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【五輪汚職事件】法廷で明らかになった“元理事”の「恥ずかしい呼び名」とは・・・┃ヤスデ丸の裁判傍聴ファイル #8

 今年は2024年。早いもので、パリオリンピックが開催される年になった。自国での五輪開催は当然喜ばしいもののはずで、フランスではオリンピックムードで大盛り上がりのはず(多分)。

 しかし前回大会、すなわち2021年に行われた東京オリンピック開催にあたり、我が国で最も話題になったのはおそらく五輪委員会の汚職問題。ついこの間まで(もしかすると、まだ?)裁判は行われ続けていたようで、フラッと傍聴した裁判の被告人は、まさにその渦中の人物だった。
おまけにその内容がなんだかくだらないもので……

【罪状】贈賄罪
この日、メインで行われたのは被告人質問。証人として英会話スクール「ECC」の男性が、オリンピック開催前に持ちかけられた“アヤシイ話”と、それにまつわる証言をはじめる。

マンガキャラになりきり堂々たる汚職! 

 昨年末最も盛り上がったスポーツイベントといえば、阪神優勝で忘れちゃってるかもだけど、やっぱり「ラグビーワールドカップ2023」。

 2年前、激しく炎上していた「東京五輪2020」と比べるとお利口さんな大会だったものの、この2大会、業種によっては切っても切り離せないイベント。もちろんその業種とは、広告代理店のことである。

「フィクサー、T氏、あと白竜とか是清(これきよ)って呼ばれてました。『いろんなことを決められる人』だとか」

 そう語るのは、この裁判の証人・Aさん、大手英会話スクール・ECCの広告担当だ。

 先程Aさんが挙げたいくつかの“呼び名”は、後に東京五輪汚職事件で大々的に報じられることとなる、組織委員会の元理事・高橋治之被告人(79)のこと。

 高橋被告の子分・谷口義一被告人(58)は、Aさんに「オリンピックは10億円、ラグビーは5億円」で打診。この2大会の広告枠をセットで販売しようとしていた。事件の詳細は報道を見てもらうとして、気になったのは高橋被告人の呼び名。

 いわく、『白竜』は、現在も続編が連載中のヤクザ漫画のタイトル。『是清』はそのマンガのある回で「オリンピック誘致を成功させた元大手広告代理店の理事」のキャラクター名だという。

「『これを読めばT氏のすごさがわかりますよ』と新刊が出るとわざわざ谷口さんが私の会社に持ってくることもありました」

 とAさん。上司をマンガのキャラクターに重ねちゃう谷口被告人も、きっと満更でもなかった高橋被告人も、アイタタタ……な感じが否めない。

 大きな仕事を任されてアウトローに憧れちゃったものの、あえなくお縄となったオジイチャンとオッチャンでした。

お粗末なイラストで再現しました

<著者プロフィール>
ヤスデ丸(やすでまる)
「実話ナックルズ」の女編集部員。埼玉生まれ中東ハーフ。いよいよアラサー。YZF-R3を手放して、車検のないニーハンに乗り換えたい今日このごろ。好きなプロテインは「ウマテイン」ミルクティー味。「1万逃歩日記」「裁判傍聴ファイル」など不定期で掲載中