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日々是暴食★トラウマめし【第27食】サファリとムキモと夜遊びと

 日本人が仕事以外でケニアへ旅行に行く理由の90パーセントくらいはサファリだと思う。(あとの数%は大麻とか密輸とか売春とか…etc)

日が出ると暑い

 ツアーなら最大規模のマサイマラ国立公園やキリマンジャロが見えるアンボセリ国立保護区へ行くのが一般的。だが自分はなんのあてもなく1人でやってきたし、泊まり前提で何十万も払うツアーに参加する金もない。

 ということでナイロビ市街から車で30分で行けるナイロビ国立公園へお手軽サファリへ行くことにした。空港からホテルまで送ってくれたリチャードがタクシーで中まで入って案内してくれることになった。諸々こみで100ドルで手を打ったが、これが高いのか安いのかはよく分からない。

タクシードライバーのリチャード。子供2人を育てる頑張り屋

 朝7時に迎えに来てくれる約束だったがリチャードは少し遅刻してきた。ちゃんと電話かけてきて「ごめんごめん、すぐ行くから待ってて」とちゃんとしている。真面目に働いている人が多い印象。だから経済発展してるんだと思う。

 ちなみにスワヒリ語は「ジャンボ(やあ!)」しか分からないので会話は基本英語になるのだが、みんなペラペラだけど自分はまったく喋れない。Google翻訳とテキトー英語でなんとなく話しているわけだが、リチャードはそんな日本のおじさんにレベルを合わせて小学生相手にように喋ってくれる。優しいなあ!

 これもちなみにだけど、アフリカへ行くとアジア系をからかったりバカにするやつがけっこういる。一般的に中国人は嫌われてて日本人には好意を寄せることもあるが、裏をかえせば中国人は絶対自分たちのペースを崩さないが日本人はいいカモと思われているというのもある。近づいてくる人には一応警戒を。

ナイロビ公立公園入り口。現金は使えないから注意

 入り口に到着したが問題発生。ケニアは電子決済化が進んでいて、国立公園はクレジットカードか「M-PESA」と呼ばれるモバイル送金サービスじゃないと支払いができない。アメックスでいけるだろと思ってたらVISAかマスターじゃないとダメだと。VISAのデビットカードで払おうと思ったらそれもダメ。うーん困った。

 リチャードに立て替えてもらってM-PESAで払ってもらおうと思ったが、2人分の入場料約7千円が入ってないと。オーマイガッ! 「現金貸してくれ、ATM行って金入れてくるわ!」というリチャード。どこかへ消えていったが、20分後に戻ってきて「悪い、悪い、今日は休日だから10時にならないと入金できねえわ」と。そりゃそうだよな。

 てなわけで入り口前で2時間くらい待ったあとようやく中へ。リチャード曰く「動物は朝活動して昼寝る。まだ午前中だからギリOKだ」と。まあ、そんなもんか。

 舗装されていないガタガタ道を進み、ブッシュを抜けると草が覆うひらけた大地に。おーこれはテレビで見たサバンナそのもの。遠くにナイロビの高層ビルが見える。野生動物が首都のこんなに近くで見れるのはケニアしかない。ちょっと感動していると「右、右!」とリチャード。林の裏からキリンがヌッと首を出した。でけえ! 思ったよりでけえ! 

キリンが映える
映えまくる

 動物園では見たことあるが、こんなに自由に歩き回っているキリンを見たのは初めてだ。ケニアに来てよかった。

バッファローの大群が道を横切る
けっこうデカい
何かの鳥。ガチョウもいるらしいが遭遇せず
サイの背後にはナイロビの街並みが
たぶんインパラ。いっぱいた
ガタガタ道を走る我々のタクシー

 その後2時間くらいぐるぐると公園内をタクシーで入っして動物を探してくれた。たまに自分のような個人客を連れて来るらしく慣れたもの。車の底を擦っても「ノープロブレム」と頼もしい。サファリかーが何台も停まっているエリアにきたが何も見えない。隣の車の運転手に聞いたら「向こうの木の下にライオンが2頭いる」という。マジか、まったく見えん。サンコンさんの視力は昔6.0だったらしいが、やはりこっちの人は目がいいのかもしれない。

 ホントにホントにホントにホントにライオンだ~。とはならなかったが、まあ野生のライオンに出会ったことに違いはない。満足だ。近すぎちゃってどうしよう、と言いたいならマイサイマラに行くか、もしくは富士サファリパークへ行くのが良いだろう。

いわゆる観光マサイ。記念写真は3千円なり

 その後キリンに餌付けできるジラフセンターやマサイマーケットなるお土産屋に寄って、15時頃にホテルへ帰っきた。お疲れリチャード、アサンテ(ありがとう)!

キリンが飼育されているジラフセンター
餌付けできる
お土産屋。勧められたがお面はいらん
いっぱい買わせようとする商売上手な店員さん。のせられて色々買っちゃったよ

 さて飲みに行こう。昨日目星をつけていた酒があるレストランへ入ってみた。何を頼めばいいか分からないのでとりあえずステーキとビールを。朝から動き回った後に飲むタスカーはうめえ。ステーキがくる前に飲み干してしまったので白ワインも頼んでみた。甘口、辛口を選べというので甘口にしてみたがジュースみたいに甘い。これは失敗だった。

硬めステーキ
ステーキは500〜700ケニアシリング(1円=約1ケニアシリング)

 ステーキがきたがビジュアルいまいち。肉よりポテトの方が多いし超ウェルダンに焼かれたビーフは硬い。正直まずい。約1500円を支払って店を出た。

 これでいいのか? なんとなく残念なまま今日を終わらせたくないのでハシゴしてみることにした。「G&R」というローカルレストランで謎の〝ムキモ〟セット(500円)を頼んでみた。あとで調べると、ムキモとはマッシュポテトに、メイズ(とうもろこし)、グリーンピース、かぼちゃの葉を混ぜたケニア料理らしい。単品ではなくセットで頼んだところ、煮込んだ豆、野菜、フライドポテト。ライス、スイカがワンプレートで盛られてきた。そこに黄色い汁をかけて食べるらしい。

緑色なのがムキモ
体に良さそうなあっさり味

 ムキモはくせがなく、とても優しい味わいだった。これは体にいいだろう。黄色い汁も全然スパイシーではなく、いい塩味で米にかけて食うと美味い。ケニアの伝統料理のようだが、どことなくネパールのダルバートに似ているのが不思議な感じだ。しかし先ほどの店から芋量が多すぎてギブアップ。食べきれなくて少し残してしまった。美味しかったのにすいませんでした!

店の看板店員さん

 さてナイロビでは確かめなければいけないことがあった。この街には夜な夜なかわい子ちゃんが集まる、海外フーゾク好きなら誰でも知っている「フロリダ」という老舗ナイトクラブがあるのだ。しかし本店は数年前に閉まって取り壊されたとの噂。もう一つのフロリダはどうだろう? 確かめに行ってみた。

 夜11時のナイロビは閑散としている。こんな所を独り歩きしちゃいけないが、ホテルからフロリダは徒歩5分なのでそれくらいなら大丈夫だろう。店前にきたが真っ暗だ。今日は休みか? 近くの銀行の前に常駐している警備員に聞いてみたら「もう閉まったよ」とニヤケながら教えてくれた。今日だけでなくエブリデイクローズとのこと。どうやら世界中の男たちが集っていたナイトクラブは潰れたらしい。

有名ナイトクラブ「フロリダ」は閉店した模様

 店先で呆然としていると、ボロボロの車に乗ったボロボロのおじさんが「こっから30分のところに女の子と遊べるクラブがあるから50ドルで連れてったる」という。いやいや、あんたを信じられるか!

 クラブはやってないにしても一杯だけ寝酒を飲める店はないだろうか? 周囲をちょっとブラブラしてみた。治安が悪いという前にそもそも人がいないしやっている店もない。まるでゴーストタウンじゃん。ナイロビ寂しすぎる…。これ以上ウロウロして強盗に遭っても嫌だ、ホテルへ帰ってジュースを飲んで寝た。

人気のない夜のナイロビ

 朝7時に起きて朝飯を食いに1階のレストランに行ってみる。夜中に酒を飲んでいないため胃の調子がいい。クラシックスタイルの朝食セットはパン、ソーセージ、目玉焼き、カレー味のポテト・ピーマン・パプリカ、それにカフェラテがついてきた。

小洒落た朝食約900円

 目玉焼きは両面焼きで黄身まで火を通したターンオーバー。美味しんぼの「世界目玉焼き会議」の回でサニーサイドアップとどちらが美味いか議論されてたやつだな。日本人だから醤油が欲しくなるところだが、塩コショウでいただいてみたところ、これが中々いける。半熟信仰があるがしっかり焼きもホクホク感が出てきて美味いのものなのだな。

 このあと空港へ行って海へ行く。今日は大晦日、リチャードは嫁の実家に行くらしく彼の友達が迎えにきてくれた。

ケニア編<続く>

【写真・文】バーガー菊池
岩手県出身。花巻東高校卒。 実話ナックルズ編集部在籍の編集者。不良からエロまで何でもやります精神の何でも屋。注射を打ちながら毎晩暴飲暴食を繰り返すハゲ巨漢。

https://twitter.com/kikuchi_BURGER