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駐在日記:踊るDNA

バケーションシーズン到来。

日頃は営業職なので、客先訪問や顧客対応がメインの仕事になるが、この時期はパタッとそれがなくなる。

お客さんのほとんどが休みか、仕事をしていても普段よりはスローになっているからだ。

もれなく私もスローになるのだが、ビザの申請、引っ越しの準備、引き継ぎ、諸々で7月前半はバタバタしていた。


夏の間は毎週どこかで音楽フェスがやっているので騒がしい。

先週末は私の住む街でも比較的大きなフェスが開催された。

毎年この時期にやっているもので、世界中からありとあらゆる音楽のアーティストを呼んで行われる。

その3日間は町中に大小のステージが立ち、昼から夜中まで延々とライブが続く。

普段は取り締まりが厳しいストリートミュージシャンもこの3日間は街のどこでもライブができるのだ。

私の家から徒歩1分のところにもステージがあり、その周りに屋台が並んでいた。

家の中でも十分聞こえているのだが、やはりライブは雰囲気が楽しい。

ちょっと聴いて気に入ったアーティストがいれば、家からすぐ出てライブ会場で聞くことができる。

深夜までお酒を飲んで、一時期よりかは涼しくなった夏の夜を楽しむ。

この家に住んで、この街に住んでよかったなぁと思う瞬間の一つである。


ドイツのフェスはとにかく、皆が皆踊る。

子どもからお年寄りまで皆周りを気にせず踊りまくる。

ペアダンスを踊っているおじいちゃんおばあちゃんカップルは見ていてとても微笑ましい。

今回は途中激しい夕立になったが、タンクトップとハーフパンツにサンダルで雨の中びっしょびしょになりながらステージ最前列で踊り狂うおじいちゃんがいて、人生の師として崇めたくなった。

知ってる曲は歌うし、良いと思ったらリズムをとる。恥ずかしがらずに踊りまくって、その場を楽しむ。エレクトロでもラップでもハードロックでも民謡でも、そういう人たちがいた。

最終日のフィナーレのアンコールは、客がステージに上がって、アーティストと一緒に歌い、踊り狂う。

私も漏れなくビール片手に踊りまくっていたのだが、やはり周りを気にせずに、楽しめる空間はありがたい。


あ、これ知ってる。盆踊り大会と同じだ。

日比谷公園で開催されていた盆踊り大会に飛び入りで参加した時のことを思い出した。

振りがちょっとわからなくても、曲を知らなくても、一人で参加しても、すごく楽しかったなぁ…なんて少し日本の夏が恋しくなる。

踊るってとても原始的な、人類にとって重要な意味を持つ普遍的な行動なのだろう。

あっと言う間に週末は終わってしまい、今週からは8月になる。きっと8月もぼんやりしてたらすぐ終わってしまう。

しばらくお別れになるだろう、ドイツの夏を悔いなく楽しみ尽くすことが今の最優先事項だ。

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