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【アジャイル】やれるところから小さくやる

当たり前のことを書いてますが、行動に移すだけでも大きな進歩なのです。

ハードウェア部門でアジャイルできるか?

コーチングをしたクライアントさん(以下、Cさんとします)の話なのですが、Cさんは私のコーチングの中でキャリアの目指す方向性が決まり、自走できるということでコーチングを卒業しました。その後、3ヶ月くらいに一度雑談しながら状況を探っています。(もしコーチングが必要ならば、再開できるように)

Cさんは本業はメーカーのハードウェア部門で、正直DX(デジタルトランスフォーメーション)やアジャイルとは縁遠い組織にいます。
しかし、時代に合わせて変わっていかないといけないという認識の元、がっつり既存のデジタルとはほど遠い仕事の仕方を少しずつでもデジタルやデータを活用して変えていこうという意思がありました。
(その辺の意思がキャリアの方向性にも繋がっていました)

意思としてはとても良いのですが、肝心なのはそれを行動に移せているかどうかです。Cさんに聞いてみると、Cさんの部署の全部ではないが、一部アジャイルを取り入れて、タスクを可視化したり、デイリースクラムに相当する短いミーティング(あえて朝会・昼会という言い方をしていましたが)を毎日やっているとのこと。
むきなおりまではできてないが、ふりかえりも始めているとのことでした。

先にも書いたのですが、Cさんのメイン業務やその組織ミッションを伺うと、かなりアジャイルから縁遠そうなのですが、どのように進めたのでしょう。気になったのでもう少し深く聞いてみました。

本業の周辺のやれるところから始める

実際にアジャイルな仕事の仕方を取り入れていたのは、その組織のガッツリなコアの部分の業務ではなく、その業務を改善・効率化するための施策として用意するデジタルツールの企画・開発でした。
業務改善のために、自分たちでその施策を進めているそうです。

Cさん曰く、本当なら元々組織の持つミッションのコアの業務自体にアジャイルなやり方を入れたかったが、マネジャーもアジャイルには慣れていないし、仕事の可視化どころか個人個人がExcelでローカルにタスク表を持っていたり、業務の専門的な知識やノウハウはドキュメントやマニュアルにも無く、長年同じ部署にいる先輩から口伝えに教えてもらうような仕事の仕方なので、いきなりやるのは厳しいと感じたそうです。

そこで新しい施策はCさん自身で企画してリーダーにもなり、コア業務とは別の動き方ができるので、その施策の仕事に関してはアジャイルな仕事の仕方を取り入れてみたそうです。

このやり方を聞いて、良いやり方をやっているなぁと感心しました。
この辺の「先ず一人からやってみる」「近くの仲間とやってみる」という(いつも登場するアジャイルのビジョナリーでエヴァンジェリストな)市谷さんが書籍で仰っていることと同じ進め方をしているので、これからの上手く続いていくような予感がしました。

小さな変化が、大きな変化の流れを作り出す

この小さな変化が、徐々に周りにも変化を促していきます。
Cさんからさらに話を聞くと、最初Cさんのマネジャーは、コア業務に影響もないので特に止めること無くやらせてくれたそうです。

そして暫く進めていく中で、一定の成果や変化を感じ取ったのか、Cさんのツール施策でアジャイルなやり方をやっていることを評価し始め、最近ではデイリースクラムに誘うと参加するようになったそうです。(毎回かどうかはわかりませんが、嫌々ではなく参加するようになったのはすごい変化です)

Cさんに私は改めて聞きました。

「Cさん自身の変化は資質もあったし、コーチングもやっていたので疑いようがないけど、マネジャーや周りは何故少しでも変わろうとしたのか?」

「組織ミッションや業務内容を聞いていると、恐らく現状のままでも問題なく業務が回っていたはず。そこにCさんの新たな施策とアジャイルを受け入れようとしたのか?」

そう聞くと、Cさんはこう言いました。

「確かにそうかもしれませんけど、正直問題は出始めていました」
「一番古株で全てを知っていた人が定年退職したり、既存の後継ではない新しいハードウェアの担当チームの方には今のマネジャーの目が届かなくて、プロセスや仕事の進め方など、うまくできてないと感じる点も出てきていた」

つまり、潜在的な問題が徐々に表に顔を出しつつあることを、何となく組織全体で感じ始めていた。そこに何か突破口がないかというときに、Cさんのデジタルツールの施策とアジャイルが出てきて、それを回せるのがCさんだった、という流れがあったようです。

本当はCさんとは30分くらい雑談して終わる予定でしたが、アジャイルの話がでてきて1時間以上喋ってしまいました。そしてもう少し詳しい話も今度聞こうと思います。

まさに小さな変化から、大きな流れを変える動きになっていく、リアルな事例を聞けて、興味深く、そして嬉しい気持ちになりました。

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