先送りを数えると、先送り癖はなくなる
私の愛しいアップルパイへ
「いまやるべきことに、手をつけられない」「やらなきゃならないのに、動き出せない」「やろうとやろうと思っているのに、別のことに手を出してしまう」
つまり「先送り」と呼ばれるものです。程度の差こそあれ誰もが悩まされているものでしょう。あなたほどエレガントなお方であれば別かもしれませんが、それでも一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。
どうすれば先送りをなくせるのか?
今日はこの上なくシンプルな方法をお伝えします。
先送り癖をなくしたいなら、先送りを数える
やり方は簡単です。先送りしたことの数をできるだけ毎日数えるだけです。先送りをなくそうと考える必要はありません。ただ、先送りした数を数えるだけです。
おっと、画面を閉じるのはまだ早いですよ。
食べたものを記録すると、自然とダイエットにつながるという話は聞いたことがあるでしょう。タバコを吸った本数を数えると、禁煙に成功しやすいという話もあります。家計簿をつけ始めたら無駄遣いが減ったという経験があるかもしれません。
いずれにも共通しているのは次の2点です。
そのつど数えて記録をつける
無理に改善しようとせず、自然と結果が出るのを待つ
なぜこれで状況が良くなるのでしょうか?数えることでそれに意識が向きます。意識が向くと、無意識のうちについやっていた不要な行動が減るのです。
この条件を使えば他のことでも応用できるのではないでしょうか。たとえば「先送り癖」についても。なんと甘美なひらめき!
先送りとは何か?
さぁさぁ、それでは「先送りしたこと」を数えて、記録していってみましょう!アブラカタブゥーラッ!
しかし、ここで手が止まります。「先送り」を「やらなければいけないけれど、できていないこと」「やりたいけれど、できていないこと」とすると、際限がないのです。
やらなければならないことは日々増えていきます。やりたいことまで含めたら、際限がなくなってしまいます。やりたいことなど、動画を1つ観るたびに増えていってしまうからです。
しかもこの2つの境目は曖昧です。「将来はグローバル企業で働きたいと思っているので、英語を勉強したい」は「やらなければならないこと」でしょうか。「やりたいこと」でしょうか。
「やらなければならないこと」もしくは「やりたいこと」の中で、手をつけられていないことを「先送り」としてしまうと、際限がなく、数えようがなくなってしまいます。際限がないということは、「先送り」は解消しようがないものとなってしまいます。
逆に言うと、このように霧か霞をつかもうとするかのような曖昧なものに人は悩まされているともいえます。なくしようがないものを、なくせなからと思い悩むのは滑稽です。
先送りを定義する
先ほど「先送りを数えることで、先送りをなくす」と市民ケーンのごとく雄弁に語ったのですが、結局それは不可能なのでしょうか?
そうです。常識的に考えたらそうなります。しかし、あなたは運が良い。ここに私がいるのですから。
「先送り」は定義が曖昧で数えられないというのなら、曖昧であった先送りを数えられるように再定義してあげればよいのです。
「先送り」をこう再定義することとしましょう。
今日やると決めたことの中で
手をつけられなかったことを先送りとする
まず今日を範囲として「今日のうちにやろうと思ったこと」を対象とします。そして「手をつけられなかったら」先送りとします。逆にいえば、1分でも手をつけられたなら先送りとしないわけです。
「完了」ではなく「着手」を条件とします。
完了、つまり「終わらせる」というのは曖昧な定義です。何をもって終わったことにするかは、自明でないことが多いです。
また、「終わらせられないかもしれない」と思うとハードルが上がってしまい、むしろ先送りを増やす原因にもなります。
それに「今日は英語を30分勉強しよう」と思って「20分しかできなかった」のは、先送りとはいわないでしょう。
それからもう1つ。「何もできなかった」のか、「1分でも手をつけられた」のかはまったく違う結果をもたらします。どのくらい違うかというと、マリリン・モンローとスーザン・グリフィスくらい違います。
その違いは、是非ご自身で体験していただきたいところです。
先送りを数える習慣を始めてみる
「では、どうやって?」
すばらしい質問です。
「では、どうやって?」
は、この世で最もすばらしい質問のうちの1つです。
ではさっそく今からやってみましょう!
まず、今日やることを決めていきます。今日やることすべて洗い出す必要はありません。今日やってもやらなくても良いようなことは書き出さなくてOKです。
「先送りが気になっていること」があるなら、それを今日やることとしましょう。思いつかなければ「これだけは前に進めたい」「これはできないと困る」と感じることを挙げましょう。
なんでもかんでも書き出そうとしないでください。数は少なければ少ないほど良いと考えましょう。特に初日は“最大で“3つ以内としてください。
日中、1分でも手をつけたらその項目の横に印をつけておきます。できるだけリアルタイムに印をつけるようにすることで、より意識が向きやすいので良いでしょう。
1日が終わったら、印の付かなかった項目の数を数えてください。
このとき「なぜ、先送りしてしまったのか?」と深く悩んだりしないようにしましょう。
この習慣の良いところは「数えるだけ」で良いことです。「数えるだけ」で、自然と少しずつ望ましい結果へ向かっていきます。
あとはこれを毎日続けましょう。
"今日やる"と決めたことをリストに挙げる
1分でも手をつけたら印をつけておく
印が付かなかったものを「先送り」として数える
簡単ですね!これでどのような効果が得られるのか、小難しい論文をいくつも引用して演説をぶつこともできるのですが、残念ながらそのための十分なスペースはもう残っていないようです。
「プディングの味は食ってみれば分かる」ということわざがあります。プディングの味を知りたかったら、あれこれ想像したり調査したり分析したりするより、食べてみたほうが早いという意味です。
「先送り0」の習慣を効果的に取り入れる参考リンク
私はこの習慣を「先送り0」と呼んでいます。
この「先送り0」に関するすべては拙著「先送り0」に収録しました。この記事の内容で効果を感じ、さらに本格的に実践したい場合はこちらを読んでみてください!
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また、この記事は時間を豊かにするマガジン「ユタカジン」に寄稿しています。
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貴下の従順なる下僕 松崎より
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