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【2018年度第45問】行政書士試験の記述対策はどうすればいいの?

行政書士試験を受験される方へ


記述式試験が苦手ではありませんか?
今回も記述式の過去問を見ていきましょう。
毎回書いている決まり文句です。
<ここで書いているのはあくまで「考え方」であって「正しい知識の習得」ではありません。ですから、試験のあった年の条文に基づいています。法改正後の条文だと回答できなくなる可能性がありますので、どうかご了承ください。>
<過去問の問題文は著作権が絡んでくる可能性がありますので書いていません。行政書士の試験センターから見れると思いますので、そちらからダウンロードしてください。>
さて、2018年度の問題44です。なんとなくでも解答を作れるイメージがわいてくれると嬉しいです。よろしくお願いします。


| 記述式問題の考え方


今回は記述式の考え方から。
記述式の考え方で悩まれる受験生は多いと思います。また、配点が60点もありますのでできるだけ高得点を狙いたいのではないでしょうか。

行政書士試験の全問をここで考えるのは不可能ですし正答を導く自信もありませんので、記述式だけでも私なりの解答への道筋を書きたいと思います。“私が解答を書くならこうする”程度の解答例で必ずしも各問20点を取れるわけではありませんが、私の思考回路で書きやすい言葉を使って高得点を狙えるように考えました。

(知識)と書かれているところは知識が必要なところです。(思考)と書かれている部分は試験の現場で考えるところです。


| 行政書士試験の民法検討(問題45)


民法の記述式は問題45と問題46です。

【問題46】
この問題は比較的書きやすい問題だったのではないでしょうか。制限行為能力者は民法の最初の方で勉強しますので、しっかりと学習できている受験生が多いと思います。
制限行為能力者は次の4つがあります。
①成年被後見人
②被保佐人
③被補助人
④未成年者
制限行為能力者は、その名のとおり行為能力が制限されている人のことです。行為能力は「単独で完全な法律行為をする能力」です。
これだけではわかりにくいのですが、要するにパン屋であんパンを買う行為などです。あんパンを買うためには売買契約を締結していますのでれっきとした法律行為です。つまり、パン屋であんパンを買うには行為能力が必要だということになります。
行為能力は自分がした行為の意味(結果・顛末)が理解できているかどうかが指標になります。自分のした行為の意味(結果・顛末)が分からない人を保護するために制限行為能力者制度があります。
行為能力は「意思能力」とは異なる概念ですのでご注意ください。

2018年度の問題45では成年被後見人について問われています。

成年被後見人のする契約は原則として取り消しうる契約です(民法第9条)。売主Aの立場に立つと、買主Bよりももっと高額で買いたいという買主候補Dが現れたのですから、買主Bとの売買契約を取り消して買主候補Dに高値で売却したいですね(思考)。

では、売主Aが買主Bとの売買契約を取り消すにはどうすればいいのでしょうか。誰に「取り消す」という意思表示をすればいいのでしょうか。制限行為能力者に「取り消す」と言うだけでいいのでしょうか。
先ほども書きましたが、成年被後見人は「単独で完全な法律行為をする能力」がない人です。そうであれば、成年被後見人に「取り消し」の意思表示をしても受け取ってもらえないのではないでしょうか(思考)。

民法の条文を思い出してみましょう。

成年被後見人のような制限行為能力者を取引相手にする場合には“追認”という制度を使います(同法第20条、知識)。制限行為能力者の種類(成年被後見人、被保佐人、被補助人、未成年者)によって行為ごとに追認権者は変わりますが、成年被後見人には意思受領能力がありませんので追認権者は成年後見人です(同法第20条第2項、知識)。本問では成年後見人のCに対して追認をするかどうかを問い合わせます。

ここまでの解答例を作ってみましょう。

解答例:Cに対して本件契約を追認するか否かを

次に追認を促す方法です。それは催告です。成年被後見人の場合には成年後見人に催告をします(知識)。
催告の方法は、成年後見人Cに追認をするかどうかを確答してもらうように促します。確答がなければ追認をしたことになりますし、確答があればその内容になります(同法第20条第2項、第1項、知識)。売主Aが買主候補Dに絵を売るためには追認しない内容の結果をCからもらう必要があります。

以上を問題文に沿って解答します。

解答例:確答するように催告して追認拒絶の結果を得る

これらの解答例をつなげて解答欄に記入します。

【解答例】
「Cに対して本件契約を追認するか否かを確答するように催告して追認拒絶の結果を得る。」(41字)


| まとめ


1 制限行為能力者は比較的書きやすい!?

2 成年被後見人に取消の意思表示をしても意味がない!

3 取消、追認の相手方、確答ない場合の結果の3つ知っていれば書ける!

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