わだゆりか

97年生まれ。慶應文学部卒、外資コンサル勤務の社会人4年目。おいしいものを食べることと…

わだゆりか

97年生まれ。慶應文学部卒、外資コンサル勤務の社会人4年目。おいしいものを食べることと小説を読むことが好きです。エッセイを中心に気まぐれで書きます。朝井リョウと金原ひとみが好き。

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24歳、彼氏にフラれた日の日記

ーー返信遅れてごめん。突然だけど、2人の関係は終わりにしよう。 視界の端で捉えた、スマホのLINE通知に目を疑った。ちょうど、上司とオンラインで話しながら、PCに映る広告費のグラフとにらめっこしていたときだった。 「え、なんか今私フラれたんですけど」 「聞こえない、なんて?」 「今私フラれました」 「ごめん、声小さくて全然聞こえない」 「だから!今彼氏から別れを告げるLINEが来ました!」 「えええ!」 住んでいるシェアハウスの共用部で作業していたため、あまり大声をあげ

    • 【短編小説】うすっぺらな街

      「ねえウケんだけど、見てこれw」 土曜日の18時、私と香織はコリドー街からほど近い場所にあるカフェにいた。 「この前アプリでマッチして1回デートした人なんだけど、しょーみ渋かったからLINE返してなかったのに、追いLINEで2回目誘われちゃったw」 私はビールを1口飲みながら、向かいに座る香織にLINEの画面を見せる。今日は19時から総合商社の男性と3対3の合コンだ。つい先日、私が新橋の飲み屋でナンパされた男から合コンを開こうと提案され、今日の場がセッティングされた。も

      • 26歳独身OLの休日@北千住編

        10時過ぎに起きて、ボクシングジムの予約をした。先日体験に行って、勢いでその場で入会したきり行っていなかったので、いい加減そろそろ行かねばと考えていたためだ。入会と言っても「月2回プラン」という最もミニマムのプランで、日常的に運動に励んでいる人からしたら(2週間に1回??何がしたいん???笑)とでも思われそうな頻度だが、何かを始めるにはハードルは低ければ低いほどよい、という真面目なのか怠惰なのかわからない信条のもと、最近スロースタートを切ったのだった。 朝から何も食べていな

        • 短編小説|かわいそうな恋

          ーー【ご報告】結婚しました。 何気なくスクロールしていたら流れてきた投稿に、思わず指を止めた。投稿の左上にあるのは、見慣れた彼のIDとプロフィール写真。 ーーこの度、大学時代よりお付き合いしていた美嘉さんと結婚いたしました。楽しいときもつらいときも、いつも僕を支えてくれた彼女には感謝しきれません。これからも誠実に、彼女と向き合っていきたいと思います。まだまだ未熟な2人ですが、変わらずよろしくお願いします! 1枚目には、婚姻届の上に3つの指輪が置かれた写真。左にスワイプす

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        24歳、彼氏にフラれた日の日記

          クローゼットから溢れる、ひと夏の恋

          最近すっかり肌寒くなり、秋服・冬服を着る季節になった訳だが、シーズンが変わる度、私はクローゼットの前に立ち尽くして思う。 (え、全然服なくない……??去年の今頃何着てたんだっけ……?) 無論、目の前にはたくさんの服がある。クローゼットには、溢れんばかりにニットやスカートが掛けられている状態だ。でも、着たい服がないのだ。 とはいえ、毎シーズン思っていることなので対処法はわかっている。そう、服を買いに行けば良い。ということで、この前の祝日と先週の日曜、私は立て続けに洋服を買

          クローゼットから溢れる、ひと夏の恋

          AIが描いた絵で人は感動できるのか?(Midjourneyで遊んでみた話)

          Midjourney?へ〜何それおもしろ!まぁなんか結構前にもそんな感じのあったよね。程度にしか思っていなかったのですが、SNSで見ていると(これはただのお絵描きツールに留まらないのでは…?)と思い始めたので、考察を書くとにしました。 AIと言えば、真っ先に議論に上がるのが「AI 対 人間」的な二項対立の話ですよね。「将来AIに奪われない仕事とは?」「人間にしか作り出せないものって何?」みたいな。 今回のAI絵画ツールも同様、例えば「イメージ通りの絵を描くスキル」であった

          AIが描いた絵で人は感動できるのか?(Midjourneyで遊んでみた話)

          酒とかいう悪友との上手な付き合い方が未だにわからない

          座っていると睡魔が顔を出しそうなので、立ちながらパソコンを叩く。水曜日の朝、私はオフィスで二日酔いと戦っていた。昨日、平日にも関わらず飲みすぎたせいだ。なんとかタクシーで帰ったが、如何せん体調が悪い。 深酒した翌日は決まって後悔するのに、何度も同じ過ちを繰り返してしまうのは何故だろう。おそらく、そんなのは古今東西で手垢のつくほど思考されてきた、陳腐な問いなのだろうけど。 その「後悔」というのが、睡魔とか二日酔いといった、身体的弊害によるものだけだったらさして問題ではない。

          酒とかいう悪友との上手な付き合い方が未だにわからない

          月曜日の憂鬱と、ただならぬ食い意地

          月曜日の夜8時過ぎ、オフィスを出た私は、スーツ姿のサラリーマンに紛れて都営三田線に乗り込んだ。優先席に空きを見つけ、一瞬躊躇するも疲労感が勝って足早に座席に直行する。昨日、日曜日だからといって昼から酒を飲みすぎたせいだ。今日は一日中、意識の表面をなぞっているような感覚だった。たぶん、そうでもしてないと不意に二日酔いによる吐き気を認識してしまいかねなかったのだと思う。 仕事に対して、こうも気力が湧かなくなったのはいつからだろう。先週毎日残業していて、精神的にすり減ってしまって

          月曜日の憂鬱と、ただならぬ食い意地

          殺風景なワンルームで暮らす私と、ささやかな物欲

          私は物欲があまりない。ブランド物の服やアクセサリーに興味がないのはもちろんのこと、まず部屋に物があまりない。どれくらい物がないかというと、私が過去に上がり込んだことがある他人の部屋と比較したとき、私より物が少ない部屋は1,2回ほどしか見たことがないくらいだ。 自室にあるものといえばベッド、冷蔵庫、仕事用のデスクと椅子など必要最低限のものくらいで、たぶん明日引っ越せと言われても難なく荷造りできる。 なんだか「どう?私ミニマリストでしょ?とでも自慢したいのかよ」と思われそうな

          殺風景なワンルームで暮らす私と、ささやかな物欲

          Instagramをやめたら色々と調子がよくなった話

          ついこの間、楽しみにしていたデートに行った。どれくらい楽しみだったかというと、事前に当日着るためのワンピースを買ったり、長いこと切らしていたお気に入りの香水を調達したり、化粧水すらサボりがちな私が朝晩かかさずルルルンの顔パックをしていたくらいだ。 恋というのはすばらしいと思う。「あの人に一番可愛い私を見てもらいたい!」という一心で、いつもだったら重い腰もひょいと上げられてしまう。なんならデート本番よりも、デートを心待ちにしている時間の方が楽しい。私の中で、デートは始まった時

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          「自分の気持ち」はどこにあるのか?

          「自分の気持ち」というものが、身体の外にある気がしている。 これは私が生きている中で、ずっと抱いている違和感だ。昔から、学校でも家でも感情を押さえがちだったのか「思った通りに動く」ことが苦手だった。 --- 今でも覚えているのが、中学2年生の頃のこと。もともと私は一重まぶたで、真顔でいると常に不機嫌そうに見えることがとてもコンプレックスだった。周りの誰からも嫌われたくなかった私は、心の中で「いつもヘラヘラしていよう!」と心掛けていた。(なんと健気で不憫な14歳…。。)

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          沈みゆく船。料理をし続けるシェフでいるか?バケツで水を汲みだす料理人になるか?

          パッと見たらなんのことやら、かもしれないのですが、スタートアップで働く方であれば、おそらく誰しもが「あ〜ね」となる話かもしれません。 ■こんなことありませんか? 例えばあなたは、社員数5名程度のスタートアップで営業を担当しているとします。日々のKPIは開拓店舗数。昨日の反省から、今日は営業資料をブラッシュアップしたい。 ただ実際そう上手くはいかない。午前中はテレアポリストの更新と新規店舗からのお問い合わせ対応。午後商談から帰ってくると、クライアントからのメールとメッセが

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          1杯のサラダボウルから学んだ仕事の価値観

          価値観というものは、ある日突然、180度変わることがある。 私はPOTLUCK(ポットラック)という月額定額制テイクアウトサービスの店舗営業として働いている。営業の中でも私が担当しているのは主に既存店のフォローだが、気になるお店があれば自らアポイントを取って商談に行くこともある。現在大学3年生で、本来であればリクルートスーツを着ていなければならない時期だが、思いのほかこの仕事に熱中してしまい、気付けば私服で週5出勤していたのだった。 この日もちょうど、以前私用で行き居心地

          1杯のサラダボウルから学んだ仕事の価値観

          何者でもない私が、何者でもない自分を少しだけ好きになるまでの話

          「私って何者なんだろう?」そう思い始めたのは18歳の春。長かった大学受験が終わったころだった。第一志望の入試の帰り道、サンマルクで達成感と虚無感に駆られながら、それまで制限していたスマホを食い入るように弄っていたのを覚えている。そのすぐ後に私を待ち受けていたのは、真っ暗とも真っ白ともにつかない、何も道しるべになるものがない”空っぽ”のような時の流れだった。それまで部活にしろ勉強にしろ、周りに合わせて生きてきた私は、18歳になって初めて「自分でやりたいことを決める」段階に立った

          何者でもない私が、何者でもない自分を少しだけ好きになるまでの話

          久々にUVERworldのライブに行ったら、少しだけ大人になれた自分を見つけた話

          これもう1週間くらい前の話なんですけど、 先週、大学の文化祭の前夜祭でUVERworldが来たんです。 私、中学高校の頃UVERworldが大ッッッ好きで。 どれくらいライブに行ったか分からない。クリスマスの武道館ライブは、中3、高1、高2の3回くらい行ったんだと思う。その頃周りに好きな人がいなかったから、TwitterとかLINEグループで一緒にライブ参戦してくれる人探して、「初めまして」の状態から一緒にライブに行ったり。夜行バスに乗ったのも、大阪遠征のときが初めてだった

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          大好きだったホテルのフロントのバイトを辞めた話

          先週、私は2年弱続けていたホテルのフロントのバイトを辞めた。 「いや、バイトでしょ、たかがバイト辞めたくらいの話なんて興味ねーわ」と思われてしまったらそれまでなのですが、、、(笑) 19歳から21歳、学年でいうと大学1年生から3年生という、価値観がコロッコロ変わるある意味多感な時期を費やしたと思うので、経験の棚卸的な意味でも2年弱のことをさっくりまとめていきたいと思います。 ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・ 【序章:はじめるまでの話】

          大好きだったホテルのフロントのバイトを辞めた話