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普段ドラマを見ないおっさんが落語に釣られた話。昭和元禄落語心中 | NHK ドラマ10/ネタバレなし

 今更言うまでもないことですが、私が漫画が好きです。あまり私を知らない方のために付け加えると、落語も好きです。そして、ドラマというものはもともと大して好きではありませんでした。さらに付け加えるとすれば、私が好きなのは落語そのものであって、演じる落語家さんがどういう人であるか他者との関係性がどうかとかには、あまり興味はない。せいぜい小ネタ、まあそういうこともあるかの雑学程度であります。

 たとえば誰か落語家さんが不倫をしたとする、そりゃあよくねえなあ、と思いはしますがそれでその人の演る落語を「こいつは不倫するような奴だから、そんなやつが演るんじゃあ落語だって詰まらねえ」とはなりません。

 いまさら改めてそういうことを書きだしたのは、先日からやっている、このドラマのためです。そういう私が、なぜこのドラマを見てしまったのか。

 このドラマは漫画が原作で、アニメ化もされております。私はこのドラマを毎週録画しておりますが、第一話の冒頭を見ただけで止まってしまっておりました。アニメも以前第一話を見ましたが、最後まで見たのかどうだったか……忙しさを理由に、言い訳にして第二話以降は試聴しておりません。

 ようやく時間をつくって、というよりはもう五週分ほど撮りためてしまってHDDの空き容量も減ってきたし、ということで寝物語に付けっぱなしにしていたわけです。元来寝つきの悪い質ではあるが連日の激務の疲れからかさすがうとうとしかけたころ、ドラマでは柳家 喬太郎師匠演じる落語家さんが、酒でしくじって落語協会を除名され寄席にも出られず、それでも落語家を落語を辞められず個人的に開いた(さすがにそれを禁じることは協会にも事実上不可能)落語会の場面でした。その日の演目「死神」にほれ込んだ主人公菊比古(岡田将生)は、彼に稽古をつけてほしいと頼みます。この展開はドラマオリジナルの場面ですが、まさにその場面で、ただ一言耳から入ってきた調子に目が覚めてしまったのです。

教(おせ)えてやろうか

 落語「死神」の作中に登場する、まさにその死神の台詞であります。落語の稽古、特に「つけてもらう稽古」というものは、口伝えで行います。まず師匠がやって見せ、つけてもらう側はそれをそっくりそのまま真似する。その稽古の最中に菊比古が何度かこのセリフを繰り返すのですが、これが演技とも思えないほどに繰り返す度に凄みを増し、薄気味の悪い死神の姿が目に浮かぶようでした。というかそもそもそんな「だんだん落語が上達していく演技」など可能なのかというほどのものでありました。

 ドラマ序盤の、後年「有楽亭八雲」の名跡を八代目として継いだときの岡田さんの演技、台詞回しはどうにも芝居がかかりすぎていていたように思いますが、ドラマのメインとなっているらしい『八雲と助六篇』(この助六は二代目のこと)を経た『助六再び篇』(こちらは三代目)で、どのような演技を見せてくれるのか楽しみです。





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