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菊塵

今日は11月半ばとは思えない暖かさ・・というか暑さでした。
小春日和のせいか 眠くて眠くて
パソコン前で寝落ちてました・・・
で、ネタがないので 昔のメールマガジンからの掘り起こし。
先日11/8に 立皇嗣宣明の儀(宮殿)が執り行われので
天皇のご衣裳のことなどを。

菊塵」はかつては「禁色(きんじき)」と言われ、
天皇以外に着用が禁じられた色でした。
禁色のほかに 「聴色(ゆるしいろ)」というものがあり
これは天皇以外の
下位の者が天皇に着用を許されて着る色や衣裳のことです。

真昼の太陽の色といわれる「黄櫨染(こうろぜん)」は、
天皇以外なんびとたりとも使用することのできない絶対禁色です。
延喜式には、黄櫨染は山櫨(やまはぜ)の樹皮と蘇芳で染めるとありますが
落ち着いた黄赤褐色系、とされていて
植物染料のゆえに時代ごとにその色は微妙に変化しているそうです。

黄櫨染は儀式用としての天皇の御袍であるのに対し
日常の御袍とされるのが「菊塵(あるいは麹塵きくじん)」。
菊塵は、青色とも緑ともされますが
『白氏文集』では春の柳の芽吹きの色とされています。
絶対禁色ではない菊塵は、
聴色として典侍や蔵人にその着用が許されていました。
紫根と刈安を使った織り色で
光線の種類によって色が変化して見える微妙で美しい色です。
草木染の不思議な力によって
紫外線と赤外線では色が変わってみえるので
朝と夕方では別物のように見え
古代の人々には不思議で高貴な色とされていました。


平安以来連綿と続いてきた 禁色、聴色のしきたりは
明治以降、天皇の黄櫨染と皇太子の黄丹のみを絶対禁色として残し、
それ以外の禁色の規制は解かれていますので
今は どなたでも菊塵を着ることが出来ます。 
ありがたいことです。


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