたことを考える詐欺を検討するのが妥当だと思います。


3 詐欺取消の要件の確認

詐欺取消の条文を思い出します。民法改正がなされた条文です。

改正民法96条
1 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前2項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。


第三者Cが売主Aに嘘の事実を告げたのですから第三者による詐欺(改正民法96条2項)の場面です。第三者による詐欺の場合には条文のとおり次の要件を満たす必要があります。

(1)第三者による詐欺であること
(2)相手方が詐欺の事実を知っているか知ることができたこと

ここで、問題文をもう一度見直しましょう。買主Bが第三者Cによる詐欺を知っていたかどうかは書かれていません。ですので、解答は条件付けをして作成することになります。問題文に書かれていないから“ないこと”として解答するのは危険です。

本問は、改正された条文を知っているかどうかを問われているだけですので、比較的易しい問題です。しっかりと点数を稼ぎたいところです。


4 解答の作成

以上から解答を作成します。

“Aは、BがCの詐欺を知っているかまたは知ることができた場合に、契約を取り消すことができる。”(45字)


| まとめ

1 改正民法が出題された!
2 3人出てくるので図を書いて整理!
3 条文を知っていれば解答しやすい問題!

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