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【アジャイル】組織やチームで「トレードオフ」に向き合う

全部はできない、その中で何を今は諦めるか。

ある時、インセプションデッキのトレードオフ・スライダーについて話題になりました。(↓の記事ではトレードオフ「ドライバー」と言ってますね)

昔はエンジニアしているときにはトレードオフなんて考えはさせてもらえません。
納期は決まっている…
コストは決まっている…
でも品質は落とすな…
こうなるとだいたいは深夜まで残業し、それでも納期には間に合わず、バグも生み出すという悪循環に陥ります。

アジャイルにおけるトレードオフ・スライダーは今の時期に何を諦めるかをチームで対話して決めておく基準となるものです。

プロダクト開発だとQCD(品質/コスト/納期)があります。加えてS(スコープ)というのがあり、スコープとは開発の範囲、つまり機能実装の対象範囲となります。

多くのプロジェクトの場合、QCDは固定されていることは多く、アジャイル開発では調整可能なのがSの部分であり、そのため何でもかんでも実装するのではなく、プロジェクトをリリースすることで顧客に提供する価値を最大化するにはどうするか、優先して提供する機能は何か、本当に必要な機能はどこまでかを考え、リリースタイミングでスコープを調整していきます。

とはいえ、リリースを重ねていくとQCDSのバランスも変わってきますので、何を諦めるのかというのは時期に応じて問い直し決めていきます。

これはプロダクト開発についてなのでQCDSは分かりやすいですが、私が取り入れている組織アジャイルでのインセプションデッキで、トレードオフスライダーを使う場合にはどう向き合えば良いでしょうか?

対象はプロダクトではなく組織やチームそのものであり、私の考えではその組織やチームに関わる顧客や関連部署、つまりステークホルダーに対して組織やチームがその組織機能としてどのような価値を提供するか?という見え方でプロダクトとさほど変わりません。

そして組織やチームの持つリソース、つまり人員や予算も基本的には限られています。あとは会社なので目標や計画は握りますので納期も決まっているでしょう。
その中で組織やチームの機能をちゃんと発揮して成果を挙げなければマネジャーは評価されず下手すればポジションオフ、組織やチームそのものが価値を出せなければ解体となる可能性もあります。

そうなると組織やチームもプロダクトと同じように、QCDの制約条件の中でその組織やチームの発揮する提供価値をどのような優先度でどう最大化するのかということには向き合わなければなりません。

戦略とは「何をやらないか」であると言われます。組織やチームを引っ張るリーダーは一緒に働く部下やメンバーが迷い無く、そして疲弊せずに成果を出してもらうためにはトレードオフスライダーのように「何を諦めるか」「諦めることで何を高めて成果に繋げるか」を示す必要があるのです。


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