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高校生の自分が、たくさんのパンフレットを持っている訳


私は映画館が好きだ。もしかしたら映画を観る為ではなく、映画館の中に入りたい為に映画館に足を運んでいると言っても過言ではない。

私の育った街には映画館があった。昔はたくさんあったらしいが、私が物心が付いた頃には3ヶ所。そして今はもうどこも閉館してしまった。

中でも、最も数多く足を運んだのは明宝グループだ。そこでは5つのスクリーンがあり、ほぼ全部のスクリーンが2本立て上映だった。当時は入替え制ではなく、一度入場すると閉店までいることができた。

2本立て上映は、『A』と言う目玉作品があると、同じ映画会社の少し人気の劣った『B』と言う作品を抱き合わせ的な形で上映した。朝9時か10時頃にオープンすると、『A』『B』『A』『B』『A』の順番で上映。最後の『A』が終わるのは21 時だった。


私が中学生の時、私の母親の友人から、この映画館で使える無料券を貰った。そこには優待券と書かれており、聞けばその方は毎月6枚の優待券を貰っていた。もっと詳しく話を聞いてみると…

昔、街中にはいたるところに映画の看板(ポスター)があった。

今も残る看板

どうやら、このような看板を設置しているお礼に優待券を毎月貰っているのだそうだ。
その方のご実家は、通行量の多い交差点の近くで商売をしており、看板を置くには最高の立地だった。また、商売をされているご両親は御高齢で、映画には行かないそうで、毎月余らせては捨てているとの事。

私は、観たい映画がある時は、その方にお願いして優待券を貰っていた。

高校生になると、観たい映画が増えた。ほぼ毎月優待券を貰っては、映画館に通った。
だが、高校生にもなると、毎回無料で観るのは申し訳ない思いが芽生えてきた。だから私は、鑑賞した映画のパンフレットは必ず買うことにしたのだ。

1991年9月。この映画館は閉館した。今は駐車場になっている。
日本のほとんどの映画館はシネコンになろうとしている。昔ながらの映画館は、日本にどれくらい残っているだろうか?

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