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【昭和TVプレバック】土8視聴率戦争「8時だョ!全員集合VSオレたちひょうきん族」◎前編

1980年代初頭、突如として巻き起こった漫才ブーム。その勢いは止むことを知らず、やがて『オレたちひょうきん族』という画期的なバラエティ番組を生み出し、裏番組の『8時だョ!全員集合』を視聴率で打ち破った──

国民の2人に1人は『全員集合』を見ていた!!


打倒!全員集合

 1982年、テレビ業界では10月9日に歴史的な出来事が発生した。TBSで放送され、長らくゴールデンタイムの王者として君臨していた『8時だョ!全員集合』が、フジの送り出した新進気鋭のコント系バラエティ『オレたちひょうきん族』に、視聴率で敗北したのである。
 1969年10月4日の放送開始時点で、既に12.9%を記録していた『8時だョ!全員集合』は、全盛期のザ・ドリフターズの面々が、ネタづくりからリハーサルまで、練りに練った王道系コントを生放送で披露し続け、多くの視聴者を魅了。結果として同番組は、最高視聴率50・5%(1973年4月7日)、まさに国民の2人に1人が観ているという、お化け番組へと成長したのである。
 当然、そんな『8時だョ!全員集合』が築き上げた黄金期の裏で他局は、長らく苦戦を強いられることとなる。そんな状況下で「どうやったら倒せるか」をテーマに議論を重ねた末に生み出されたとされるのが、フジの『オレたちひょうきん族』だった。『8時だョ!全員集合』の完成された王道系コントに対し、ビートたけしら、勢いのある芸人たちを軸に据え、あえて王道路線を避けた同番組は、コント1つとってもアドリブが多く、スタッフを含めた内輪笑いなど、後のバラエティでおなじみの要素を持ち込んだ内容となったのが特徴であった。
(後編に続く)

取材・文/久世文夫