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反省記

   二日酔いを初めて経験した日のことはいまだに覚えている。なぜなら初めて飲酒をした日でもあり、18歳の誕生日でもあったから。
   高校三年の秋、私の誕生日に呼びもしないのに友人が三人、私の下宿を訪ねてきた。彼らが私の下宿に来たのもはじめてだった。
  夕食を食べて二階の部屋にいた時、二人がやってきた。TZとTF。二人ともそれぞれ日本酒とビールを持ってきた。私の誕生日を祝おう、というのだ。コップなど部屋になかったので、私は下宿のおばちゃんに借りようと、階段をおりているところに、今度はYM
がきた。4人分のコップを借りて、おめでとう、乾杯。未成年の飲酒だ。つまみは、YMがピーナッツやいかなど少し持ってきただけ。ビールに日本酒2本だったか、騒ぎもせずに静かに語らいながら、全部空にした。
   翌日は学校。初めての二日酔いに、困惑混乱しながらも、私はいつも通り登校した。頭痛もあり気分は最悪だ。周りの席の同級生たちは、私が非常に酒臭いかったはず。他の三人は休んでいた。下宿の隣は元校長だったH氏の家があり、その隣が高校の男子寮だった。寮の裏手に番匠川の堤防があって、寮生だった、TZとTFは、そこで星を見ながら朝まで寝たらしい。YMは米屋の自宅に戻ったようだ。
  高校を卒業後、同じクラスだった私とTZが、担任だったS先生に呼ばれた。生徒だった人の家から是非にと誘われて、断ってもどうしても、というので、他に二人連れて行っていいなら、という条件で行くことにした。一緒に行こう、となった。そこは同級生Mの家だった。彼女の父親とは昔の教師仲間で、卒業したからいいのではないか、ということだったようだ。それに、お前とTZなら、少しくらいは飲めるだろうから。それも理由の一つだとあとで聞かされた。
その時、私とTZは、飲む量を考えながら控えめに接待に預かったのだった。Mの家を出た後、私とTZは教員住宅のS先生の家に行って泊めてもらった。
  いまなら退学処分。教師も停職処分。私どもは法律違反を犯したのだ。それでもまだ当時は、寛大な雰囲気があったのも事実。間違いをして、繰り返さないと思いながら、その後数え切らないほど二日酔いの苦しみを経験することになった。二日酔いで翌日の仕事を休んだりしたことはなかったが、自分の愚かさをしみじみ思うのである。


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