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2022「母の刺繍展」が無事、終わりました!

昨年から、noteで母の刺繍の記事を書きながら、模索し、「母の刺繍展」を開くことになった。
そして、その「刺繍展」を先週、無事に終えることができた!

何がいったい無事だったのか~!

私の「腰」だ。私は、ひたすら「自分の腰」が心配だった。「ぎっくり腰」になったら動けない。(昨年の夏になった)

実際、私は元気に、手伝いに来てくれた娘たちと「高校の文化祭」のノリで、楽しかった。

ハンガリー刺繍のコーナー
noteに書いた記事が読めるように、QRコードを作品の下に貼った。

最終日には、刺繍仲間たちが来るという事で、母も会場までやってきた。

母がお世話になっている
デーサービス」のスタッフさんからのお花


来場された方々の「お話」を伺って、私が思ったこと

2つのことを改めて、私は認識した。

一つは、本当に刺繍をやるという事(学ぶ)の中で、「図案」というのは、「無くてはならないもの」であるという事。つまり「刺繍図案には価値がある」

二つ目は、刺繍を習得するプロセスにおいて「刺す作業」だけではなく、「図案」を自分で「描き移す作業」も同時に習得していくことが大事。

「刺繍」と一言で言っても、奥が深い。また、その種類も多岐にわたる。会場まで足を運んでくれた方たちは、「地域の区民センターで刺繍を習い始めて1年です」という初心者の方もいれば、かなり刺繍を学ばれているのだな~と思う方もいらした。

昨今、刺繍をされている方たちは、母がやってきた「学び」とは違い「楽しむため」に刺繍をやっている人が多い。

以前、noteの記事に書いたけれど、母曰く「刺繍図案が描けるようになることが、ひとつの刺繍の課程」だ。しかし、そこが大変な作業らしい。

「刺す」作業が楽しいのであって、「図案を布に描き移す作業は、スキップしたい」そう思う方は多い。
だから、刺すだけでイイ「刺繍キット」が、よく売れるわけだ~

つまり、「刺繍本」を購入し、自分で必要な材料(布、刺繍糸)を用意し、さらに本を参考に「刺繍作品が作れる方」というのは、かなりの「刺繍ができる人」というこだ。

刺繍図案を描くという工程には2段階ある。
先ずは、どんな絵柄を刺繍するかを決める。例えば、書店で売られている「刺繍本」を基に作品を作るのであれば、本についている図案をトレッシングペーパーに描き移す。
次に、布とトレッシングペーパーの間にチャコペーパー(洋裁用のカーボンの様なもの)を挟み、絵柄を刺繍布に描き移す作業がある。

この「工程」を省き、最初から「図案が描いてある布」に直ぐ「刺繍糸で刺したい」そう思う人が、刺繍をされている方の中には「多い」という事を改めて実感した。

(もともと、刺繍の簡易化傾向は感じていたけれど~)

「刺繍の奥深さ」と「刺繍図案の価値」を知って欲しい。

たまたま通りかかって入場された方の中に、「ノートルダム寺院」の作品をみて「これ機械でやったんですか?」とおっしゃる方がいらした。
母のステッチは、本当に丁寧で綺麗だ。

人間は、「機械に勝る技術を習得することができる存在である」ことを、作品が示している。

手芸ビジネスのためには、刺繍を簡易化し、すそ野を広げ、顧客を増やす必要があることは、理解できる。しかし、その方向性だけになると、刺繍に限らず、「人」そのものの「本質」から離れ、人間に与えられた能力が、衰退していく。

煌びやかな衣装で舞う、フィギュアアスケート選手も、氷の上だけで練習しているわけではない。「基礎体力」や「身体作り」のために、一見するとスケートと関係ない事もやる。

「刺繍図案」は、表からは見えない。「図案を描く作業」は、一見すると刺繍とは、関係ないイメージがある。しかし、この作業はマストなものだ。

母の図案・数字は刺繍糸の色番号
この「図案」は「展示した作品の図案」だったので、
テーブルの上に置いた。

今回の「刺繍展」で、「図案展示」も考えていた。しかし、結局どう展示したらイイのか、考えが及ばなかった。事前の「図案整理」もちゃんとできていなかった。それでも、とりあえずギャラリーには、少し持って行ってみて、そこで考えようと思った。

実際、作品や書籍類を配置してみると、かなりスペースが埋まった。だから、「図案展示」と呼べる事はしなかった。

展示会が始まり、来場者の方とお話をする中で、段ボールに入れたままの図案をその時だけ、取り出し、お見せするようなことはあった。

今、保管していいる母の「刺繍図案」の殆どは、多分オリジナルだと思う。もちろん、過去に「雄鶏社」から出版された書籍に掲載されている物もあるけれど。

図案の著作権ってどうなっているのだろう~

例えば、母が持っているオリジナルの図案で、誰かが刺しゅうをしたら、どうなのか…、お金が発生しなければ問題は無いか・・・とか。

「何をやってはいけないのか」が分からない~!

「書籍展示」をやって、思ったこと


今後も続けようと思う。

閲覧コーナーも設置した。

書籍は、ギャラリーの殆どの場所に置いた。丸椅子を配置し、座りながらゆっくり閲覧して欲しいという思いがあったけれど、じっくり、みる方は少なかった。

今後の事として、ひとつ考えている事は、「刺繍展」とは別に、「刺繍図書会」をやったらどうだろうと~ということ。

「刺繍展」の一部としての「書籍展示」は、閲覧がOKであっても、どこか「本屋の立ち読み」のようで、遠慮がちになる。
だったら、「図書会」として、書籍をみることを目的にしている有料イベントの方が、堂々と本を手に取れるのではないかとも考えた。

このアイディアは、来場者からの発案でもある。

今はザックリとしたことしか、思い浮かばないけれど、もっと考えてみようと思う。

いわゆる「刺繍の専門書」と言われるような本を手に入れようと思ったら、古本で探すしかない。

来場された方の中には、例えば1985年に「雄鶏社」から出版された「オープンキャンパス」のような本を、現存の出版社が「再版するべき」と強くおっしゃる方もいらした。

中は、白黒ページが殆どで、あらゆるステッチの解説が載っています。

でも、仮に再版されても、その出版社の「売り上げ」には、たぶん貢献できないんだろうな~。
専門的に「刺繍を学ぶ人に必要なもの」は、手芸ビジネスの中で、おそらく「儲からない」ということだ。
「越前屋」でも、むかし母が使っていた「刺繍用の布」を扱わなくなってきたと聞いた。

私は、母が生きている間は、これらの書籍を手放す考えはない。また、どこかの図書館への寄付も考えていない。(図書館は、最終的に本を処分してしまう。)
刺繍本は、何度でも「作品作りに活かせる価値」がある。
図案のデザインは、普遍だ。

デーサービスから送られたお花、受付に飾らせて頂きました。


新田惠津子さんが、展示してあった「母の本」をもらっていった!

母の刺繍仲間だった新田惠津子さんは、今でも活躍されている方だ。最終日に、刺繍仲間と共に、来場くださった。
母に限らず、年齢的に刺繍創作から遠ざかっている方が殆どの中で、唯一、新田さんは、今でも東京・京橋の「越前屋」で、「刺繍教室」を担当している。

新田さんの「刺繍教室のチラシ」を会場に置いたらどうだろうかと思い、その旨を彼女に連絡した。しかし「もう私、来年でお教室やめようかと思ってて~」と言われた。新たな生徒募集は、考えていないとのことだった。

母の「ブルージュの窓」という小さな額の作品がある。
この作品を作る「基」になった「ヨーロッパの窓辺」という写真集を、私は作品の傍に置いた。

テーブルの上に置いてある小さい額が「ブルージュの窓」

新田さんが、その「写真集」をじーっと見て、「あなたのお母さんが、亡くなった後でもイイから、この本もらえるかしら~」と私に言ってきた。
母は、周りから「100歳まで行くんじゃないか」と言われていてるし~そこまで待たなくても・・
母に伝えると、「いいわよ~」というので、母がサインして (と言っても、ただ名前をかいただけ、ですが・・)、差し上げることにした。

「若い頃の半分ぐらいのペース」で作品作りをしているとお話されていたけれど、「刺繍教室」の講師はやめても、新田さんの創作活動に対する意欲は、まだまだ旺盛だ。

新田さんの「個展」が、来年6月に、表参道で開かれる。

会場はこちら

母から受け取った「本」から、どんな作品が生まれるのだろう!
私は、楽しみにしている。



「母の刺繍展」で、展示した新田さんの本
新田さんの作品は、こんな感じです。
刺繍というよりも「織」の作品

反省と評価・その後に向けて

65点を目指してた私は、それなりに「やったぞ~!」と思っている。

今回の「刺繍展」が、今までインスタやnoteをみてくださってた方たちにとって、「答え合わせの場所」となっただろうか~


最終日の午前中は、母の刺繍仲間だった、80歳前後の方たちが集まって、一瞬「デーサービス状態」だった。皆さんにとって、久しぶりに連絡を取り合う機会を提供できたことは、良かったかな~と感じている。

一点だけ残念に私が思たのは、「名刺」作っておかなかったことだ。
フラ~と入られた方もいたけれど、インスタやnote の記事を読んで、来てくださったにもかかわらず、その方たちに自分が誰であるのかを、ちゃんとお伝えするべきだった。大変失礼なことをした、という思いが残った。

「SNSだけ」で繋がっているという事が、「昭和な人間」には、なんとなく「不安定」な感じがしてしまうのだ。

季節がいい頃に、また「母の刺繍展」を開催しようと思っている。
それとは別に「図書会」を考えていこう!
「図案整理」も、もっとちゃんと、やろう!

何だか、やることいっぱいだ~

インスタやnoteだけで繋がっていた方たちと、実際にお会いすることができたのは、半世紀以上、生きて来た私にとって、初めての経験だった。
「風の時代」を実感するような出来事だった。

ご来場くださった皆さまには、心より感謝とお礼を申し上げます。

追記
noteやInstagramで頂いた、
皆さまからのスキやコメントに、大変励まされました😊
本当にありがとうございまし!
今後とも、よろしくお願い致します🥰

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