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読書感想文 The culture map

前回の『北のダンナと西のヨメ』に引き続きまた比較文化論的な本です。

筆者はフランス人の旦那さんとフランスに住んでいるアメリカ人。彼女の仕事は、文化や習慣、コミュニケーションの仕方の国による違いをクライアントに教え、クライアントの海外進出や海外支店でのグローバルなコミュニケーションを支えていくという役目です。彼女自身が、そして顧客を通して色々な『ミスコミュニケーション』や『文化の違いによる誤解』を経験、発見していきます。アメリカで色々な文化背景を持った人々と交流している私には大変興味深く、参考になった本です。

筆者はコミュニケーションにおける文化的側面を8つの分野に分け、どの国、どの言語が何処に相当するかをマッピングしています。例えば、コミュニケーションではlow contentとhigh contentに分け、low contentは、『言ったまま、書いたままがそのままその人の意図するところ』とし、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、ドイツなどがあげられています。対局の『言われたこと、書かれた事以外に行間や雰囲気を読まなくてはいけない』のは主にアジアの国、インド、韓国、中国、日本、そしてイランなどが挙げられています。その間に挟まれるようにフランス、スペイン、イタリアなどのヨーロッパの国々があります。

ある会社のカンファレンスで日本人の重役の発言が本の中にあります。『日本では行間や言われていないことを読まなくてはいけない風潮があります。私の国では毎年『流行語大賞』なるものがありますが、数年前に『K Y』という言葉が流行りました。これは『空気が読めない、つまり行間を読めない』という事なのです。日本では空気が読めないと、いいリスナーにはなれないのです』
アメリカ人重役が笑いながら『じゃ、僕達(アメリカ人)は全員K Yなんだね!』日本人重役はそれには応答せず、筆者はこれは日本人重役が『イエス』と言ったとみなしています(笑)。

自分の経験から私は大体筆者の言っていることに賛同しますが、私が一番自分の経験からは少し違うな、と思ったのは中国のマッピングでの位置ですかね。

私の場合友人の国籍は多岐にわたりますが、何故その中でも特に親しくなる友人に韓国とイランの方、または韓国系アメリカ人、イラン系アメリカ人が多いのかがこのマッピングを見てかなり合点がいきました。(移民の歴史が浅い国々なので私の友人は1世か2世に相当します)。

夫は日系アメリカ人4世なのですが、ハワイ出身という点(ハワイでは本土よりも日本文化が継承されている)とおじいちゃんっ子だった様なので『アメリカ生まれ育ちで日本に一回も行った事がない』にしては文化的にはアメリカと日本の中間位に位置している様な気がします。

比較文化論に興味のある方、仕事で海外の方と交流されている方にはとてもおすすめの本です。
お勧め度:★★★★★ (5つ星の5)

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