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カラーネガ自家現像研究録3 増感現像編

お久しぶりです。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

今回は深タンク手現像によるカラーネガフィルムの増感現像を試してみたら良い結果が得られました。って話をします。
現像液の成分は変更せず、時間延長のみでの増感効果の確認をしました。

それでは結果をみていきましょう。

**1段増感例 **

Lomograhy Color Negative 800

Film: Lomograhy Color Negative 800
Camera: NikonS + NIkkor–P.C 85mm f2
Develop: CNL–N1R 1+4 38℃ 5:45 (+1EV ISO1600相当)

結論
普通に見れるものが出てきました。
感度が得られ、下記の四つの着眼点において異常は認められないため、当該処方および条件による1段増感は十分可能であると結論づけます。

画質
粒状性はやや荒れますが、極端に悪くなることはなく、鑑賞に十分耐えるレベルと思います。

階調
露出設定の加減もあるのは前提として、今回でてきた画像では、ハイライトは飛び切らずギリギリ階調を残しており、シャドウは潰れやすく黒レベルが高い画像に見えます。
撮影対象が暗い場所のため、相反則不軌の影響もあると思いますし、そもそも暗いところで明るいものに合わせて撮ってるので、暗いところは相応に暗くて当たり前ですよね。


カラーバランスについても、極端な異常はなさそうです。カラーネガなので補正は前提ですが。

現像による異常の有無
画面全体にややかすみのようなものが見えますが、これはレンズの逆光耐性と、イルミネーションや看板などの光源によるハレーションの一種で、現像によるカブリなどではなさそうです。

**2段増感例 **

FUJIFILM Venus 800

Film: FUJIFILM Venus 800
Camera: Nikon F4 + AF Zoom Nikkor 35–135mm f3.5–4.5
Develop: CNL–N1R 1+4 38℃ 7:30 (+2EV ISO3200相当)

結論
こちらも綺麗な結果が得られました。先述と同じ、必要な感度が得られ、かつ、四つの着眼点においても十分正常に見られることから、当該処方および条件による増感現像は可能であると結論づけます。
ただし、使用するフィルムによってかなりの特性差が予想されます。詳細については後述します。

画質
粒状性はかなり荒れますが、見るに耐えないレベルではありません。撮影する対象やシーンによっては荒い粒状性を活かして良い雰囲気が演出できそうです。

階調
光源環境が極端であるため、評価は難しいものの、ハイライトには粘りが見られ白いシャツのディテールが読み取れます。シャドウはある程度粘るが、急に落ち込んでコントラストが高い印象を受けます。


こちらも、光源環境がかなり極端ではあるものの、カラーバランスは保たれているように見られます。

現像による異常
現像に起因する異常は見受けられない。
これも1段増感の例と同じく、いささか古いレンズで逆光耐性が低いせいで、各種ライト類によるハレーションが生じている。

**2段増感例 **

Lomograhy Color Negative 800 (120)

Film: Lomograhy Color Negative 800 (120)
Camera: Zenza Bronica EC–TL +Nikkor–O.C 50mm f2.8
Develop: CNL–N1R 1+4 38℃ 7:30 (+2EV ISO3200相当)

結論
こちらも十分な感度が得られました。

画質
ブローニー版のため、同じ画像サイズで比較した場合画質がよく見えます。具体的には粒状が精細にみられ、なおかつ、シャープネスが向上しているように見えます。しかし、ノーマル現像時に比べると粒状性は荒くなります。

階調
先の例と同じく、コントラストの高いシーンであるため評価は難しいですが、ハイライトに粘りが見られ、白飛び寸前のところでディテールが残っています。シャドウは持ち上がらず、ぐっと締まった印象です。


発色も良好です。カラーバランスは保たれています。一部に青カブリのような部分が見られるのは、スモークが使用されてたところに青色の
スポットライト演出がなされているためです。

現像による異常
特に異常は見受けられない。かすみや、ハレーションについては先例のとおり。

2段増感例

FUJIFILM NATURA1600

Film: FUJIFILM NATURA1600
Camera: Nikon F4 + AF Zoom Nikkor 35–135mm f3.5–4.5
Develop: CNL–N1R 1+4 38℃ 7:30 (+2EV ISO6400相当)

結論
感度不足に思う。十分な明度を得ようとするとカブリが見られ、粒状も際立って目立つ。
原因は定かではないが、現在当該フィルムは入手困難なため、検証はここまでで打ち切りとします。

画質
粒状性は荒く、シャープネスは標準的かやや低めに見えます。

階調
概ね階調は維持されているが、ハイライト、シャドウともに明度が足りず再現性は悪く感じる。感度不足は否めません。特に、シャドウの落ち込みは激しく思えます。


どのコマにも色被りが見られます。スキャナの自動補正によって緩和されているか、あるいは大げさに補正されているところもあるかと思います。発色性も芳しくありません。これらは露出(感度)の不足に起因すると思われます。

現像による異常
全体的に像が薄く、なおかつ抜けが悪い、かぶった状態のネガにしあがりました。
先述のVenus800と同時に現像したフィルムであり、現像工程のエラーは原因として除外できそうです。
考えられる要因としては、フィルム特性としての増感耐性ですが、追試による検証はフィルムの入手性が極端に悪いことから断念することにしました。

総評

カラーネガフィルムの増感処理は、2段増感は十分耐えられるというような結果を得られました。ただし、フィルムの増感耐性に依存する部分もありそうです。とりわけ、Venus800による増感処理は大変良好な結果で、粒状性の荒さを許容あるいは利用すれば十分な感度と発色をえられるかと思います。
処理時間も7:30と、白黒フィルムのノーマル現像とかわらない現像時間であり、負担は少なく思います。

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